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DJI、同社最小ドローン「Spark」を日本で披露。スマホも使わずジェスチャーで飛行

 DJIは26日、同社最小のドローン「Spark」を日本で披露した。直販サイトでは65,800円(税込)で予約を受け付けており、発売日は6月中旬。発送開始予定は6月15日。本体のみの価格で、飛行距離を伸ばす送信機は含まれていない。送信機単体の価格は18,800円(税込)。本体と送信機、追加のバッテリやプロペラ、プロペラガード、充電ハブ、バッグを同梱した「Spark Fly Moreコンボ」も91,800円で用意する。

DJI最小のドローン「Spark」

 外形寸法143×143×55mm(縦×横×厚さ)、飛行時の重量は300g。既発売の折りたたみ式ドローン「Mavic Pro」よりも小型かつ軽量になっている。ただし、200g以上であるため、改正航空法の対象となる。Mavic Proの折りたたんだ状態でのサイズは83×198×83mmで、重量(バッテリやプロペラ含む/ジンバルカバー含まない)は734g。

Mavic Pro(左)とのサイズ比較。Mavicを畳んだ状態とくらべてもSparkの方が小さい
ボールペンとのサイズ比較

 Sparkの飛行時間は無風状態で16分、ホバリング時間は15分(Mavic Proは飛行時間約27分)。運用限界高度は海抜4,000m。スポーツモード時の最高速度は時速50km。

カラーはアルペンホワイト、スカイブルー、メドウグリーン、ラヴァレッドとサンライズイエローの5色

 同梱のUSBケーブルを使用して、本体にバッテリを搭載したまま充電が可能。Mavic Proはバッテリを取り外し、ACアダプタで充電する必要があった。充電ハブを使用すると、3個のバッテリを同時に充電する事もできる。その際は、機体からバッテリを取り外す形になる。

背面に起動ボタンやUSB端子、microSDカードスロットを装備
左がSparkのバッテリ、右はMavic Proのバッテリ
充電ハブを使用すると、3個のバッテリを同時に充電可能
「Spark Fly Moreコンボ」に付属するプロペラガードを装着したところ

ジェスチャー制御を強化

 手軽に飛ばせるのが特徴。スマホや送信機からコントロールもできるが、それらを使わずにジェスチャーだけで飛行させる事も可能。

 手のひらからの離陸ができ、FaceAware(顔認識)機能を使い、背面のボタンを二回押すと、カメラでユーザーの顔を認識。その後、ユーザーの手のひらから自動的に離陸してホバリングする。電源ボタンを押してから25秒以内に離陸するため、素早く撮影ができるという。

 ジェスチャー制御は「PalmControl」と呼ばれ、かかげた手を右に動かしてSparkを左右上下に移動させたり、ついてこさせたりといった操作が可能。両手を振るとユーザーの近くに戻り、本体の下に手のひらを差し出す、手の上に着陸する。

発表会では、会場の仕切りを飛び越えてSparkが会場に登場。プロダクトマーケティング担当・丸川氏がジェスチャーで操作し、手のひらに着陸するというデモが行なわれた

 スマートフォンのアプリ「DJI GO 4」を使うと、より細かな操作が可能。タップひとつで自動的に飛行し、多彩な空撮ができる「QuickShot」機能を用意。カメラを下向きに、機体は真上に上昇しながら撮影する「ロケット」、カメラで被写体を捉えたまま、機体が斜め上に上昇する「Dronie」、被写体を中心に、周囲を旋回しながら撮影する「サークル」、被写体を中心に、周囲を旋回しながら上昇して撮影する「Helix(螺旋)」が利用可能。

 これらは、ハリウッドの映像制作者とDJIが「最もクリエイティブな空撮パターン」として生み出したものだという。

カメラを下向きに、機体は真上に上昇しながら撮影する「ロケット」
カメラで被写体を捉えたまま、機体が斜め上に上昇する「Dronie」
被写体を中心に、周囲を旋回しながら上昇して撮影する「Helix(螺旋)」

 スマホのディスプレイをタップすると、その方向や場所に向かって飛行。ビジョン技術を使い、障害物を認識し、避けながら飛行する。高度を維持しながら飛行する「コーディネート」と、画面でタップした方向に飛び続ける「ディレクション」が選べる。

 指定した被写体を自動で追尾する「ActiveTrack」も利用可能。前進、後退、または被写体の周囲を回りながら、被写体を追尾する「トレース」、被写体と並走しながら撮影する「プロフィール」が利用可能。

 空撮もジェスチャーでコントロールできる。前述のPalmControlに加え、両腕を挙げたり、手を振ったり、指でフレームを作ったりして、Sparkに撮影させる事ができる。

DJI Spark 飛行デモ -AV Watch

1080/30pで空撮が可能

 カメラのジンバルは2軸(Mavic Proは3軸)。1/2.3形のCMOSセンサーを搭載しており、有効画素数は1,200万画素。レンズの焦点距離は35mm版換算で25mm。UltraSmooth技術で、映像のブレやローリングシャッター現象を大幅に軽減。安定したなめらかな映像が撮影できるという。記録メディアはmicroSD。

Mavic ProとSparkのカメラ部を並べたところ

 動画は1080/30pまでの撮影が可能で、4K撮影ができるMavic Proよりスペックダウンしている。最大ビデオビットレートは24Mbpsで、フォーマットはMPEG-4 AVC/H.264のMP4。

 JPEG静止画(最大3,968×2,976ドット)の撮影もできる。記録メディアはmicroSD。映像のブレやローリングシャッター現象を大幅に軽減するという「UltraSmooth」機能も備えた。

 ジンバルを使い、進行方向も自動で調整。横方向、もしくは縦方向のパノラマ撮影をする「Pano」、背景をぼかして被写体を際立たせた写真を撮影する「ShallowFocus」機能も追加された。

背景をぼかして被写体を際立たせた写真を撮影する「ShallowFocus」機能

スマホから操作、送信機を使うとより遠くへ

 風の抵抗を受けにくいという航空力学的デザインを採用。ジンバルとカメラは機体と同一平面にあり、安定性も向上しているという。

 スマートフォンと本体はWi-Fiで接続でき、スマホアプリから制御が可能。2.4GHzを使い、距離100m、高度50mの範囲で飛行できる。

 飛行性能をフルに活用する場合は、スマートフォンと送信機を組み合わせて利用する。両者はWi-Fiで接続。送信機で制御すると飛行範囲が拡大、最大2kmまで飛行できる。

 なお、送信機はディスプレイを備えておらず、Mavic Pro用リモコンとほぼ同じか、わずかに小さい程度のサイズ。送信機には1,480mAhのバッテリを搭載しており、充電時間は2時間。稼働時間は最大3時間。

 送信機を使うと、機体の運動性能をフルに使う「Sportモード」も利用可能。強風下でも最高時速50kmでの飛行ができる。運用限界高度は海抜4,000m。GPS/GLONASSで自分の位置を把握するほか、全面には三次元認識システムを備え、障害物を回避。底部にはビジョンポジショニングシステムを備え、これらから得た情報を24個のコアプロセッサで処理して機体を制御。GPSが届かない室内でも安定したホバリングや飛行ができるという。

 なお、SparkとMavic Proの送信機に互換性は無い。

Spark向けの送信機
安定飛行のためのシステム
DJI - Introducing Spark

「小さければ小さいほど便利で安全になる」

 DJI JAPANの呉韜社長は、「Mavic Proはドローンのベストセラーになった。そして、ドローンは性能が同じであれば、小さければ小さいほど便利で安全になる」と語り、Sparkを紹介。より小型・軽量になり、スマホも使わずにジェスチャーで制御できる簡便さをアピールした。

DJI JAPANの呉韜社長

 プロダクトマーケティング担当の丸川英也氏は、SparkがSDKにも対応し、外部のハードやサービスとの連携が期待できる事も説明。「教育ツールとしての活用もできる」と展望を語った。

 さらに、Sparkの魅力を幅広くアピールするため、アンバサダー・プログラムを開始。モデルとして活躍している女子大生の河村友歌さんと、レーシングドライバーとしてヨーロッパを拠点に活躍し、ランボルギーニから育成ドライバーとしても認定されている根本悠生さんが初のアンバサダーとして選ばれ、Sparkがプレゼントされた。

左から河村友歌さん、根本悠生さん
呉社長と記念撮影

 河村さんは「カッコ可愛い! 見た目は可愛いのに、高性能。今までは同年代の女性に“ドローンを買いたい”と言うと驚かれ、私達からすると雲の上のような存在と感じていたけれど、Sparkは価格も優しいし、可愛いし、皆の手の届きやすい存在になったと思う。今まではドローンで撮られる側でしたが、撮る側として、操縦力や知識を成長させていきたい」とコメント。

 根本さんは「ガジェット好きにはたまらない。Mavicを使ってレースの動画なども撮影していますが、より手軽にキレイな映像が撮れる。ドローンというよりセルフィーカメラとして革新的。車に乗ると自分を撮れないなど、自撮りには難しい部分もあるけれど、Sparkで自分をよりカッコいい映像で撮れるよう頑張りたい」と期待を語った。

発表会は品川にあるDJI JAPANの新オフィスで行なわれた。オフィスの中にフライトケージがある