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シャープは「8KとAIoTで世界を変える」。V字回復で'20年度売上3.2兆円

 シャープは26日、2017~2019年度 中期経営計画を発表した。2020年度以降の「次の100年における持続的成長」に向け、シャープが2017年度から2019年度に実行する変革の取り組みを示したもので、全社戦略として、「ビジネスモデルの変革」、「グローバルでの事業拡大」、「経営基盤の強化」の3つを掲げ、「人に寄り添うIoT」と「8Kエコシステム」を実現していく。

8KとAIoTで世界を変える
中期経営計画の位置づけ

 変革の実現のために、「スマートホーム」、「スマートビジネスソリューション」、「IoTエレクトロデバイス」、「アドバンスディスプレイシステム」の4つの事業ドメインを設定。全社に横串を通す2つの戦略推進室は、「AIoT戦略推進室」、「8Kエコシステム戦略推進室」を新設する。

4つの事業ドメインが、2つの戦略推進室と連携
「人に寄り添うIoT」と「8Kエコシステム」で成長

 8Kエコシステムの強化においては、現在先行している8Kディスプレイやチューナ、テレビはもちろんのこと、イメージセンサーや映像処理技術を生かした8K低価格カメラや編集システムなどの開発に着手。さらに、5Gを用いた配信システムやサーバーなどのインフラ構築にも取り組み。コンテンツ制作、インフラ、ディスプレイの3つの領域を強化。8Kエコシステム全般を手掛ける企業を目指す。

8Kエコシステムにおける重点事業領域

 8Kについては、シャープが強みを持つ部分や鴻海の強みに加えて、他社とのアライアンスも想定している。シャープの戴正呉社長は、「8Kのカメラを作るが、これが赤字でも、ディスプレイが売れればいい。8Kのエコシステムは日本で全部作りたい」とした。

 また、テレビやエアコン、スマートフォンだけでなく、あらゆる機器をクラウド対応とし、相互に連携させるAIoT化を推進。AIoT戦略推進室室長には、元ソニーで現社外取締役の石田佳久氏が就任する。

 スマートホームグループにおいては、AIoT機器に加え、クラウドサービスや音声認識、顧客管理、ビッグデータ解析などのプラットフォーム展開も構築。ハードウェアとサービスの連携を強化する。スマートホームグループを統括する長谷川祥典取締役は、「使う家電から、暮らしのパートナーを目指す」とした。

人に寄り添うAIoT
使う家電から、暮らしのパートナーへ

 また、家庭だけでなく、オフィスや工場などにもこれらの技術を展開し、その代表例となるのが、25日に発表した創業の地である田辺ビルを再開発する「シャープスマートタウン」(仮)。スマートオフィス機能を組み込んだシャープの中核拠点とするほか、野村不動産が開発する隣接マンションはスマートマンションとして様々な付加価値を追求。2021年の竣工を目指す。

「シャープスマートタウン」(仮)の概要

 スマートビジネスソリューション事業も、AIoTやデータ収集、機器管理などクラウド対応を進め。オフィスやサイネージ、小売り向けのバックエンド、工場などのスマート化を推進。アドバンスディスプレイ事業は、高付加価値なスマートフォン向け液晶に加え、8Kによるリアリティ追及、車載やアビオニクス強化、医療やインフラ向けのディスプレイ開発などを強化する。

スマートビジネスソリューション
アドバンスディスプレイ

 IoTエレクトロデバイス事業においては、8Kエコシステム実現に向け、CMOSイメージセンサーやコーデック、タイミングコントローラ、ビデオプロセッサなどを独自開発。IoT向けのセンサーや車載向けのADASやRGB IRレーザーなどを強化し、独自デバイスから新たなアプリケーション創出を目指すとする。

IoTエレクトロデバイス

 また鴻海と協力し、海外市場の構成比を拡大。中期経営計画の確実な遂行を通じ、最終年度である2019年度に、売上高3兆2,500億円、営業利益1,500億円の実現を目指す。なお、2017年度の通期連結業績予想は、売上高2兆5,100億円、営業利益900億円、純利益590億円。

海外売上を拡大
事業目標

 戴社長は、「有言実行してV字回復していく。次の100年に向けて成長していく」と強調した。なお、鴻海と共同で入札した東芝メモリについては、「まだプロセスの途中のためノーコメント」とした。

V字回復で、'20年度売上高3兆2,500万円
大阪本社の会見をシャープ幕張ビルに中継