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音声合成で、ゲームやSNSに声優などの声を活用。東芝「コエステーション」

 東芝デジタルソリューションズは20日、音声合成技術を活用して、“声を使ってもらいたい人と使いたい人をつなぐ”というプラットフォーム「コエステーション」(β版)を開発したと発表した。'17年中の事業化を予定しており、クリーク・アンド・リバーと戦略的な協業関係を構築する契約を締結した。

「コエステーション」のコンセプト

 「コエステーション」は、声優やタレントなどの“プロの声主”や一般ユーザーの声を収集/蓄積し、ゲーム制作会社など“プロのユーザー”によるコンテンツ制作や、一般ユーザーが「お気に入りのアイドルの声で毎朝起こしてもらう」といったニーズに対応できるというプラットフォーム。東芝コミュニケーションAI「RECAIUS(リカイアス)」の音声合成技術を活用している。

 「コエステーション」の一般ユーザーは、スマートフォンのアプリを使って指定の文章を読み上げて声の特徴を学習させることで、自分の声の分身である「コエ」を生成。SNSやゲームなどさまざまな場面で、このコエを使い、任意のテキストを発話できる。今後はプラットフォーム上に登録されている声優やタレントの「コエ」など、少なかった音声の選択肢を増やすことで、「音声コミュニケーションに幅を広げることも可能となる予定」としている。

 ビジネス向けの仕組みづくりも進めており、声優やタレントなど、プロの声の提供元(声主)には、ゲームのキャラクターにプレーヤーの名前を呼ばせるなど、録音では対応しきれない新しい商品やサービスにコエを活用できるようにする。

 アニメ制作会社などのビジネスユーザーには、登録されている膨大なコエの中からニーズに合ったものを見つけてコンテンツ制作に利用できるようにする。また、SNS運営会社などのサービスプロバイダは、コエステーションを活用した音声合成APIや組込みミドルウェアを使用することで、コエを活用した新しいサービスを展開できるようになるという。

「コエステーション」の活用領域

 東芝コミュニケーションAI「RECAIUS」は、音声や映像から人の意図を理解しビジネスと生活の安心・快適な活動をサポートするというサービス。東芝が研究開発してきた音声認識、音声合成、翻訳、対話、意図理解、画像認識(顔・人物画像認識)などのメディア知識処理技術(メディアインテリジェンス技術)を融合し体系化した。

 コエステーションのサービスの市場投入にあたり、声主の権利を保護し、適切に利用されるための仕組みづくりや高度の犯罪対策が必要となるため、エンターテイメント業界やメディア業界に人材を派遣し、著作権及びコンテンツの管理・流通に強みを持つクリーク・アンド・リバーと共同で、事業化に向けた課題に取り組む。

 東芝デジタルソリューションズは、「コエステーションの市場投入を通じて、テキストから新しい音声コミュニケーションへのパラダイムシフトにいち早く対応し、さまざまな場面で声を自由に使える新しい音声文化の醸成を目指す」としている。