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産総研、音楽と連動で100台以上のスマホやIoT機器を制御する「Songle Sync」

 産業技術総合研究所(産総研)は、音楽に連動して多数のスマートフォンやパソコン、Raspberry PiやIoTデバイスなどを制御できるというプラットフォーム「Songle Sync(ソングルシンク)」を開発したと発表した。8月2日より一般公開し、実証実験を開始する。

Songle Syncの概要

 Songle Syncは、音楽の再生にインターネット経由で同期して多様な機器を制御することで、一体感のある演出ができるという大規模音楽連動制御プラットフォーム。

 従来は、音楽の再生に合わせた演出としてパソコン画面の表示内容を変えたり、ロボットを踊らせることは可能だったが、多数の携帯端末・パソコン・IoTデバイスを音楽に合わせて同時に制御することは難しく、大規模な音楽連動制御に基づく演出をプログラマーが容易に開発できるような開発キットもなかったという。

 開発されたSongle Syncは、産総研独自の音楽理解技術と、新たに開発した大規模音楽連動制御技術を融合したもの。ユーザーがWebブラウザからSongle Syncにアクセスし、Web上の楽曲を選んで再生すると、音楽理解技術で事前に解析されたビートや小節、サビ区間などに応じて変化するCGアニメーション(CG映像)が表示。それに連動するためのQRコードを他の人が自分のスマホで読み込むと、同じ楽曲が時刻同期しながら再生、同じアニメーションが表示される。

 イベント会場などで数百人が同様にアクセスすると、同じ楽曲を流すスピーカーや、同じアニメーションを表示する画面が多数存在する状態となり、多人数で一体感のある演出を楽しめる。

Songle Syncの利用方法

 産総研は、Songle Syncの利用事例として、スマホやPCなどへのアニメーションの「画面表示」、IoT化した照明機器やLEDを内蔵した光る生活雑貨(花瓶、キャンドル)などを用いた「空間演出制御」、IoT化したLEDを装着/内蔵した光る衣装や腕輪を用いた「ファッション制御」、IoT化した小型ロボットや電動カーテンを用いた「メカ制御」において、100台以上の機器を音楽連動で同時に制御可能なことを確認したという。

 主な利用シーンとしては、ライブ・イベント会場や、ショッピングモールなどの店舗、カフェなどの飲食店、街中や屋外イベントなどで、音楽連動制御を活用した演出が可能になるとしている。

Songle Syncを利用した各種機器の制御事例(既に開発して動作している機器)

 プログラマーが、こうした多数かつ複数種類の機器制御を意識せずに演出内容を容易に変更/開発するための開発キット(API、サンプルプログラム、チュートリアル)も公開。今後は実証実験を通じて、さまざまな利用シーンへの応用を予定している。

 今回の研究では、インターネット経由で音楽に連動制御される端末・デバイス群によって構成されるネットワークを、音楽版のIoTの意味を込めて「Internet of Musical Things (IoMT)」と名付け、利用事例を開拓していくという。

大規模音楽連動制御を可能にする開発キット