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「8Kテレビを1,000台売る」。AQUOS 8K立ち上げに注力するシャープ

 シャープが、2017年10月2日から、8K対応液晶テレビ「AQUOS 8K LC-70X500」の予約を開始するのに先駆け、9月16日、大阪府八尾市のシャープ八尾事業所において、販売店や主要顧客などを対象に、関西で初公開した。これは、関西地区の地域店による合同展示会で公開したもので、年末商戦の目玉商品のひとつに位置づけている。

関西で「AQUOS 8K」を初披露

 シャープ TVシステム事業本部の喜多村和洋副事業本部長は、「8月31日に、8K対応液晶テレビを発表して以降、販売店やお客様から、想像を超える反響をもらっている。とくに、販売店からは、『世の中にない商品を発売することにより、市場拡大につながる』との声があがっており、業界に先駆けた取り組みが高く評価されている」と、強い手応えを得ていることに言及。12月1日の発売を前に、10月2日からは予約を開始。「予約販売では200台を目標にし、2017年度下期(2018年3月)中に、1,000台以上の販売を目標にする」と意欲をみせた。

シャープ TVシステム事業本部の喜多村和洋副事業本部長(8月の記者会見で撮影)

 AQUOS 8K LC-70X500の市場想定価格は、100万円前後(税別)で、2018年12月に開始される8K実用放送を視聴するには、別売の「8K放送対応受信チューナー」と組み合わせる必要がある。同受信チューナは現在開発中、「8K実用放送に合わせて、チューナーを商品化する予定であり、価格は、まずは20万円を切るところを目標に取り組んでいる」とした。

 また、喜多村副事業本部長は、「8Kコンテンツがないという点での課題があると認識しているが、販売店に対しては、一緒に市場を創っていきたいという提案させてもらっている。10月2日からの予約販売を前に、9月下旬からはテレビCMも開始し、8K対応液晶テレビの良さを訴求していく。また、その他にもプロモーションを行なっていくことを検討している」と述べた。

 今後開催される全国各地での合同展示会でも、8K対応液晶テレビを展示するほか、10月3日~6日まで、千葉県幕張の幕張メッセで開催されるCEATEC JAPAN 2017のシャープブースにも展示する予定であり、「一般のお客様に対しても積極的に訴求していく」としている。

 また、喜多村副事業本部長は、今後の8K対応液晶テレビの方針についても言及し、「今後は、60型から80型の範囲で、製品ラインアップを追加していきたい」としたほか、「2020年度には、シャープが販売する60型以上のテレビの半数以上を8Kテレビにしていきたい」と語った。

 さらに、「8K対応液晶テレビにおける鴻海とのシナジーは、中国市場での販売と、生産および調達面での効果が大きい」とした。

 8K対応液晶テレビは、日本に先行する形で、中国で10月から発売するが、ここでも鴻海とのシナジーが生まれていることを強調。「販売においては、ECサイト向けや、マンションやホテルといったBtoB市場、これまでにはなかったBtoG(政府、公共)市場での売り上げが拡大している」とした。

 なお、中国、日本に続いて、2018年2月からは台湾で、3月から欧州で、それぞれ8Kディスプレイとして発売する予定だ。

 一方、シャープの戴正呉社長は、9月8日に社内イントラネットを通じて社員に向けて配信したメッセージのなかで、8月31日に、8K対応液晶テレビおよびディスプレイを、日本、台湾、中国、欧州の世界4地域で同日発表し、日本では97人、台湾では76人、中国では91人、欧州では109人のメディアが出席したことに触れながら、「各国の発表会の出席者からは、『テレビ市場そのものをもう一度シャープが牽引していくのではないか』『いままでにない事業のスピードを感じた』、『8Kやテレビ事業にかける思いが伝わった』、『手の届く価格の実現に驚いた』など、高い評価や期待の声をもらった」としながら、「新聞やテレビ、ウェブニュースなど、さまざまなメディアで一斉に取り上げられ、大きなPR効果があったが、これはまだ序章にすぎない。今後も、テレビCMやイベント、デビュー販促施策、展示会への出展など、前例のない強力な施策を展開し、『AQUOS 8K』を大きく育てていく」と語った。

シャープ戴正呉社長

 また、「8Kは、『圧倒的なリアリティ』によって、実物がそこにあるかのように映し出すことで、驚異的な臨場感や立体感が得られることに加えて、いままで映らなかった細かなものまで映し出すことで、これまでになかった新たな用途が広がっていく『新たな発見』という、これまで経験したことのない2つの価値をもたらす。こうした8Kの素晴らしさを世の中に広め、8K市場拡大の起爆剤となるのが、今回発表した『AQUOS 8K』になる」と語った。

 さらに、「シャープの創業者である早川徳次氏は、1953年に、国産初のテレビを他社に先駆け量産し、人々の生活を大きく変えた。今こそ私たちは、創業以来受け継いできた、この創意の遺伝子を、いかんなく発揮する時である。全社一丸となって、8K市場を一気に立ち上げよう」と社員に呼び掛けている。