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JVC、e-shift5で高精細4K表示。HDR表示も進化したプロジェクタ「X990R/X590R」

 JVCケンウッドは、JVCブランドのプロジェクタ新製品として、「e-shift5」技術で4K画質をさらに向上させ、HDR表示もインテリジェントレンズアパーチャーで磨きをかけた「DLA-X990R」と「DLA-X590R」を10月下旬に発売する。価格は、「DLA-X990R」が90万円、「DLA-X590R」がオープンプライスで、店頭予想価格は55万円前後。カラーはX990Rがブラック、X590Rはブラックとホワイトを用意する。

上から「DLA-X990R」、「DLA-X590R」

 なお、JVCのD-ILAプロジェクタは、今年で誕生20周年を迎える。それを記念し、DLA-X990Rをベースとしながら、厳選したパーツを使うことで、ネイティブコントラストをさらに高めた限定モデル「DLA-20LTD」も12月中旬に発売する。詳細は別記事を参照の事。

斜め方向の精度を高めた「4K e-shift5」、HDR表示も強化

 パネルは0.7型の1,920×1,080ドットのフルHD D-ILAデバイスで、ピクセルシフト(画素ずらし)技術「e-shift」を用いて4K表示を実現している。新モデルの特徴は、このピクセルシフト技術が「4K e-shift5」に進化した事。

 1画素を斜めに0.5画素シフトさせ、解像度を倍増させているのは従来と同じだが、アルゴリズムを一新。従来よりも、画像成分の検出範囲を2倍の範囲に広げ、さらに周辺画素情報を元に補正をかけている。これにより、斜め方向の精度も飛躍的に高まり、静止画・動画の両方で、より精細感が高く、ノイズの少ない映像を実現したという。

4K e-shift5の概要。写真ではわかりにくいが、実査にe-shift4とe-shift5の比較イメージを見ると、都庁の窓の輪郭のクッキリ感や、その背後に見える街並みの高精細さなどがアップしているのがわかる
洋服の縫い目や、動物の毛並みなど、4K映像の斜め線も自然な表示になっており、ネイティブ4Kパネルのプロジェクタにかなり肉薄したクオリティを実現している

 HDR表示にも対応し、HDR10をサポート。HDR10のPQカーブをプロジェクタで再現するためには、画面サイズや明るさが規程されたテレビなどと異なり、表示機器側でのチューニングが必要となる。

 そこで、従来から搭載しているオートHDRピクチャーモードと、視聴環境に合わせたチューニングができるガンマ調整機能を搭載。

 さらに、オートアイリス機能の「インテリジェント・レンズ・アパーチャー」を、HDR映像でも最適に動作するよう、アルゴリズムを刷新して対応。暗いシーンでの微妙なグラデーションも再現できるという。

DLA-X990R

 また、X990Rでは、2つのカラープロファイルが選択可能。1つは、カラープロファイル「BT.2020」、シネマフィルタ「ON」にしたもので、色の表現を重視。プロファイル「HDR」でシネマフィルタ「OFF」のモードは、明るさを重視しており、ユーザーが好みの方を選べるようになっている。X590Rは1種類のみ。

 また、Ultra HD Blu-rayなどのHDRコンテンツに含まれているマスタリング情報から、MaxCLL(Maximum Content Light Level)とMaxFALL (Maximum Frame Average Light Level)を表示する機能も用意。色域情報も表示され、これら情報を参考にしながら、スクリーンの大きさや、好みなども反映させつつ、ユーザーが設定を追い込んでいける。設定方法のコツなどは、説明書にも記載するという。

最高2,000ルーメンを実現。ピュアダイレクトモードも

 光源は265Wの超高圧水銀ランプ。高効率化した光学エンジンと組み合わせる事で、X990Rでは2,000ルーメン、X590Rでは1,800ルーメンを実現。画素ギャップが狭く、光の利用効率が高いD-ILAデバイスとの組み合わせにより、緻密でパワフルな映像を表示できるという。

 さらに、このデバイスとランプに対応したワイヤグリッド採用の光学エンジンにより、X990Rではネイティブコントラスト16万:1を実現。オートアイリスの「インテリジェント・レンズ・アパーチャー」と組み合わせる事で、ダイナミックコントラストは160万:1となる。X590Rはネイティブが4万:1、ダイナミックコントラストが40万:1。

 最新のHDMI規格に対応。4K/60p 4:4:4信号や、4K/60p 4:2:2/36bit、4K/24p 4:4:4/36bitなど18Gbpsの伝送帯域に対応したフルスペック4K映像入力に対応。HDCP 2.2をサポートする。

 独自の高画質映像処理技術「Multiple Pixel Control」を搭載。4Kだけでなく、フルHDも高精細な4K映像に変換できる。高精細な映像に多く含まれる、信号帯域に重点を置いて画像検出をする事で、精細感とボケ感を両立。4K解像度ならではのリアリティある映像を実現したという。

「DLA-X590R」

 3D表示にも対応。独自の「面一括駆動方式」に加え、高出力なランプを使った光学エンジンと組み合わせる事で、明るい3D映像を実現。クロストークキャンセル機能も用意する。なお、3D表示を楽しむためには、別売の3Dエミッタ「PK-EM2」(10,000円)と3Dメガネ「PK-AG3」(15,000円)が必要。X990Rのみ、「THX3Dディスプレイ規格認証」を取得している。

 残像低減技術の「Clear Motion Drive」と、映像に応じてD-ILAデバイスの駆動を制御する独自開発の「Motion Enhance」を新搭載。2つの技術を組み合わせ、残像感の低減や滑らかかつ鮮明な映像を再現する。

 新たに、「ピュアダイレクトモード」を搭載。通常は、入力映像をMEMCという倍速用のチップを通しているが、これを通さずに表示するモードであり、4K 10bitや12bitなどの広帯域な信号を、4:2:2 10bitに圧縮せず、4:4:4 12bitのまま処理。映像のクオリティを損なわずに表示できるという。ただし、MEMCを通さないため、前述の3D表示や「Clear Motion Drive」との併用はできない。遅延も低減されるため、PCの表示やゲームなどにも向いたモードとなる。

横から見たところ

 投写するスクリーン特性によって生じる色のアンバランスを補正する「スクリーン補正モード」に、新たなスクリーンの情報を追加。従来のX770R/X570Rは136のスクリーンを補正できたが、新モデルでは143に増加。ロシアやベルギーのメーカーのスクリーンなどが追加されている。さらに、6軸調整のカラーマネジメント機能も搭載する。

 レンズは光学2倍ズームで、電動ズーム/フォーカス。オールガラスで、光学的に高性能なレンズにこだわっている。電動レンズシフトも備え、シフト幅は上下±80%、左右±34%。別売の光学センサーやソフトウェアと組み合わせて、画質を最適化できる「オートキャリブレーション」機能も備えている。

 HDMI入力は2系統で、3DやDeep Color、HDCP 2.2をサポート。3Dシンクロ出力やトリガー出力、RS-232C、LAN端子なども備えている。ファンノイズは21dB(ランプモード:低)。消費電力は380W(待機時1.5W、エコモード待機時0.4W)。外形寸法は455×472×179mm(幅×奥行×高さ)、重量は15.6kg(X990R)/15.4kg(X590R)。

DLA-X990Rの背面
DLA-X590Rの背面
付属リモコンは自照式

先行視聴会も

 関西と東海において、先行視聴会も実施される。

  • 関西地区(大阪府大阪市)
  • 日時:10月14日(土)(1)10:30~12:30 (2)14:00~16:00
  • 定員:各回20名
  • 会場:ハートンホテル南船場 B1F フリージア 大阪市中央区南船場2丁目12番地22号
  • 東海地区(愛知県名古屋市)
  • 日時:10月21日(土)(1)10:30~12:30 (2)14:00~16:00
  • 定員:各回20名
  • 会場:国際デザインセンター(ナディアパーク) 6Fルーム2 名古屋市中区栄3丁目18番地1号