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5Gを活用するKDDI「音のVR」。バーチャルアテンダントによるVR不動産案内も

 KDDIは、10月3日から幕張メッセで開幕するCEATEC JAPAN 2017において、「音のVR」や、「バーチャル不動産案内」というVR技術/コンテンツを紹介している。

音のVRを体験できる「音場のズーム合成技術」デモ

音のVRを実現する「音場のズーム合成技術」

 VR映像コンテンツの増加に合わせて、音のVRを提案。ヘッドフォンを装着してタブレットの360度映像の視点を変えると、その方向に合わせて、ズームしたステレオ音場をリアルタイムに合成する技術で、映像と音声が合致したインタラクティブな視聴を可能にしている。

 2020年の実現を目指す5G通信環境に合わせて、「いつでもどこでも臨場感を有するエンターテイメント」を提供するという。

画面をスワイプすると、正面の楽器の音がよく聴こえるようになる
ピンチインすると音がよりはっきり聴こえる

 「音場の選択的合成方式」を考案/導入したことで、音場のズーム合成技術を開発。複数のマイクを空間的に配置したマイクアレイを用いて、収録した音場の空間的な広がりを保ちながら、任意の範囲にズームしたステレオ音場をリアルタイムで合成。正面からの音がよく聴こえるだけでなく、後ろや横など周りの音の到達時間の違いも考慮し、自然な広がりのあるステレオ音場を実現したという。

 この技術に加え、独自の高速化技術も採用し、スマートフォンやタブレットなどの端末上でリアルタイムに合成/再生することも実現。高速通信を活用しつつ、ローカルでの処理も組み合わせることで、サーバーの負担を抑えられるという。

「音場のズーム合成技術」の仕組み

 今回のデモに使われている音声は、6つのマイクを組み合わせたマイクアレイで収録したもの。木管五重奏の中心や、サッカーのパス練習をしているフィールドの中心に、自分が立っているような感覚の360度映像となっており、タブレットで映像を回転すると見ている方向の音がよく聴こえ、ズームするとさらに正面の音が近くに感じられる。

 ズーム合成を行なわない場合の音と比較すると、単に音の大小が違うだけでなく、今回の技術は周囲の音との組み合わせによって、より立体感のある音に変わり、その場にいるような感覚が音でも伝わることが実感できた。

サッカーのパス練習をしているフィールドの中心に立ったような感覚になるデモコンテンツ

キャラクターが話しかけてくれるバーチャル不動産案内

 VRブームに合わせて、不動産会社などが「物件をVR映像で自由に内見できる」というサービスが一部で既にスタートしているが、今回展示された「バーチャル不動産案内」は、そうしたサービスに「人間らしい質感まで表現した」というバーチャルアテンダントの音声ガイドを加えた提案。VRヘッドマウントディスプレイを装着した体験者の動きや操作に合わせてバーチャルアテンダントの“ジュリ”が声で案内することで、より本物に近い感覚で内見ができるという。

バーチャル不動産案内。中に立っているのがバーチャルアテンダントの“ジュリ”

 不動産会社や現地に足を運ばなくても、家のPCなどから体験でき、会社の営業担当者などの説明を受けながら体験できるのが特徴。人による説明がバーチャルアテンダントの声として届き、体験者が操作に迷ったときなども、その状況に応じた案内が受けられる。

 デモでは、一つの物件のリビングやキッチン、ダイニングを順に見回る形で体験。シンプルな操作で部屋の照明のON/OFF時を比較したり、インテリアのカラーリングを変更することなどができる。

HTC VIVEを装着して物件内を見渡せる
説明者は、ジュリ側の映像を見ながら声で案内
VR体験者がどんなボタンを押しているか映像で分かるため、操作に迷ったり、誤操作した場合などは説明員から声でアドバイスできる

 今回の展示では、高性能なPCや、HTCのVIVEを使って体験する形となるが、将来的に5G環境が実現した時には、映像を生成する機能をクラウド側に持たせることで、スマートフォンやタブレットなどでも簡単に体験できるようになることを目指す。また、デモの映像は2K相当だが、技術的には8K解像度も対応可能なことが確認済みだという。