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「音のVR」で推しメンの声にズーム。KDDIとモー娘。が5G見据えコラボ
2018年3月14日 18:56
KDDIとKDDI総合研究所は、モーニング娘。’18が歌う「I WISH」の360度ミュージックビデオに「音のVR」技術を組み合わせた、新しい音楽コンテンツをハロー! プロジェクトと共同制作した。3月31日〜4月1日にパシフィコ横浜で行なわれるイベントで体験でき、4月以降にKDDI直営店の一部やHMV店頭で体験できる。
KDDIが開発した、音のVRを実現する「音場のズーム合成技術」を使って制作した初の音楽コンテンツ。スマートフォンなどに表示した360度映像とヘッドフォンから聴こえる360度の音が連動し、モー娘。の“推しメン”にズームすると、声もズームして聴ける。
2020年の実現を目指す5G通信環境を見据えた取り組みで、将来はライブ会場からVR音声と高画質なVR映像を低遅延でリアルタイム伝送し、遠隔地でも臨場感を体感できるエンターテイメントの提供を目指す。
推しメンの声と姿を独り占め。「メンバーみんながセンターに」
モーニング娘。’18とコラボして制作した音のVRコンテンツは、6つのマイクを組み合わせたマイクアレイと360度全天球カメラを用いて収録。音場の空間的な広がりを保ちながら、任意の範囲にズームしたステレオ音声をリアルタイムに合成。正面からの音や、後ろ、横など周りの音の到達時間の違いも考慮し、自然な広がりのあるステレオ音場を実現する。
「CEATEC JAPAN 2017」でKDDIが公開した技術を活用。スマートフォンやタブレットなど端末上の高速処理技術を組み合わせて、音の拡大・縮小や移動、選択(ズーム)の合成/再生をリアルタイムで行なっている。
iPad上に、マイクとカメラを囲むように立って歌うモーニング娘。の映像が映り、メンバー全員が思い思いの姿勢で「I WISH」を歌っている。指で見たい方向に映像を動かすとその向きに合わせて音場が回転し、今見ているメンバーの声がよく聴こえる。横や背後のメンバーの声もそれぞれのいる方向から聞こえ、映像の向きを変えるとまるで首を回したような感じで音の定位が変化するなど、立体感のある音が聴ける。
映像のテーマは「歌と手紙で届けるモーニング娘。への想い」で、楽曲の途中でメンバー3人がモーニング娘。への想いを綴った手紙を順番に朗読するシーンがある。このとき、喋っているメンバーの方に映像をズームすると声がよりはっきり耳に届き、ピンチアウトで縮小すると全体の音が聞こえる。一人一人の声が際立ち、“推しメンを独り占めする”感覚が味わえた。
コンテンツはまず、ハロー!プロジェクトが属するアップフロントグループが主体となるイベント「遊ぶ。暮らす。育てる。SATOYAMA&SATOUMIへ行こう 2018」で体験可能(3月31日〜4月1日、会場:パシフィコ横浜)。4月以降はKDDI直営店とHMVの一部店舗で体験コーナーを用意し、5月以降には無料アプリとして期間限定配信する予定。
2018年にハロー! プロジェクトは20周年、KDDIのauケータイも30周年を迎える。
KDDI総合研究所 執行役員 ヒューマンコミュニケーション部門長の滝嶋康弘氏は、今回の取り組みについて、auが音楽サービスに力を入れてきたことを踏まえて新しい音楽体験の提供を目指すものとし、「360度の映像は当たり前になってきたが、音声の技術は追いついていなかった。見ているところに合わせた音が聞ければ、違和感がなくなり、没入感も高まる」と説明。音のVR技術を使うことで、スポーツコンテンツ配信でお気に入りの選手にズームするといった楽しみ方や、一般ユーザー向けの撮影・収録ツールの提供、ビジネスや防犯などでの応用も期待できるという。
アップフロントグループの橋本慎 チーフディレクターは、多くのアイドルグループが活躍する中で「モーニング娘。はパフォーマンスに強いグループになることを目指す」という方針を紹介し、「テクノロジーをいかに使いこなして新時代のエンタメに昇華させるか。そこが我々の仕事の醍醐味でもある。5Gでライブ会場をリアルタイムに楽しむ。ライブビューイングも音のVRで楽しめるようになるかもしれない。ワクワクに満ちている。今回のコラボにご期待ください」と話した。
モー娘。のメンバーも音のVRコンテンツを体験。ズームアップされた映像と音を見ながら口々に「恥ずかしい」と声を上げながらも、「ズームアップするとその人の声が主に聞こえるので、これなら(自分が)センターになれますね」(飯窪春菜さん)、「手紙を読んでいて泣いてしまったのが映ってしまったけれど、リーダー(譜久村さん)からの言葉が心に沁みました」(加賀楓さん)と話していた。