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新生Olasonic、「世界最高音質を目指した」Bluetoothスピーカー
2018年5月17日 11:00
インターアクションは、新生Olasonicブランドの第一弾製品として、「世界最高音質のBluetoothスピーカーを目指した」という「IA-BT7」を6月8日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は3万円前後。ウォルナットとシルクホワイトの2種類を用意する。
Olasonicは従来、東和電子が展開してきたオーディオブランドだが、昨年10月にインターアクションへと、Olasonicブランドとその事業が譲渡された。その新生Olasonic第一弾製品が「IA-BT7」となる。開発にあたっては、SOZOデザインが協力。従来のOlasonic製品を手がけた技術者達が多く参加している。
一体型筐体のBluetoothスピーカーで、木製のキャビネットを採用。さらに、中央に110mm径という、Bluetoothスピーカーとしては大きなユニットを搭載しているのが特徴。
筐体は木製で、ウォルナットとシルクホワイトの2種類を用意。ウォルナットは天然の突板仕上げ、シルクホワイトは4層の塗装を採用したピアノフィニッシュとなる。
ユニット構成は、中央に110mm径の大口径サブウーファを搭載。量感豊かな低域を再生するほか、背面にはパッシブラジエータを搭載し、重低音を強化している。
サブウーファの左右には、57mm径のフルレンジを2基搭載。このフルレンジはハイレゾ再生にも対応しており、システム全体の再生帯域は50Hz~40kHz。
高音質かつ、豊富なコーデックに対応するBluetoothモジュールを自社で開発。コーデックはSBCとAACに加え、aptX HDとLDACもサポート。SoCプラットフォームはQualcommの「CSR8675」を使っている。
アンプ部には、TIの「TAS5782」を採用。これは、高音質なアンプ機能に加え、DSPによるグラフィックイコライザ機能も内蔵しているのが特徴。このDSPにより、12の独立した21種類のフィルタを調整でき、製品に合わせた最適なサウンドを実現。
さらに、デジタルプロセッシングのチャンネルデバイダーとしても機能するため、ネットワーク回路を別途追加せずに2ウェイのシステムを実現している。クロスオーバー周波数は200Hz。
アンプは、高域用に10W×2、低域用に20W×1を、独立して搭載するバイアンプ構成。スピーカー同士の相互干渉を排除した。
レートコンバーターも搭載。ソースを96kHz/24bitにアップコンバートしてから再生し、「時間軸方向の拡大により繊細でしなやかな音質を実現した」という。
ステレオミニのアナログ音声入力も搭載。スマートスピーカーのライン出力と接続し、スマートスピーカーのサウンドをよりリッチに楽しむといった使い方も提案している。なお、アナログ入力も96kHz/24bitに変換して再生される。
音のチューニングには、レコーディングスタジオのミキサーズ・ラボが協力。安室奈美恵、福山雅治、今井美樹など、トップアーティストのレコーディングに携わるレコーディングエンジニアのプロ集団で、スタジオ「LABrecorders」において、音質の最終調整を実施。
スタジオのコントロールルームにおいて、音質チューニング用リファレンス楽曲を再生しながら、レコーディングの際のサウンドイメージを高性能グラフィックイコライザーを使用しDSPに書き込み。「スタジオマスターのサウンドバランスをともなった、より豊かな低音と華やかな高音再生を実現することができた」という。
NFCペアリングにも対応。電源は付属のACアダプタを使用する。外形寸法は275×65×144mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は2,200g。
音を聴いてみる
「世界最高音質のBluetoothスピーカーを目指した」という意気込みだけあり、かなり高音質だ。一体型の筐体だが、正面に座って聴くと、音がよく広がる。音場は筐体サイズを超えて、はるか左右まで広がり、上下方向にも展開。体が包み込まれるような感覚を覚える。さらに奥行きも深く、ステレオ感のある、立体的な描写を実現している。
さらに、110mmのサブウーファとパッシブラジエータを組み合わせた中低域は、ドッシリとした量感のあるもので、一般的なBluetoothスピーカーのイメージを覆す。オーディオ用スピーカーを聴いているような、安定感を感じさせるレベルに到達している。筐体はさほど分厚くもないので、このサイズから出ている低音とはにわかに信じられない。
豊かな中低域に負けない、分解能のある高域もシャープかつクリア。TIの「TAS5782」を活用する事で、余分なネットワークなどの回路を通らず、さらにバイアンプ駆動する事により、鮮度の良いサウンドを実現している。
書斎などに設置し、ニアフィールド再生したくなるサイズだが、再生能力としてはリビングなどに設置し、大きめの音量で鳴らし、複数人で聴くような使い方にも対応できるだろう。壁の近くに設置する事で、より中低域の量感を稼ぐというテクニックも使えそうだ。シンプルかつダイレクト、そして雄大なサウンドが特徴のBluetoothスピーカーと言える。
「最初は流行りのAIスピーカーを作ろうとしていた」
東和電子から、Olasonicブランドと事業を譲渡されたインターアクションは、1992年に設立。主にスマートフォンや一眼レフカメラ、車載カメラ、監視カメラなどのCCD、CMOSイメージセンサ向けの光源装置や、瞳モジュールといった光学精密機器を手がけており、海外シェア70%以上、国内シェア80%以上を誇る。売上高は2018年5月期で約56億円、株価も4年で3倍になるなど、成長を続けており、業界内での知名度は高いが、コンシューマ向けの製品を手がけているわけではないので一般消費者にはあまり知られていないのが現状だ。
木地伸雄代表取締役副社長は、「皆さんに知っていただける会社になるために、生活に身近な製品を手がけたいと考え、Olasonicブランドを手がける事にした」と説明。新生Olasonicの第1弾製品である「IA-BT7」については、「3つの要素をベースに、BtoCに挑戦する。1つは我々とSOZOデザインのエンジニアが努力し、壁を乗り越えて実現した“高音質”、2つ目はスマートフォンやテレビといった“ディスプレイと連携できる事”、3つ目は豊かな生活を実現するために“スマートスピーカーと連携できる事”」を特徴として挙げる。「この3つの特徴を将来発展させていきたい。その先に、高音質な仮想現実の創出ができないか? 技術を活用し、光と音、映像、新しい文化の創造に挑戦したい」と目標を掲げた。
オラソニック事業部の小野裕二事業部長は、若年層を中心に普及が進むスマートフォンについて、「電話やメール、ネット検索に加え、昨今では音楽や映像、ラジオを楽しむソースになった。外出時はヘッドフォンを使うが、家ではスピーカーからの音を楽しんで欲しいと思い、開発した。“スマホオーディオ”を楽しむために、最適なスピーカー」と、完成度に自信を見せる。
音のチューニングに協力した、レコーディングスタジオ、ミキサーズ・ラボの内沼映二会長は、今回の製品以外にも、カーオーディオなど、オーディオ機器のチューニングに携わってきた経験を振り返り、「(メーカーの人が)測定器で計測し、“全部フラットな音をにして作ってきました”という製品も、聴いてみたらぜんぜんダメという事がある。我々は必ずしもフラットがベストだと思っておらず、躍動感や空気感などが表現されていないと、いい音楽表現はできない。今回も同じ理念で作っている。低域も豊富に出るが、ただ足せばいいというものではなく、引き算も重要。それを踏まえて凝った調整をする事で、豊かだが、締まった低音が実現できた。Bluetooth伝送という事で、音質はどうなのかと最初は心配していたが、やってみると“けっこういけるね!!”というところまで到達できたと思っている」とコメント。
SOZOデザインの山本喜則代表取締役CEOは、「SOZOデザインは2年前の7月に設立。元Olasonic、元ソニーのメンバーが多く、技術的にはたいしたものだと自負している。去年の1月、木地副社長の意向を受けて、最初は流行りのAIスピーカー(スマートスピーカー)を作ろうと5月くらいまで開発していた。しかし、AmazonのEchoなどは、安いモデルは約40ドルと安く、他のAIスピーカーはあまり売れていないと聞き、“これはまずいんじゃないか”という話になった。それならば“世界最高のBluetoothスピーカーを作ろうじゃないか”という話になった」と、開発の経緯を説明。
また、SBCとAACに加え、aptX HDとLDACもサポートする自社開発のBluetoothモジュールを搭載している事に触れ、「(こうしたモジュールは)台湾や中国から買うのが普通になっているのだが、音質は微妙なものが多い。そこで、自分達で、多くのコーデックに対応するモジュールを作ってみた。開発は“やめた方がよかった”と思うほど大変だったが(笑)、その苦労がむくわれる製品になったと思う。(Olasonicの事業譲渡については)インターアクションのような素晴らしい資本が、AV機器の世界に入ってくるのは喜ばしいこと。オラソニック事業部が、その中でも負けずに立派な業績を示せるようになってくれれば」と、期待を語った。