ニュース

東芝、史上最高画質の「8Kレグザエンジン」。8Kチューナ内蔵8Kテレビも開発中

東芝映像ソリューションは14日、8Kテレビ向け次世代映像エンジンの開発説明会を実施。開発中の「8Kレグザエンジン」を組み込んだ、88型8K有機ELディスプレイ(試作品)を披露した。「エンジンを含め、BS 8Kチューナー内蔵の8Kテレビも開発中だが、投入時期は未定」としている。

清水大輔氏の個展会場に設置された、8Kレグザエンジン搭載の88型8K有機ELディスプレイ(試作品)

8Kレグザエンジンは、高精細な8K解像度映像を高速・高画質に処理する事を目的に新開発された映像処理システム。8K時代を見据え、8K有機ELや8K液晶など、様々な8Kデバイスに対応している。開発に携わる同社R&Dセンター・オーディオビジュアル技術開発部部長の山内日美生氏は「史上最高画質を目指した」と話す。

8KレグザエンジンProfessional試作基板の一部

これまでのレグザ開発で培った高画質化技術を継承しながら、8K素材が持つ奥行き感や立体感、実物感などを再現する新技術を搭載。

2度の再構成処理を行なうことで、緻密な8K映像のフォーカス感を繊細に復元する「8K超解像技術 8Kフォーカス復元」や、補間フレーム生成して倍速表示を行なうことで表示ぼやけを抑制する「8K倍速ドライブ」などを備える。

更に、クラウドを活用した高画質化技術を新たに搭載。クラウドから番組ごとの映像解析情報を入手することで、それぞれの番組に適した映像パラメーターで高画質化を実現する。「レグザの自動画質調整とクラウドの高画質テクノロジーを組み合わせることで、新世代の最適画質調整が可能になる。8Kエンジンの開発で培われた技術やノウハウは、8K製品だけでなく、今後開発する4Kエンジンの映像処理にも応用する」(山内氏)という。

R&Dセンター・オーディオビジュアル技術開発部部長の山内日美生氏

会場には、LGディスプレイ製の88型8K有機ELパネル(7,680×4,320ドット)を用いた試作機を展示。タイムラプス/ハイパーラプスクリエイターの清水大輔氏が撮影した8K/30pタイムラプス映像(HEVC圧縮の150Mbps)をUSB経由で120p表示していた。

「8Kレグザエンジンは開発段階にあり、目標とする映像品質には全く到達していないが、高精細な8K映像と、高コントラストな8K有機ELパネルの組み合わせによる“次世代8Kレグザ”の片鱗は感じてもらえるはず」という。

製品化については「未定」としながらも、「今回の8Kレグザエンジンは当然、将来の8Kテレビの商品化を見越して開発しているもの。エンジン開発と並行し、8Kチューナーを内蔵した8Kテレビの開発も進めている。最高性能のエンジンを搭載した次世代8Kレグザで“感動の高画質”を届けるべく開発を加速させ、様々な検討を行った上で、最適な時期に、市場への投入を目指したい」(本村氏)と述べた。

商品企画部ブランド統括マネージャーの本村裕史氏

説明会には、同社取締役上席副社長の安木成次郎氏も登壇し、「私が東芝に入社したときはMUSEデコーダーの開発時期であり、そのときは2Kの映像に驚いたが、今回の試作機を目にした時は大変に感動し“ついに映像はここまで来たか”と感慨深いものがあった」とコメント。

続けて「我々は20年間に渡って映像エンジンを内製化し、高画質化技術を積み重ねてきた。振り返れば、“超解像技術”は大きな分岐点だった。元々は自己合同性を映像“圧縮”に利用してコーデックの標準化を狙った技術だったのだが、“解像度向上”に転用することで、それまでのアップコン技術とは比較にならない画質向上を実現した。次なるブレークスルーはAIとクラウドを活用した技術と捉えており、8Kレグザエンジンはもちろん、並行して開発中の次々世代のエンジンにも盛り込んでいる」と語った。

取締役上席副社長の安木成次郎氏

なお8Kレグザエンジンを搭載した試作機は、タイムラプス/ハイパーラプスクリエイターの清水大輔氏個展「そこにある光」にて11月17日まで視聴可能。

会場は渋谷にある「tokyoarts gallery」で、住所は東京都渋谷区東2-23-8。入場は無料で、一般公開は15日・16日が12時~20時。17日が12時~18時。

個展会場には試作品の8Kレグザほか、4Kレグザ4台が設置され、小笠原や福島を捉えた高精細なタイムラプス映像を鑑賞することができる
タイムラプス/ハイパーラプスクリエイターの清水大輔氏
本村裕史氏と清水大輔氏によりトークショーも行なわれた