◇ 最新ニュース ◇

2014年9月19日

2014年9月18日

2014年9月17日

【Watch記事検索】

ソニー社長交代。ネットワークを軸とした新経営体制に

−会長社長兼務に。PSNを核にゲーム/VAIOなど集約


中鉢氏とストリンガー氏

2月27日発表



 ソニー株式会社は27日、グループ構造改革と新経営体制を発表した。4月1日付で中鉢良治現社長が副会長に退き、ハワード・ストリンガー会長兼CEOが社長も兼任。同時に事業グループ改革にも着手し、PC/ゲーム/ポータブル担当のネットワークプロダクツと、コンスーマプロダクツの2つの事業領域を定義した新経営体制を構築する。

 2つの事業グループのうち、「ネットワークプロダクツ&サービス・グループ(NPS)」は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)やパソコンのVAIO、ウォークマンを含むモバイル製品、ソニー製品の共通サービスプラットフォームを開発するソニーメディアソフトウェア&サービスで構成される。

 同グループでは、ネットワーク対応製品やサービスに積極的に取り組み、サービス収益力の強化を図る。また、社内の先端技術を結集し、新たな製品創出に取り組むとしており、PS3向けに展開しているネットワークサービス「プレイステーション・ネットワーク(PSN)」のプラットフォーム活用/拡大が一つの要となるとする。グループのプレジデントにはSCE社長兼グループCEOの平井一夫氏が執行役EVPとして就任する。

 もう一つの事業グループ「(新)コンスーマー・プロダクツ・グループ(New CPG)」は、テレビやデジタルイメージング(DI)、ホームオーディオ、ビデオといったコンシューマエレクトロニクスの中核製品カテゴリ事業を統括。New CPGでは商品力強化とともにオペレーションのスピード向上や効率化を図る。また新興市場開拓にもリソースを集中投下する。

 New CPGのプレジデントには、現執行役員EVP兼テレビ事業本部長の吉岡浩氏が就任。同時に執行役副社長にも就任し、半導体、コンポーネント事業も担当。民生機器とデバイスの開発、事業戦略の連携と収益力強化に努めるという。

 グループ全体の共通ソフトウェアソリューションを構築するための「コモン(共通)・ソフトウェア&テクノロジー・プラットフォーム」も設立。業務執行役員SVPの島田啓一郎氏が担当する。
 

新体制の内容 ストリンガー氏が社長も兼任する 登壇者

 なお、現取締役 代表執行役社長 兼 エレクトロニクスCEOの中鉢良治氏は、4月1日付で取締役 代表執行役 副会長に就任。今後、CEOをサポートするとともに製品安全、品質、環境を担当する。現取締役 代表執行役副社長の井原勝美氏は、6月にソニーフィナンシャルホールディングスの常務取締役に就任する。

 今回の構造改革について、同社では「2005年6月に現経営体制が発足して以来、数々の構造改革を実行するとともに、製品の競争力を高め、ソニーユナイテッドのスローガンの下、各事業ユニット間の協力体制を構築した。その結果として、ソニーグループ連結の売上高および当期純利益は2007年度に過去最高を達成した。今回の経営体制変更は、これを基盤に、新たな顧客価値を創造し、更なる競争力強化と収益性改善を目指すもの」としている。

 また、ハワード・ストリンガーCEOは、「顧客はオープン技術を採用し、多機能でネットワークサービスに対応した製品と、皆で楽しみを共有でき、環境にも配慮した豊かな顧客体験を求めている。今回の機構改革は、次世代の強固なリーダーシップのもと、ソニーグループをよりダイナミックで、革新的な方向へ導くとともに、より統合され機動性の高いグローバルカンパニーへの変革を目指すもの。機構改革および新経営体制は、4年前に開始したソニーの変革を、より一層加速させるためのもの」と説明している。



■ 「より強く、ダイナミックに」。ネットの付加価値を値ごろ感ある価格で

 

ハワード・ストリンガーCEO
 ストリンガー会長は、機構改革の意図や新経営体制について説明した。「より強く、ダイナミックで、利益をあげられる会社にしていくため、2つの大きなチャレンジがある。1つは、コストダウンへの積極的な取り組みで、12月に発表した施策もそのひとつで、取り組みは継続中だ。2つ目のチャレンジは、次の競争に向けたものだ。市場環境を見れば、競合はSamsung、LGだけではない。CISCOやHPも競合といえる。この現体制の5年間でエレクトロニクスビジネスは改善し、ソフトウェア、ハードウェアの連携も進めてきた。ソニーユナイテッドの成果だ。強いハードウェア、グローバルブランドがそれを牽引した。次のステップとして基本的なソニーの製品の強さだけでなく、新しいビジネス、市場、ユーザー経験を生み出すイノベーションが必要だ」とした。

 「消費者の生活を変えるような、消費者の求める製品。そのための改革」として、ネットワークとコンシューマ機器に2つの大きく分類した今回の施策を説明。ネットワーク対応の重要性を語るとともに、製造や調達、サプライチェーンマネージメントなどでの改善や、ソフトウェアプラットフォームの共通化などの重要性を訴えた。

左から新テレビ事業本部長に就任する石田氏、CPG担当吉岡氏、中鉢現社長、ストリンガーCEO、NPS担当のSCE平井氏、NPSの鈴木氏
 ストリンガーCEOは、「新しい付加価値を、値ごろ感ある価格で、ぜひほしいと思う製品を提供する。それがわれわれの目標だ」と語り、「次世代の実力あるリーダーを起用した。さまざまな製品の経験を持ち、全世界で競争力を持つ製品を担当してきた」として、4人の新役員を紹介した。NPSを担当するSCEの平井CEO、CPGを担当する現テレビ事業本部長の吉岡浩氏、NPSで平井氏を補佐し、VAIO事業を新たに担当する現ソニー・エレクトロニクス・インクEVPの鈴木国正氏、新たにテレビ事業本部長に就任する現VAIO事業本部長の石田佳久氏が登壇した。

 CPGを担当する吉岡新副社長は、「私のミッションは、短期的には収益の回復。長期的にはこれからの成長路線の追求だと認識している。再度、開発から、設計、販売を見直し、効率を追求していく。特に新興市場には重点的に取り組んでいく。昨年から11カ月、テレビ事業を担当したが、コストダウンや消費電力の低減などに取り組みそれなりの成果はあげられた。経済環境の悪化により数字としてはでていなが、ただし構造改革は予定通り実行してきている。この11カ月で感じたことは、このテレビ事業がIT事業に近くなっているということ。そのため4月からは今までVAIOを担当していた石田がテレビを担当し、ITのスピード感をもって、テレビ事業を加速していく。デバイス、コンポーネントとも連携するだけでなく、ネット対応のためにNPSとも製品の付加価値を高める意味でも協力していく」と語った。

CPS担当の吉岡新副社長 テレビ事業部長に新任する石田現VAIO事業本部長

 また、NPSを担当し、SCE社長も兼務する平井氏は、「ネットを介して、コンテンツ、デバイス、サービスが一体となったエンターテインメント体験を皆に提供することが目的。プレイステーションビジネスでハード、ソフトを融合するビジネスやってきたが、その経験が改めて重要になると考えている。ゲーム、プレイステーションの世界からさらにフィールドを広げてやっていく。可能性への挑戦と考えている。ゲームだけではない、インタラクティブエンタテインメントを手掛ける。今回VAIO部門もチームに入った。VAIOでは、社内だけでない多くのコラボレーションを追及してユーザー体験を高めた。その経験を生かして我々のミッションを追及していく。当然部門間の効率の向上や、ノウハウの共有も行なう」とした。

 平井氏は、現ソニー・エレクトロニクスインクEVPで、4月から業務執行役員SVP、ネットワークプロダクツ&サービスグループ担当 デピュイティプレジデント VAIO事業本部長に就任予定の鈴木国正氏を紹介。「とぢらかといえばソフトをやってきた私と、ハードを鈴木の2人で方向性を共有し、1+1が3、4になるよう取り組む」と語った。
NPS担当のSCE 平井CEO NPSデピュイティプレジデントに就任する鈴木氏

 
中鉢社長
 3月末をもって副会長に退く中鉢社長は、エレクトロニクスにおいては、「商品、技術、オペレーションの改善による商品力強化を図ってきた。その結果、ソニーらしい製品、ソニーの存在感を再び示すことができたと考えている。収益でも2007年に過去最高益、利益率5.6%も記録でき、一定の成果を上げることができた。ソニー社員が一丸となった成果。誇りに思う」と振り返った。

 その上で、昨年末以来の経済環境悪化にも言及し、2008年12月、1月に示した改革策が成果を上げていることを強調。「地球環境や安全への関心など、消費者のライフスタイル変化が世界経済変化の底流にある。いまこそ、新しい時代の新しい時代のイノベーションに向けた取り組みが必要と考えた。そのサポートを今後も続けていく」と語った。



■ 社長は不要。「日本のサイロを破壊する」。ARへ取り組みも

 質疑応答で、社長に自ら就任することを問われたストリンガーCEOは、「昨年12月では、これだけの機構変更は時期尚早だった。ソニーが雇用削減に最初に取り組んだが、その反応に対応することに精いっぱいだった。今回が会社としての成長のための戦略。イノベーティブなネットワーク製品のためのだ。CEOは戦略をつくり、それをドライブする。そのためのチームを作った。その間に他の人は必要はない。直接やりとりすればいい。中鉢さんのサポートは今後も必要だが、直接変革を起こす。そのためのチームだ」と訴えた。

 さらに、若い社長をリーダに選ばなかったことについては、「もう一つのレイヤー(社長)がないと、日本の社員がモチベートされないとは思わない。ここにいる4人を見ればわかるだろう。直接活動を見て、アイデアをやりとりしたい。ソニーを外にもっていくという考えではない。ソニーは日本の会社。ただ、ソニーを驚異的にグローバルな会社にしたい。担当者と直接コミュニケーションをとれることが重要で、もうひとつの官僚機構は必要ない」と社長不要を強調した。

 なお、「現在一カ月に2週間程度」というストリンガーCEOの日本滞在時間も、「今後3週間に増えるかもしれない。また、新しい経営陣とともに世界各国に行き、顧客の声を聞いていく」とした。社長報酬についても、「ボーナスはすでにカットしている。どれくらい下げようかと考えているところ」という。

 中鉢氏が退任し、ストリンガーCEOが残ることになるが、自身の経営責任については、「“サイロ(旧来のしがらみ)を壊す”と言って就任したが、すべてのサイロを壊したかといわれるとまだだ。しかしかなり達成し、世界的にうまくやった。日本国内に最も多くのサイロが残っている。そこをもっとやっていく」と言及。また、「自分が体験した最悪の景気後退であるが、新しい方向に向かう、新しいマネジメントを導入するいい機会だ。これが今できるのも中鉢さんが作った基盤のおかげだ」と語った。

 今後の事業の軸となるものは、「引き続きエレクトロニクスではある。ソニーはエレクトロニクスの会社だ。ただ、ネットでエレクトロニクスの差異化をやっていくということだ。ソフトウェアを全社で共用し、ハードウェア製品を統合していく。今回担当する4人ともデジタルの世界に大変習熟している」と説明した。

 また、平井氏は、今後のネットワーク戦略について、PSPの成功とともに、PLAYSTATION NetworkやHomeなどの経験を紹介。さらに「ジャストアイデア」としながらも、「Augmented Reality(AR/仮想現実)的なことが考えられる。ネットから降ってくる情報と現実の情報の接点、リアルとサイバーの接点を活かした展開など、ソニーグループの叡智をいかして考えていきたい」とした。
 


2009227日)

[ AV Watch編集部 臼田勤哉]



00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright © 2014 Impress Corporation. All rights reserved.