【2009東京インターナショナルオーディオショウレポート 1】

-リンのDSシリーズにデジタルアンプ搭載モデル
 アバンギャルドのホーンスピーカーは第2世代へ


会期:10月2日~4日

会場:東京国際フォーラム

入場料:無料(登録が必要)

 日本インターナショナルオーディオ協議会(IASJ)が主催する、オーディオ機器の展示/試聴イベント「2009東京インターナショナルオーディオショウ」が10月2日から東京・有楽町の東京国際フォーラムで開幕した。期間は4日まで。入場は無料となっている。

 国内外のオーディオ機器を展示するイベント。出展社数は昨年より2社増えた30社。各メーカーが防音処理が施した個室を用意し、普段気軽に試聴できないハイエンド機器からミドルクラスのモデルまでを一度に体験できるのが特徴となっている。


 

■ リンジャパン

 音楽データを蓄積したNASから、ネットワーク経由で音楽を再生。プレーヤーから回転機構を省くことで、高品位な音楽再生を行なうDSシリーズが人気のリンジャパン。その最新モデル「SEKRIT DS-I」がオーディオショウで初披露された。

 基本はEthernet端子を備えたDLNA対応プレーヤーだが、プリメインアンプ機能も内蔵。出力70W×2chという強力なデジタルアンプを内蔵しており、NAS経由での音楽再生と同時に、スピーカーも駆動できる。また、アナログライン、同軸デジタル、光デジタルの入力も備え、他の機器とも柔軟に接続できる。

 DSシリーズでは、同様にネットワークプレーヤー機能とアンプを備えた「Sneaky Music DS」というモデルも294,000円で発売されているが、同モデルよりもアンプの出力がアップしている。また、Sneakyはライン出力やデジタル出力を備え、アンプを使った手軽なシステムを構築できる一方、どちらかというとプレーヤーとしても機能する製品だったのに対し、「SEKRIT DS-I」はアンプ寄りの製品になっている。

SEKRIT DS-Iの試聴ルームSEKRIT DS-I。Sneaky Music DSよりも厚めの筐体が特徴背面端子部。入力端子が充実している

 早ければ今月中にも発売するとのこと。価格は262,500円が予定されており、Sneakyよりも若干低価格になっている。外形寸法は192×274×80mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は2.65kg。対応フォーマットやサンプリング周波数はDSシリーズと共通で、WAV、FLAC、AIFF、Apple Lossless、MP3、AACなど。機器の操作はPC用ソフトやiPhone/iPod touch用ソフトから行なう。

 なお、DSシリーズの初期の操作用ソフトは「LINN GUI」だったが、現在は「Kinsky Desktop」と呼ばれるものにバージョンアップしている。アルバムジャケット表示やプレイリストなどに対応し、機能や操作性が向上している。

 また、組み合わせるNASの新モデルも参考展示。「RipNAS」と呼ばれるもので、500GBのHDDを内蔵し、CDドライブも装備しているのが特徴。PCレスでロスレスフォーマットでCDからHDDへのリッピングが可能。英国LINN本社が推奨しているNASとのことで、リンジャパンでも取扱を検討しているが発売時期は未定。価格は15万円程度を想定している。

Kinsky Desktopの画面。ジャケット表示なども行なえ、操作性がアップしているDSシリーズも展示され、その特徴が解説されていたDSシリーズ用のNASとして使える「RipNAS」

 そのほかの展示では、オリジナルスイッチング電源「DYNAMIK Power Supply」に注目。単体の製品ではなく、同社のアンプやプレーヤーなど、多くの製品に組み込まれる電源パーツで、仕様や技術の詳細は明らかにされていないが「ドライブパワーや給電能力をさらに向上させた」というもの。

 DSシリーズの「KLIMAX DS」、「AKURATE DS」、CD/SACDプレーヤー「UNIDISK 1.1」、「AKURATE CD」、パワーアンプ「AKURATE 2200~4200」、スピーカー「KLIMAX 350」など、多数のモデルが同電源搭載にブラッシュアップされており、外観に変更はないが音質は向上している。モデルによって異なるが、84,000円からの有料アップグレードサービスも実施する。

名機SONDEK LP12は現在も進化を続けている右のACモーターから左のDCモーターへのパーツ交換が可能になる。同モーターは専用電源でドライブさらに、筐体底面にはめ込む形のフォノイコライザも追加できるようになる


■ エソテリック

 エソテリックのブースでは、「ハイエンドエレガンス」シリーズのSACDプレーヤー「SZ-1s」や、プリメインアンプ「AZ-1s」など、発表されたばかりの新製品を展示。2モデルは10月下旬発売で、価格は各367,500円。SZ-1sはワードシンク入力(BNC)を装備し、「AZ-1s」のワード出力と接続することで、同期が可能。さらに高音質な再生が行なえるという。AZ-1sはデジタル・プリメインアンプで、USB端子にも対応。音楽ファイルをUSBメモリなどから再生できる。さらに11月下旬発売の、32bit処理に対応したDAC「D-07」(315,000円)も展示されている。

、「ハイエンドエレガンス」シリーズのSACDプレーヤー「SZ-1s」(右)、プリメインアンプ「AZ-1s」(左)32bit処理に対応したDAC「D-07」

 また、同社が輸入販売している独Avantgarde Acoustic(アバンギャルド・アコースティック)のホーン型スピーカーラインナップが刷新。第2世代を意味する「G2」型番に切り替わることが発表された。

 会場で発表されたのは1インチのツイータホーンと27インチのミッドレンジホーン、10インチユニット2基のアクティブサブウーファで構成する「duo G2」(予想価格300万円前後)。ツイータユニットとサブウーファキャビネットを一体化し、設置面積を減らし、ドライバーユニットにネオジウムマグネットを採用。スタンドも改良され、サブウーファ前面にウッドパネルを追加できるなど、細かな改良が加えられている。

Avantgarde Acousticの第2世代製品「duo Ω G2」(中央)nano G2

 試聴用に用意された「duo Ω G2」(予価370万円程度)は、前述の「duo G2」のボイスコイルをハイインピーダンスのものに交換。ドライバーにアルニコマグネットを採用するなどして、107dBという高能率を実現したのが特徴(duo G2は104dB)。ほかにも、20インチのミッドレンジホーンを使った「nano G2」(予価220万円)など、ほぼフルラインナップがG2になり、価格は1割程度上がるイメージだという。製品は11月から順次投入される予定。

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【10月1日】エソテリック、薄型筐体の高級SACDプレーヤー「SZ-1s」
-USB搭載のプリメイン「AZ-1s」も。各367,500円
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20091001_318667.html
【10月1日】エソテリック、32bit処理対応のDAコンバータ「D-07」
-315,000円。USBや192kHz対応デジタル入力を搭載
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20091001_318694.html


■ オルトフォンジャパン

 オルトフォンジャパンのブースでは、7月から発売されている、バランスドアーマチュアユニットを採用した、カナル型イヤフォン「e-Q7」が展示されている、価格は29,400円。アーマチュアユニットのドライバーとしてはシングルだが、一般的なアーマチュアユニットが二磁極型の小型ドライバーを採用しているのに対し、「e-Q7」では新開発の一磁極型の大型ドライバーを採用しているのが特徴。同社では「全く新しい音響設計を実現させた高性能オーディオエンジン」と紹介している。

 また、同イヤフォンとの組み合わせも想定した、新発売のヘッドフォンアンプ「Hd-Q7」も展示。正方形のコンパクトな筐体天面に、大きなボリュームツマミを備えたデザインが特徴。ツマミは45mm径のアルミ棒材から削りだしたもので、シャーシには1.6mm厚のスチール材が使われている。入力はアナログ(RCA)とステレオミニを各1系統、イヤフォン出力はステレオミニと標準プラグを備え、同時出力される。価格は34,440円。

カナル型イヤフォン「e-Q7」ヘッドフォンアンプ「Hd-Q7」

 参考出品として、フロア型スピーカーの「kailas 5」(予価:89,250円/1本)も展示。年内の発売を予定している。3ウェイのフロア型で20cm径のダブルウーファを採用している。

 ほかにも、フォノイコライザーアンプの「EQA-999」を参考展示。発売は年明け以降になる予定で、35万円程度が予定されている。

フロア型スピーカーの「kailas 5」発売中の「kailas 7」」(115,500円/1本)フォノイコライザーアンプの「EQA-999」


■ ハーマンインターナショナル

 ハーマンインターナショナルのブースでは、iPodとの接続を想定したJBLブランドのシンプルなコンポを参考展示。アンプは65W×2chのデジタルアンプを採用し、CDプレーヤーも用意。USBメモリからのMP3/WMA再生や、フォノ(MM)入力、アナログ音声入力×3、デジタル入力×4などを備え、2ウェイのブックシェルフスピーカーも用意。iPodドックも用意される。

 型番は「SAS100」。年内の発売を目指しているが、価格は未定。「スピーカーとセットで20万円以下のイメージ」(ハーマン)だが、iPodドックを標準でセットにするか、単品販売をするかなどの詳細は決まっていない。

JBLのiPod対応コンポ「SAS100」アンプのボリュームつまみのイルミネーションがお洒落だ

 マークレビンソンからは、300Wのモノラルパワーアンプ「No.531H」(予価945,000円/1台)と、300W×2のデュアルモノラルパワーアンプ「No.532H」(予価1,155,000円)が登場。年内の発売を予定しており、No.532に採用されたフルバランス・オペレーション回路と最新の素子を投入しているという。

 JBLのスピーカーでは、LS80シリーズに、新色の「BG」(ブラッククロス)モデルが登場。年明けに発売する予定で、価格は従来の仕上げ(エボニー)と同じ。ホワイトモデルは終了となっている。また、「Project K2 S9900」にも、新たにZW(ゼブラウッド)仕上げが追加される。

マークレビンソンの300Wのモノラルパワーアンプ「No.531H」(上)と、300W×2のデュアルモノラルパワーアンプ「No.532H」(下)JBLのスピーカーLS80シリーズに、新色の「BG」を追加Project K2 S9900のZWモデル(左)


■ その他

 

フューレンコーディネートでは、米Mark & Danielの新スピーカー「Maximus-Monitor+」(左)が参考展示。2ウェイのブックシェルフで、大理石のエンクロージャを採用しているのが特徴。発売日や価格は未定。また、牛のような模様を採用したREVOXのトールボーイ「Sound L120」(中央)も注目をあつめている。起毛で覆われたエンクロージャが特徴で、発売や価格はこちらも未定。右写真はPIEGAの新フラッグシップスピーカー「MasterONE」。ダブルウーファの3ウェイで同軸型リボンユニットを採用。年内の発売を目指しており、価格はペアで500万円~600万円になる見込み
大場商事では、発売を開始したばかりのAvalon Acousticsのハイエンドスピーカー「Time」をデモ。価格はスタンダードモデルがペアで6,825,000円。ほかにも、JEFF ROWLANDのプリメイン「Continuum250」(1,039,500円)や、NAGRAのステレオパワーアンプ「MSA」(1,365,500円)、Avalonの小型フロアモデル「Aspect」(スタンダードモデル・ペア1,323,000円)などの新モデルを展示している


(2009年 10月 2日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]