パナソニック、超解像ズーム搭載のAVCHDビデオカメラ
-35倍の「iAズーム」。手ぶれ補正や“個人認識”強化
HDC-TM70 |
パナソニックは、超解像デジタルズーム機能「iAズーム」を搭載したAVCHDデジタルビデオカメラ3機種を2月20日より発売する。
メモリ内蔵型は96GBの「HDC-TM70」と64GBの「HDC-TM60」を、HDD内蔵型は160GBの「HDC-HS60」をラインナップし、いずれもSDXCメモリーカードによるメモリ増設に対応する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はTM70が12万円前後、TM60とHS60がそれぞれ10万円前後の見込み。カラーTM70がムーンブラック(-K)、TM60/HS60がサニーシルバー(-S)。
撮像素子に新開発の1/4.1型、332万画素のMOSを単板で採用(従来モデルのTM30は147万画素)。1,920×1,080ドットでのAVCHD記録のほか、最高500万画素の静止画記録(動画同時記録時は450万画素)が可能となった。従来モデルより画素数を80%アップしたほか、センサーサイズの拡大により受光面積も拡大したことで、動画/静止画とも画質の向上を図っている。水平解像度は1,080本。記録モードはHA(約17Mbps)/HG(約13Mbps)/HX(約9Mbps)/HE(約5Mbps)の4モードを用意する。
HDC-TM70 | HDC-TM60 | HDC-HS60 |
HDC-TM60(左)とHDDモデルのHDC-HS60(右) |
特徴は最高35倍のズームを実現する「iAズーム」を搭載したこと。光学ズームは25倍(F1.8~3.3)だが、超解像技術により1フレーム内で輪郭部分やディテール、変化の少ない部分を特定し、それぞれに最適な補正を行なうことで最高35倍までズーム倍率を拡張し、25~35倍のiAズーム領域においても「光学ズームと同等の画質を実現する」という。60倍のデジタルズームも備えている。
このiAズームは出荷時の状態でONになっており、標準機能として訴求していく。レンズも従来モデルより大幅に広角化し、35mm換算の焦点距離は35.7~893mm(光学ズーム)、35.7~1,249.5mm(iAズーム利用時)。狭い部屋でも家族の集合ビデオが撮影できるなど、撮影シーンを広げるとともに、iAズームによる望遠側の強化により、従来以上のズーム撮影にも対応している。
また、光学手ぶれ補正機構「Power O.I.S」も強化。ジャイロセンサーを進化させ、さらに微細な手ブレを検出可能としたほか、映像処理回路「HDクリスタルエンジンPro」での処理を加え、従来モデル比で約5倍の手ぶれ補正精度を実現。高倍率ズーム時の撮影者の呼吸によるゆっくりとした揺れや、歩きながら撮影している際のブレなどを大幅に低減したという。
「Power O.I.S」のデモ。従来モデル(左)に比べ、新モデル(右)では高倍率ズーム時のブレを大幅に抑制している |
HDクリスタルエンジンPro |
新映像エンジンの「HDクリスタルエンジンPro」では、輝度ノイズが半分、色ノイズを1/5に抑制。顔認識機能も強化し、「個人認識」に対応した。従来の顔認識では画面中央の人が優先されてしまったが、事前に顔を登録しておくことで、登録した人の顔に優先的にフォーカス/露出を合わせることが可能となった。顔を認識すると名前も表示され、逆さの顔などにも対応する。最大6人までの顔を登録可能で、1画面中で3名まで表示できる。
また、動画撮影時に顔だけでなく、色でも追尾する「追っかけフォーカス」を搭載。動画記録時に取りたい被写体をタッチパネルでタッチして指定するだけで、人物のほかペットなども追尾して撮影できる。
TM70/TM60では、内蔵メモリが一杯になった際に、記録メディアを自動的にSDカードに切り替える「リレー記録」にも対応する。
個人認識のデモ。登録済みの特定の顔を検出し、フォーカスや露出を調整する | 逆さからでも個人を認識 |
録音性能も強化し、新たに「風音キャンセラー」を搭載。単なる低域だけをカットするローカットフィルタだけでなく、内蔵マイクに集音される風雑音を検出し、同じ周波数帯域の音成分を掛け合わせることで風雑音を抑える。海辺や草原、スタジアムなどの風の多いシーンで活用可能という。
最高500万画素のJPEG静止画記録も可能で、動画撮影中の同時記録(450万画素)にも対応。また、新たに「笑顔オートシャッター」を搭載。動画記録とともに、“いい笑顔”の静止画を記録するというもので、手ブレやピンボケなどの失敗撮影は記録せずに消去する。「写真を取られている」という意識を与えないため、自然な笑顔が撮影可能としており、個人認識機能と組み合わせて子供の笑顔などをきれいに撮影できるという。
また、再生機能では、個人認識で登場した顔のシーンのみを抽出して再生する「顔ハイライト再生」も搭載。「孫だけのハイライトシーン」などの再生も可能となる。重要度の高いシーンを類推して再生する、従来型のハイライト再生にも対応する。
大型の液晶モニターを装備 |
液晶モニターは、2.7型/23万画素のタッチパネル方式で視野角は170度。USB端子を装備し、PCへのデータ取り込みにも対応。パソコン用の編集/映像管理ソフトとして「HD Writer AE2.0」が付属する。対応OSはWindows XP/Vista/7。
DIGAとの連携については、SDカードをDIGAに入れるだけでダイレクト再生/ダビングが行なえるほか、USBケーブル接続時のダビングにも対応している。HDMI端子も装備しており、HDMIリンクの「VIERA Link」も強化。VIERAからビデオカメラの基本操作が行なえるほか、新たに緑ボタンで映像ズーム、赤ボタンで縮小を行なうなどの操作が可能となった。
電源オフからの起動時間は約1秒まで短縮(従来モデルTM350/TM30は1.9秒)、クイックスタート時は0.6秒(同0.6秒)。バッテリは小型の「VW-VBK180-K」を採用。連続撮影時間はTM70/TM60が約1時間50分、HS60が約1時間40分。実撮影時間はTM70/TM60が約55分、HS60が約50分。充電器は、従来の本体充電から専用のVW-BC10」を利用するタイプに変更している。
外形寸法はTM70/60が約51.5×112×65.5mm(幅×奥行き×高さ)、HS60が約54.5×112×65.5mm(同)。バッテリを含む重量はTM70が302g、TM60が301g、HS60が369g。ACアダプタや電源コード、バッテリパック、AVケーブルなどが付属する。
(2010年 1月 13日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]