ソニー、超広角レンズ採用など「Exmor R」ハンディカム6機種
-テレ側も手ブレ補正強化/24Mbps記録/裏面照射など
ソニーは、フルHDのAVCHDで撮影可能なハンディカムの新モデルとして、従来から搭載している裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」や強力な手ブレ補正機能を踏襲しながら、レンズの広角化やテレ側の手ブレ補正強化などを行なった「HDR-CX550V」や「HDR-XR550V」など、6機種を発売する。
発売日はテレ側の手ブレ補正を強化した4機種「HDR-CX550V」、「HDR-XR550V」、「HDR-CX370V」、「HDR-XR350V」が2月19日発売。電子式手ブレ補正の「HDR-CX170」と「HDR-XR150」が1月29日発売。全モデルが、メモリースティックデュオとSD/SDHCの両方に対応したメモリーカードスロットを備えている。
ハンディカムの全ラインナップがHDカメラになったほか、全モデルに「Exmor R」や広角化レンズ、ワイド側のアクティブ手ブレ補正機能などの主要機能を投入しているのが特徴。価格は全てオープンプライスで、店頭予想価格は下表の通り。
記録媒体 | モデル名 | 撮像素子 | レンズ ワイド端 (35mm換算) | 手ブレ補正 | その他特徴 | 店頭予想価格 |
64GBメモリ | HDR-CX550V | 1/2.88型 総画素663万 Exmor R | 動画(16:9):29.8mm 静止画(4:3):26.3mm | 新アクティブ (ワイド&テレ) | 24Mbps記録 iAuto ビューファインダー | 13万円前後 |
240GB HDD | HDR-XR550V | 15万円前後 | ||||
64GBメモリ | HDR-CX370V | 1/4型 総画素420万 Exmor R | 動画(16:9):29.8mm 静止画(4:3):27.4mm | 24Mbps記録 iAuto | 11万円前後 | |
160GB HDD | HDR-XR350V | 12万円前後 | ||||
32GBメモリ | HDR-CX170 | 動画(16:9):37mm 静止画(4:3):36mm | 電子アクティブ | 24Mbps記録 iAuto(歩き非対応) | 6万5,000円前後 | |
120GB HDD | HDR-XR150 | 8万円前後 |
■ HDR-CX550V/XR550V
2009年冬モデル「HDR-CX520V/500V」と同様に、暗所撮影に強い1/2.88型、総画素663万の裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」を搭載したビデオカメラ。素子は同じだが、光学系やAF、撮影補助機能などにさらなる強化が施されている。
従来モデルは夜景など、暗い被写体を撮影する際にAF動作が遅く、ジワジワとフォーカスする場面があったが、新モデルではAFアルゴリズムを改善し、2倍高速なフォーカスを実現した。
HDR-CX550V | HDR-XR550V |
さらに光学レンズ部を強化。非球面レンズや特殊低分散レンズなど、各レンズのハイブリッド化や複合非球面へのコーティングなどを行なうことで、超広角を実現。従来のXR500V/520VやCX500V/520Vは、動画撮影時の焦点距離が35mm換算で43mm、静止画が38mmだったが、CX/XR550Vでは動画を29.8mm、静止画を26.3mmまで広角化。撮影領域が約2倍拡大した。ズームは光学10倍で、動画撮影時の焦点距離は29.8~298mm、F値は1.8~3.4。静止画では26.3~263mm。デジタル120倍ズームも用意。絞りはボケ味が綺麗な虹彩絞りを踏襲する。
HDR-CX550Vの上面 | HDR-CX550Vの背面 |
なお、オプションでワイドコンバージョンレンズ「VCL-HGA07B」(0.75倍/18,900円)や「VCL-HGE08B」(0.8倍/12,600円)などを2010年春に発売予定。0.75倍の「VCL-HGA07B」を装着すると、静止画の焦点距離26.3mmが、19.8mmとなる。
手ブレ補正も強化。これまでのXR500V/520VやCX500V/520Vでは、従来比10倍のブレ補正角度を実現するアクティブモードを備え、ワイド端の補正角を大幅に向上させ、特にメモリモデルのCX500V/520Vでは、ブレ検出用のセンサーを3軸に強化することで、上下左右のブレ補正に加え、回転(カメラを構えた状態で左右に傾くシーソーのような動き)に対しての補正も実現。階段を下りながらの撮影でもスムーズな移動映像が得られていた。
新製品のHDR-CX550V/XR550Vでは、こうしたワイド側の手ブレ補正機能をそのままに、テレ側の補正も強化。ズーム用の新アクティブモードを備え、テレ端での手ブレ補正角度を2倍に高めている。
前述の回転ブレ補正では、3軸センサーで検出した情報をもとに、画像処理エンジンのBIONZでデジタル的な手ブレ補正処理が行なわれており、今回のテレ側アクティブモードでも、電子式補正と光学補正を組み合わせている。なお、手ブレ補正のスタンダードモードを選択すると光学式補正のみが行なわれる。
HDR-XR550Vの上面 | HDR-XR550Vの背面 |
撮影補助機能も強化。新たに、シーンに合わせてカメラが自動で各種設定を行なう、おまかせオート機能「iAUTO」を装備した。顔検出(人物 or 赤ちゃん)、シーン検出(逆光/風景/スポットライト/夜景/マクロ/低照度)、揺れ検出(歩き/三脚)、屋内・屋外の判断という、4つの要素、12の撮影状況認識を自在に組み合わせることで、約90通りの設定を用意。シーンごとにこれらの設定を組みあわせ、最適な撮影が行なえるという。
同機能がデフォルトでONになっているほか、ワンプッシュでiAUTOになる専用ボタンも装備。撮影中は、現在のシーンに対して、どのモードが働いているかをアイコン表示する。シーンの検出やリアルタイムに行なわれるため、例えば揺れを検出して三脚や机にカメラが設置されていると判断すると、前述のアクティブ手ブレ補正が自動的にOFFになり、撮影したまま三脚から外し、歩きながらの撮影に移行すると、揺れを検出して自動的にアクティブ手ブレがONになる。
録画品質も向上。従来の最高記録レートは1,920×1,080ドットで16Mbps(FH)だったが、同フルHDで24MbpsのFXモードを新設。同時に、FHモードのレートが17Mbpsに引き上げられた。また、1,440×1,080ドット撮影のSPモードを削除。SD解像度の記録モードもHQ/SP/LPからHQのみにまとめられている。
解像度 | 2009年モデル | → | 2010年モデル | ||
レート | レート | ||||
1,920×1,080ドット | FX | 24Mbps | |||
FH | 16Mbps | FH | 17Mbps | ||
1,440×1,080ドット | HQ | 9Mbps | HQ | 9Mbps | |
SP | 7Mbps | ||||
LP | 5Mbps | LP | 5Mbps | ||
SD解像度 | HQ | 9Mbps | HQ | 9Mbps | |
SP | 6Mbps | ||||
LP | 3Mbps |
ほかにも、ゴルフのスイングフォームを確認できる「ゴルフショット」機能を追加。画面に白枠が表示され、ゴルファーを枠の中に入れて待機。スイングが終わったら動画撮影ボタンを押すと、ゴルフクラブがボールにインパクトした音を検出し、その前後1.5秒分の動画をAVCHD形式で保存すると同時に、1コマずつの静止画でも保存できる。
また、撮影場所の位置データを記録できるGPS機能も引き続き搭載。従来モデルでは軌道上の各衛星の概要情報と、詳細な起動情報(GPSアシストデータ)を衛星から取得していたため、測位に約40秒ほどかかっていたが、新モデルではインターネット経由であらかじめ、付属ソフトの「PMB(ピクチャーモーションブラウザー)」が最新のGPSアシストデータを取得。PCとカメラをUSB接続した際に、その情報をカメラ内に保存。アシストデータを衛星から受信する時間を省くことで、約5秒に測位所要時間を短縮している。
そのほか、動画撮影と同時に830万画素相当の静止画を同時記録したり、1,200万画素相当の静止画撮影モードも用意。本体で210万画素の静止画を動画から切り出したり、付属ソフト「PMB」で300万画素の静止画を切り出すなど、豊富な静止画撮影/切り出し機能も使用できる。
ビューファインダーやカメラコントロールダイヤルも装備。ダイヤルにはマニュアルフォーカスやAEシフト、明るさ調整、ホワイトバランスシフト機能を割り当てられる。
また、マニュアル撮影では虹彩絞りによるボケ味の良さを活かすために、新たにアイリス優先機能を装備。シャッタースピード優先も追加している。ほかにも、顔検出機能や優先顔キメ機能、スマイルシャッターなど、従来の撮影補助機能も備えている。
液晶モニタは3.5型のタッチパネルで、従来の3.2型からサイズアップ。デジタルフォトフレーム「S-Frame」でも採用されているTruBlack液晶を採用。コントラスト比が1.5倍の800:1、輝度が13%向上の450cd/m2を実現している。
連続撮影時間は、別売バッテリの「NP-FV100」を使用した場合、CX550Vが最大7時間35分、XR550Vが最大6時間45分の撮影に対応する。外形寸法と重量はCX550Vが66×143×74mm(幅×奥行×高さ)で、約440g(撮影時重量は約490g)。XR550Vが70×143×74mm(同)で、約510g(撮影時は約570g)。
撮影後は、付属ソフトのPMB(ピクチャーモーションブラウザー)で、撮影動画の管理や、編集、Blu-rayを含めたディスクへの書き出し、YouTubeへのアップロードなどが可能。また、カメラと外付けHDDを別売のUSBケーブル「VMC-UAM1」(2,000円)で接続することで、PCを使わずにカメラ内のデータをHDDに保存可能。HDD内の映像をカメラ側から再生し、HDMI端子を介してテレビに表示するといった使い方もできる。
既発売のDVDドライブ「VRD-P1」をカメラに接続し、AVCHDディスクとして書き出す事ができ、DVDビデオのSD映像にダウンコンバートしながら書き出す機能も備えている。なお、VRD-P1を使った書き出し時は、新撮影モードの24Mbpsには対応していない。また、ソニー製対応BDレコーダと組み合わせると、ワンタッチでカメラ内の動画をレコーダのHDDに転送。レコーダ側のメニュー画面作成などの機能を使いつつ、BDに書き出すことも可能。この場合は24Mbps動画も扱える。
■ HDR-CX370V/XR350V
1/4型、総画素420万の「Exmor R」を搭載する2機種で、静止画は710万画素相当。動画撮影中に530万画素の静止画同時記録も可能。XR350Vはシルバーのみだが、CX370Vはシルバー(S)に加え、ボルドーブラウン(T)のカラーバリエーションを備えている。
レンズは広角仕様で、動画は前述のCX550V/XR550Vと同じ29.8mm(35mm換算)だが、静止画は27.4mm(同)となる。
ズームは光学12倍で、デジタル160倍。F値は1.8~3.4。主な機能はCX550V/XR550Vと同じで、ズーム対応のアクティブ手ブレ補正や、iAUTO機能、最高24Mbpsでの記録、ゴルフショット機能、GPSなども装備する。
HDR-CX370Vのシルバー | HDR-CX370Vのボルドーブラウン | HDR-XR350V |
ビューファインダーは両モデルとも非搭載。液晶モニタは23万画素で2.7型のクリアフォト液晶。タッチパネル仕様となっている。
外形寸法は両モデルとも、従来モデルから小型化。外寸と重量は、CX370Vが52×112×64mm(幅×奥行き×高さ)、約320g(バッテリ込みで約370g)。XR350Vは59×113×67mm(同)で、約390g(バッテリ込みで約440g)。連続撮影時間は、別売バッテリの「NP-FV100」を使用した場合、CX370Vが約7時間50分、XR350Vが約7時間10分。
■ HDR-CX170/XR150
エントリーモデルの2機種で、CX170は32GBメモリを内蔵したコンパクトタイプ。XR150は120GBのHDDを内蔵したモデルとなる。
1/4型、総画素420万の「Exmor R」を搭載。静止画は310万画素相当。動画撮影中に270万画素の静止画同時記録も可能。カラーは、CX170がシルバー、ブルー、レッド、ブラックの4色を用意。XR150はブラックのみとなる。
HDR-CX170のシルバー、レッド、ブルー | ||
HDR-CX170のブラック | HDR-XR150はブラックのみ |
レンズは光学25倍(動画撮影時で37~1,057mm/F1.8~3.2)、デジタル300倍ズーム。光学手ブレ補正は備えていないが、電子式手ブレ補正が利用でき、新たにワイド側で補正量従来比10倍という、電子式のアクティブモードを搭載した。
顔検出、優先顔キメ、スマイルシャッター、24Mbps記録対応、iAutoなどの機能は上位機種と同様に装備。なお、iAutoの設定は60種類となる。液晶モニタは2.7型のクリアフォト液晶となる。別売バッテリの「NP-FV100」を使用した場合、CX170が約8時間35分、XR150が約7時間50分。外寸と重量は、CX170が50×106×56mm(幅×奥行き×高さ)、約210g(バッテリ込みで約260g)。XR150は57×106×67mm(同)で、約300g(バッテリ込みで約350g)。
なお、これらの機種に対応するアクセサリの新製品も多数投入される。
(2010年 1月 14日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]