ソニー、新BRAVIAは「LEDにプラス」で画質や省エネ訴求

-LED+人感センサーや新ビデオ配信などで差別化


2月25日発売

標準価格:オープンプライス


 ソニーは、液晶テレビ「BRAVIA」の春商戦向け新モデルを発表した。エッジライト式のLEDバックライトを採用した薄型の「EX700」のほか、売れ筋の40型で販売拡大を狙う「EX500」、22~32型のパーソナルサイズの「EX300」の3シリーズ8モデルを2月25日より発売する。

品番サイズ解像度バックライトカラー店頭予想価格
KDL-52EX70052型1,920×1,080ドットLED
(エッジ)
ブラック30万円前後
KDL-46EX70046型ブラック
ホワイト
23万円前後
KDL-40EX70040型17万円前後
KDL-32EX70032型12万円前後
KDL-40EX50040型CCFLブラック13万円前後
KDL-32EX30032型1,366×768ドットブラック
ホワイト
ブラウン
ピンク(22型のみ)
9万円前後
KDL-26EX30026型8万円前後
KDL-22EX30022型7万円前後
BRAVIA EX700/EX500/EX300シリーズ

 EX700シリーズはLEDバックライトを採用した薄型の筺体が特徴。全モデルで高画質回路に「ブラビアエンジン3」を搭載するなど、画質の向上を図ったほか、ネットワーク機能も強化。YouTubeやU-NEXT、アクトビラ ビデオ・フルなどが楽しめる「ブラビアネットチャンネル」機能を搭載し、テレビ上でオンデマンドでのビデオ配信が楽しめる。また、DLNAクライアントとしてBRAVIAを利用できる「ソニールームリンク」にも全モデルが対応する。


KDL-52EX700KDL-40EX500KDL-22EX300

 


■ 「ソニーはLEDにプラス!」で、LEDだけではない魅力を訴求

ソニーマーケティング ディスプレイマーケティング部 粂川統括部長

 ソニーマーケティング ディスプレイマーケティング部 統括部長の粂川滋氏は、「日本全体の厳しい経済環境の中でも、2011年のアナログ停波に向け、また昨年導入されたエコポイントの効果もあり、薄型テレビ業界には追い風が吹いている。2010年の国内市場規模は1,600万台前後と予想しているが、その中でも新しい動向が顕在化している。それが“省エネ”と“テレビのネット動画視聴”の2つ」と切り出し、新しいBRAVIAシリーズの強化点を解説した。

 EX700シリーズについては、32~52型のフルHD LED搭載モデルを一挙に投入する。「LEDバックライト搭載」は、2010年の薄型テレビの大きなトレンドともいえるが、粂川統括部長は、2004年発売の世界初のLEDバックライト搭載液晶テレビ「QUALIA 005」などの例を紹介しながら、これまでのLED搭載テレビの歴史を説明。「ソニーはLEDにプラスして、一歩先のテレビを投入する」という。

省エネとネット動画対応が求められているソニーのLEDバックライト採用テレビの歴史ソニーはLEDにプラスして、一歩先へ。
EX700シリーズの3つのポイント

 具体的には、LEDという特徴に加え、「省エネ」、「高画質」、「デザイン」の3点をアピールしていく方針。省エネについては、LED採用による環境負荷の低減に加え、人感センサーを搭載し、見ていないときに自動で映像をオフにすることで電力を約80%節約する(従来モデルV5では約50%)。

 高画質については、映像エンジンを「ブラビアエンジン3」に強化したことや、色温度/明るさセンサーによる自動画質調整機能「おまかせ画質センサー」などを訴求。さらに薄さを活かしたデザインなどもアピールしていくという。

 40型フルHDながら、実売13万円と低価格化戦略により台数を狙う「KDL-40EX500」は、「リビングのベーシックモデル」と位置づけながらも、画質やネットワーク機能、拡張性は上位モデル相当のものを搭載。「EX500の投入により、1台でも多くのリビングのカラーテレビの置き換えを狙うとともに、32から40型へのインチアップも訴求していく」とする。

 EX300シリーズは、「2台目、3台目の買い増し需要を狙う」とし、カラーバリエーションの豊富さで、インテリアへのマッチを狙う。さらに、ブラビアエンジン3や、HDMI×4などの拡張性、YouTubeやアクトビラなどのネットワーク機能を充実させた点を訴えていく。

 今回発表の新シリーズの大きな特徴といえるのが、ベーシックモデルながらネットワーク機能を充実させたこと。従来もテレビ画面の右横にウィジェットを表示する「アプリキャスト」やビデオ配信/情報ポータルの「アクトビラ」などの対応を進めてきたが、現在のBRAVIAのネットワーク接続率は、46型以上で20%、40型で15%、32型で5%にとどまる。

BRAVIAのネット接続率は、46型以上でも20%にとどまるブラビアネットチャンネルの特徴

 粂川統括部長は、「決してこの数字に満足しているわけではない。逆にいえばここにビジネス機会があると考えている。そのために超えなければいけないハードルが2つある」と語り、「バリエーションのあるコンテンツ環境」、「テレビをネットワークにつなぐ難しさ」という課題を挙げた。コンテンツについては、新サービスのブラビアネットチャンネルで、接続の難しさについては同時発売の無線LANアダプタ「UWA-BR100」で解消できる点をアピールし、ネットワークへの積極的な接続を呼びかけた。

 新サービスのブラビアネットチャンネルでは、リモコン操作で一覧性の高い専用のUIで、ビデオコンテンツを選択/視聴できるもの。製品発売時には「YouTube」の視聴が可能で、今春にはUSENの動画配信サービス「U-NEXT」も視聴可能になる予定。メニュー画面のXMBの[ビデオ]メニューからアクセス可能で、リモコン操作でビデオコンテンツを選択/視聴できる。

 UIの仕様をソニーが策定しており、それに沿ったメタデータを各サービスプロバイダが提供し、BRAVIAで表示。ビデオコンテンツの配信や課金システムなどは、サービスプロバイダが行なう。無料コンテンツだけでなく、有料配信も予定している。YouTubeではPCで作成したアカウントにログインし、お気に入りコンテンツの再生なども可能。また、キーワードによるコンテンツ検索や類似コンテンツの検索などにも対応する。

XMBのビデオから、サービスを選択ブラビアネットチャンネルでYouTubeにアクセスコンテンツの選択画面
再生画面U-NEXTのトップページ専用のUIでリモコンを使ったブラウズが可能
プロモーションは篠原涼子さんが続投

 なお、ソニーでは、グループ全体で「ソニーオンラインサービス」という新しいネットワークサービスプラットフォームの立ち上げを発表しているが、今回のブラビアネットチャンネルはこれとは別のもので、「動画コンテンツを楽しむためのもの」と位置づけているという。

 製品のプロモーションには引き続き篠原涼子さんを起用し、「ソニーはLEDにプラス!」をキーワードに、LEDと人感センサーを中心に訴求。「年末商戦並み」という予算を投入予定としている。なお、春商戦でのLEDバックライト搭載モデルの比率については、「40インチ以上の台数ベースで、半分まではいかないが、それに近い水準になるとみている」という。

 なお、海外などで「LEDテレビ」という名称で展開している会社もあるが、「ソニーではテレビとしては“液晶”テレビと認識しており、LEDのバックライト搭載の液晶テレビという表示が正しいと考えている」とした。また、3D対応テレビについては、「国内市場でも、今年中に発売するための準備を続けている」と言及するに留めた。


(2010年 1月 20日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]