J:COM、今春に3D VODサービスを開始。2009年は過去最高益

-KDDI資本参加について説明。地デジ/BSパックも計画


森泉知行 代表取締役社長

1月28日発表


 ジュピターテレコムは、同社のCATVサービス「J:COM TVデジタル」で展開中のVODサービスにおいて、2010年春から3D映像コンテンツの配信を開始する。

今春にJ:COM TVデジタルで3DのVODサービスを開始

 28日の決算発表会で明らかにしたもので、2009年12月期の業績報告とともに、今後のJ:COMの成長戦略や25日に発表されたKDDIによる資本参加について説明を行なった。

 3Dコンテンツ配信については、J:COM TVデジタルのVODプラットフォームを活用。大手電機メーカーが今後販売予定の3Dテレビ標準仕様に対応するという。専用メガネを使い3D視聴を可能とし、コンテンツはJ:COM参加のチャンネルを中心に、映画、エンタメ、スポーツなどを国内外から調達予定としている。

 また、2010年の重点施策として2011年の地上デジタル完全移行に向け、共聴施設のデジタル化需要の取り込みを挙げている。現在J:COMのサービスエリアのうち、デジタル放送の難視共聴世帯が約115万世帯あるが、このうち54万世帯においてはJ:COMが共聴設備を導入することで同意しているという。残りの61万世帯の取り組みを今後積極的に図っていくほか、合意済み世帯における有料サービスの拡大に取り組む。さらに地デジとBSデジタルに絞り込んだ新しいサービスパックの導入も計画している。

 加えて、2010年には、HDチャンネルを現在の32chからスポーツやエンタメ、映画などを中心に50chまで拡大。ビデオオンデマンドの強化も図り、その一環として3Dコンテンツを取り入れるほか、ハリウッドコンテンツの早期のVOD配信を目指すという。

 さらに、グループブランディングも、「メディア」という点を強く一出していく方針で、EntertainmentとMediaを組み合わせた「The EntertainMedia Company」をアピールしていくという。

共聴施設のデジタル化需要を取り込みHDチャンネル拡大や見逃しサービス、VODのハリウッドコンテンツ配信早期化などに取り組む新ブランドスローガンを策定

 


■ 7期連続増収で過去最高益を記録。KDDIの資本参加についても言及

2009年12月期連結業績は過去最高益を記録

 2009年12月期の連結業績は、営業収益が前年比13%増の3,337億円、営業利益が同14%増の612億円、株主帰属当期純利益が同9%増の305億円。森泉知行社長は、「7期連続の増収で、過去最高益を更新した」と報告した。

 2009年末の総加入世帯は前年比3%増の327万世帯で、ホームパス(設置工事済み世帯)は前年比3%増の1,259万世帯。J:COM TV、J:COM NET(高速インターネット)、J:COM PHONE(電話)などの提供サービス合計(RGU)は同6%増の595万世帯となった。

 テレビにおけるデジタルサービスは前年比18%増の235万台で、デジタル比率は同12ポイント増の90%となった。

 2010年は、前述のデジタル化需要取り込みや3D対応などのテレビサービス拡充、コンテンツ強化などに取り組む。これらの施策により、2010年12月期の連結業績予想を、売上高が前年比7%増の3,570億円、営業利益が同9%増の665億円、株主帰属当期純利益が同7%増の325億円とし、8期連続増収と過去最高益の更新を見込んでいる。

2009年の主なマイルストーン。デジタルテレビは200万越え経営上の主な実績2010年度の連結業績予測は8期連続の増収を見込む

 質疑応答では、25日にKDDIが発表したJ:COM株式の35.7%取得について質問が集中した。

 ジュピターテレコムの森泉知行代表取締役社長は、「1月になって、『資本参加する意向』というお手紙はいただいていました。手紙ということでこちらからそれ以上のコンタクトは取っていませんでしたが、25日に(KDDIの)小野寺社長から電話を頂いて、15時に発表すると聞いた。昨日(27日)KDDIの方がご挨拶にみえて、若干お話はしましたが、細かい話は引き続きやりましょうということになっている。ですから、どのくらい内容を知っているかというと、小野寺さんが会見された程度のことしか把握していない」と経緯を説明。

 また、今回のKDDIの資本参加について、「TOB(株式公開買付け)が必要ではないかとの声が上がっている」という点については、「戦略の詳しい内容やステークホルダにどういう影響があるかという点は、今後も密に連絡をとってやっていきたい。金融商品取引法や独占禁止法など確認が必要なこともあり、自社の法務や弁護士とともに、確実に適法とされるようにやっていきたい」と語った。

 今後のKDDIとの協業については、「一般論としては、KDDIがパートナーになりうる、とは思っていた。その点においては驚かなかったし、市場関係者も同じだと思う。ただ、今後どういうシナジーを出していくかなると、KDDIが全体の中でどのようにCATVを位置付けるのかで変わる。まだ十分な説明は頂いていないが、そうしたやりとりを踏まえて、結果的に株主、従業員などの利益になるものであれば取り組む。ただし、今は何も聞いていないので、これ以上申し上げることはできない」と語った。

 KDDIによる資本参加が、「有効的なものか、それとも敵対的と感じたか?」との質問には、「全体のストーリを聞いていないので、(KDDIが)現状のマネジメントを尊重するということを言っているようで、敵対的ではないのかなとは思っている。ただ、繰り返しになるが、どういう考えでやられるのか、もう少し詳しくお聞きしたいと思っている」とした。


(2010年 1月 28日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]