ソニー、TVなどの内部配線を無線化するミリ波伝送技術
-0.13mm2回路で11Gbps伝送。機器を小型化/省電力化
2月8日発表
ソニーは8日、テレビなど電子機器内部において電気配線を用いることなく高速にデータを伝送できる「機器内高速ワイヤレス伝送技術」を開発したと発表した。この技術により、基板やICの小型化と低コスト化を実現するという。
機器内高速ワイヤレス伝送技術のブロック図 |
今回の新技術には、ミリ波によるワイヤレス伝送を採用。ミリ波は周波数30~300GHz、波長1~10mmで、周波数が高いため高速データ伝送が行なえるほか、小さなアンテナでワイヤレス伝送できることが特徴。CMOS-LSI上に0.13mm2で搭載できるため、大規模なシステムLSIに低コストで組み込み、1チップ化できるとしている。ミリ波による機器内高速ワイヤレス伝送は世界初としている。
データ伝送量の増大で配線数が増えている機器の電気配線をこのワイヤレス伝送に置き換えることで、ICの小型化やICパッケージと配線基板の簡素化が可能となり、搭載機器の小型化や低コスト化に貢献。また、非接触伝送により、可動部や着脱部の信頼性も向上できるとしている。
同社が通信・放送分野で培った高周波技術を応用しており、送受信合わせて0.13mm2の小面積で40nmCMOS-LSI上に搭載でき、約1mmの小型アンテナを使って14mmの距離で11Gbpsの高速伝送を実現した。
また、受信器を送信周波数に同期させる同期検波には、広く使用されるPLL(Phase Locked Loop)に比べ小規模な回路で実現可能とする「注入同期方式」(受信した信号を発振器に入力することで発振機を入力信号に同期させる方式)を採用。小型/低消費電力化と機器内伝送に必要な伝送距離を両立させたとしている。
今後、このワイヤレス伝送技術は電子機器への応用が進められ、更なる高性能化に向けた研究開発を継続するとしている。なお、この研究内容は2月7日~11日に米国サンフランシスコで行なわれる「ISSCC 2010」で学会発表される。
(2010年 2月 8日)
[AV Watch編集部 中林暁]