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NUARLから、MEMS+DDのイヤカフ型。Questyleから、ESSデュアルDAC搭載「SIGMA Pro」
2025年7月12日 17:04
e☆イヤホンによるイヤフォン・ヘッドフォンを中心とした、ポータブルオーディオ試聴・体験イベント「ポタフェス 2025 夏 秋葉原」がベルサール秋葉原で開幕した。期間は。7月12日、13日の2日間開催で、入場無料。ここではNUARL、Brise Audiio、ミックスウェーブなどのブースをレポートする。
NUARL
8月8日に発売する有線イヤフォンで、マグネシウム筐体に独自のシングルダイナミックドライバーを搭載した「NUARL NX1 Chapter2 HDSS Hi-Res STEREO EARPHONE」(Chapter2)が登場。価格は49,500円。
新型ダイナミックドライバー「NUARL DRIVER[N10]v5X2」を搭載。前モデルにも採用されているφ10mmカーボンナノチューブ複合振動板の器材硬度を高めることで、超高域で起こる周波数特性の乱れを改善した。
筐胴には軽量でありながら剛性が高く、素材独自の付帯音が少ないマグネシウム合金を採用。5軸CNC切削加工により、鋳造や鍛造では出来ない複雑な曲線の組み合わせにすることで筐体内部での共鳴を抑制しながら、持ちやすい独自のデザインも施した。内部の配線やケーブルの接続には、上位機種同様の日本製20%銀含PbフリーのSnAgCu(スズギンドウ)半田を使用している。
さらに、「X033(仮称)」という、イヤカフ型の完全ワイヤレスイヤフォンも参考展示。耳に挟むように装着し、ながら聴きができるイヤフォンだが、X033はMEMSドライバーとダイナミック型ドライバーを搭載し、さらにLDACコーデックもサポートするなど、音質にこだわっているのが大きな特徴。
また、耳に当たる部分を柔らかい素材で構成する事で、装着時のストレスをより低減している。
Brise Audiio
Brise Audiioのブースでは、開発中の据置ヘッドフォンアンプも接続された、ハイエンドな据置機器を使った試聴環境を用意。さらに、ハイエンドポータブルヘッドフォンアンプ「WATATSUMI」や、「FUGAKU システム」も聴くことができる。
また、Brise Audio初めての量産イヤフォンケーブルとして開発している「MIKAGE」も展示。量産ながら、Brise Audioで使用している高機能高純度銅を贅沢に使用。高音質加工の簡易版も施すなど、かなり手間とコストをかけたケーブルだという。
ミックスウェーブ
ミックスウェーブブースで注目なのは、Beat Audioが手掛けた初のイヤフォン「Initium (仮)」だ。価格などは未定。
BAドライバー×1基の、あえてシンプルな仕様とする事で、ケーブルによる音の違いがわかりやすいイヤフォンになるという。イヤフォンの筐体は、ケーブルのプラグなどで使っている金属・仕上げと同じもので作られているのも特徴だ。
Campfire Audioからは「Relay」というコンパクトなDACアンプが登場。AKMのDACである「4493SEQ」を搭載し、バランス出力も備えている。
HiByからは、DAPの新製品である「R6 Pro II 2025」に加え、「R8 II」の筐体を、光沢の無いアルミニウム合金にしたマイナーチェンジモデル「R8 II with the aluminum alloy frame」も登場。光沢を抑える事で、指紋が目立ちにくくなっている。
IidaPiano
IidaPianoブースで初登場したのが、イタリア・ミラノを拠点とするNTS(NTS Audio)というブランド。イタリアのミュージシャンなど、プロ向けのカスタムIEMを手掛けつつ、ユニバーサルイヤフォンも作っているブランドで、ユニバーサルイヤフォンは、いずれもコンパクトかつ洗練されたデザインが特徴だ。
「ONE」、「TWO」、「THREE」という3機種が展示されており、ONEは既にイタリアで発売済み。TWO、THREEは開発中のモデルだが、日本で展開する場合は、3モデル一気にラインナップする予定だという。価格はONEが149ユーロ、TWOが249ユーロ、THREEが349ユーロで、日本での価格は未定だが、おおよそ3万円、5万円、7万円ほどのイメージだろう。
ユニット構成は、ONEがデュアルダイヤフラム構造のダイナミックドライバー×1、TWOがBA×2、THREEがBA×3を搭載する。
ウクライナ・キーウ発のハイエンドIEMブランド、Ambient Acousticsからは、開発中の新作試作機「Nebo」が登場。空を意味するモデル名で、ライブモニター向けのIEMとして開発されている。
ユニットは、BA×5、ダイナミック×2の7ドライバーで、ダイナミック型は同軸でアイソバリック方式になっているという。会場には、音のチューニングが異なる2つの試作機が用意され、来場者からの意見を集めていた。
ベトナム・ホーチミン発のブランドSoranik(ソラニック)のイヤフォン「MEMS-3S 2025」も参考展示。Soranikは、MEMSドライバー技術をいち早く実用化したブランドの一つ。内部に、xMEMSとUSound、2基のフルレンジMEMSスピーカーを同軸かつアイソバリック構成で搭載する。
xMEMSのものは、シリコン基板上に形成されたモノリシックMEMSスピーカー。超高速なレスポンスと高域の伸びが特徴という。USoundのものは、最大80kHzの超広帯域再生に対応するMEMSトランスデューサー。中低域の描写力に優れ、立体的で触感的な音像を生み出すとのこと。
これらのMEMSスピーカーに加え、低域用として6mmのフルレンジ・ダイナミックドライバーと、10mmのサブウーファーも内蔵。ミッドベースからローエンドまでを補完している。
なお、MEMSスピーカーは、一般的なIEMドライバーとは異なる駆動方式を採用しているため、専用の駆動機構が必要。MEMS-3S 2025には、MEMSのために専用設計されたポータブル・エナジャイザーがセットになっている。
他のMEMSイヤフォンでは、MEMSと従来型ドライバーの双方を正常に動作させるために特殊な多芯コネクタが必要とされることが一般的だが、MEMS-3S 2025ではSoranik独自の技術により、従来の2ピン(0.78mm)および4.4mmバランス端子に対応。特別な配線や専用ケーブルが不要で、一般的なIEM用ケーブルと同様に自由なリケーブルが可能なのも特徴。
HeartFieldの新モデル「CU8」は、新たな「Referenceシリーズ」として展開するイヤフォン。価格は未定だが6~7万円ほどのイメージ。
HeartFieldは、これまで“滑らかで心地よい音”を追求するチューニングをしてきたが、3年前に、ある録音エンジニアが「低域が強調されすぎていて、スネアドラムのヘッドが震える細かいニュアンスが埋もれてしまっている。自分が求めているのは、すべてのディテールを正確に描き出す“ツール”であって、雰囲気を演出するためのイヤフォンではない」という意見があったという。
これをキッカケに、音づくりのアプローチを見直し、これまでのサウンドを基盤としつつ、“心地よい音”でも“測定値だけの製品”でもなく、“リスニングとモニタリングのあいだ”にある、ニュートラルで制御された音響再現を追求したモデルとして開発した新機軸のイヤフォンが「CU8」だ。
サウンドアース
サウンドアースのブースでは、UCOTECHから、ノズルの角度なども微調整するなどリチューン・リビルドされた「RE-3Pro」や、「RE-1Pro」が登場。
新ブランドMelody Wingsの第1弾イヤフォン「Venus」も聴くことができる。7月4日に発売されたばかりで、アンバサダーとして、アニメソング歌手のELISAを起用。筐体は3Dモデリングソフトを使って開発され、フィット感や快適な装着性を追求。内部にダイナミックドライバー×1、バランスド・アーマチュア(BA)×3を搭載する。
DUNUからは、元イヤフォン専門店スタッフのかじかじ氏が運営しているYouTubeチャンネル「カジェログ」とDUNUがコラボしたイヤフォン「絃(ITO)」が登場。かじかじ氏が、約1年間ほどチューニングして、理想の音に仕上げたというモデルだという。
AFULからは、新たなフラッグシップモデル「DAWN-X」が登場。ダイナミック×1、BA×8、EST×4、BC×1という豪華な仕様ながら、価格は1,300ドルほどに抑えているのが特徴だ。
01Diverse
01Diverseのブースで注目を集めているのは、SIVGAブランドの試作ヘッドフォン。SIVGAと言えば、日本電気硝子の“超薄板ガラス”を平面振動板にしたイヤフォンSIVGA「Que UTG」が話題となっているが、そのガラス振動板を使った、50mm径ユニットを採用したのが、試作ヘッドフォンとなっている。
価格は未定だが、3万円以下のイメージで、「超薄板ガラス振動板のサウンドを、多くの人に体験していただくためのモデルとして開発している」という。
同じく、SIVGAの「Nightingale Pro」は、SIVGA自社開発の平面駆動型ドライバーを搭載した既存イヤフォン「Nightingale」をベースに、ドライバーを進化させ、マグネットも強化。付属ケーブルに銀線も取り入れている。
さらに、SIVGAのインナーイヤー型「M200」の上位モデルとなる「M300」も参考出展。筐体の中央にウッド素材を使い、サウンドの広がりや、響きの良さを進化させたものになるという。
Questyle
Questyleのブースでは、ポータブルアンプの新モデル「SIGMA」と「SIGMA Pro」を参考展示している。SIGMAは10月頃に発売予定で、価格は未定だが10万円程度の見込み。SIGMA Proはその上位モデルとなる予定だが、価格や発売時期は未定。
どちらのモデルも、カレントモードアンプを搭載し、フルディスクリートかつフルバランス設計を採用。SIGMAはAKMの「AK4493」を、SIGMA ProはESSの「ESS9069」をデュアルで搭載している。
SIGMA Proは、PCとUSB接続し、アナログ入力を録音するオーディオインターフェースとして使うこともできる。バッテリーを内蔵したポータブルアンプだが、デスクトップオーディオなど、据え置きでの利用も想定している。