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2200円の超コスパイヤフォン「AZLA TRINITY」から、世界初展示Empire Ears「ODIN MKII」

ベルサール秋葉原

e☆イヤホンによるイヤフォン・ヘッドフォンを中心とした、ポータブルオーディオ試聴・体験イベント「ポタフェス 2025 夏 秋葉原」がベルサール秋葉原で開幕した。期間は。7月12日、13日の2日間開催で、入場無料。ここではアユートのブースをレポートする。

Empire Ears

「ODIN MKII」

Empire Earsから世界初展示されたイヤフォンが「ODIN MKII」だ。8月発売予定で、予価は693,000円。

デュアルコンダクション&クアッドブリッド11ドライバー搭載の新フラッグシップIEM。デュアルダイナミックドライバー、高精度BAドライバー、静電ドライバー、骨伝導ドライバーを含む、最新鋭の11ドライバーを、クアッドブリッド構成で搭載。「息をのむような明瞭さ、奥行き、没入感を実現する」という。

筐体は、マットブラックの6061-T6アルミニウムシャーシで、24K金メッキのフェイスプレートも採用する。

Empire Earsの創設者であるDean Vang氏の姿も。ODIN MKIIは、「リスナーを音楽の中に誘う、私がIEMに求めるものを全て表したモデルに仕上がっている」とのこと。組み合わせるケーブルにもこだわり、理想を追求して、自社で作ったケーブルを採用しているそうだ。

Empire Earsの創設者であるDean Vang氏

VOLK AUDIO

アユートが、新たに国内輸入代理店契約を締結したのが、米国発の新オーディオブランド・VOLK AUDIO(ヴォルク・オーディオ)。米国有数のカスタムIEMメーカーで、長年最先端のIEMを設計開発・製造・販売に携わってきた経験を持つJack Vang氏によって、2025年4月に創設された。

「ÉTOILE」

その第1弾製品となるハイエンド・ユニバーサルIEM「ÉTOILE」(エトワール)が出展された。8月発売予定で、予価は693,000円。

クアッドブリッド10ドライバー構成で、超低域~低域用に独自の10mmダイナミック型の「M10」×1基、中域~中高域にSonion BA×4基、高域~超高域にSonion静電ドライバー×4基、さらに高域~超高域に独自の8mm静磁ドライバー「M8」×1基を搭載する。

静磁ドライバーは、静電型(EST)の一種で、静電磁気(MST)とも呼ばれている方式。ESTは静電気を帯電させた振動板の前後に、電極を配置して振動させる方式で、高電圧が必要。

それに対して静磁ドライバーは、静電気と前後のマグネットによる磁力も併用することで、低電圧で駆動できるようにしている。さらに「M8」では、極薄の振動板の表面に導電性トレースを直接組み込むことで、安定した磁界内に均等に吊り下げられている。この振動板は、平面磁気ドライバーのように、表面全体で均一に振動するため、歪が抑えられ、高瀬解像度な描写ができるという。

サウンドチューニングには、グラミー賞を5度受賞したロサンゼルスのOsiris StudioのサウンドエンジニアであるMichael Gravesが協力。彼のマスタリング環境における音色の正確さと空間制御を捉えるために精密に調整されたニアフィールド・リファレンス・モニターを目指したという。

6061-T6アルミニウムをCNC加工したフェイスプレートに24K金メッキ加工が施した、ラグジュアリー感漂う筐体デザインも特徴。世界350本限定生産モデルになる。

「ÉTOILE」

短時間ながら、サウンドを体験したが、イヤフォンとは思えない空間の広さと、ワイドレンジなサウンドが展開。特に、中高域の解像度が高く、ソリッドでシャープな高域が、聴いていてゾクゾクするような快感がある。静電ドライバーと組み合わせた、独自の8mm静磁ドライバー「M8」の効果によるものだろう。

会場にはJack Vang氏も来日。静電ドライバーによって、解像度や抜けの良さ、立体感は実現できるが、「静電ドライバーだけに頼ると音質に深みが欠けていると感じて、独自の8mm静磁ドライバーM8を搭載。音の厚みと質感を高めるように設計した」という。

さらに、チューニングの過程ではMichael Graves氏とタッグを組み、彼のスタジオに試作イヤフォンを持ち込み、修正と議論を重ね、ÉTOILEを完璧なものに仕上げたという。Michael氏からのアドバイスは、「ここを弱めてとか、ここを強めてというものではなく、この音符はもっと長く持続させなければいけない、このエリアではもっと呼吸が必要」といったもので、そうしたアドバイスを、イヤフォンに落とし込み、完成したのがÉTOILEだ。

VOLK AUDIO創業者、Jack Vang氏も来日

Maestraudio

Maestraudioからは、3つのイヤフォンが参考展示されている。

「MAPro1000 II」

「MAPro1000 II」は、8月発売予定で、予価は14,300円。小型だが、広いサウンドステージとフラットなサウンドが特徴の「MAPro1000」。そのリミテッドモデルである「MAPro1000 Bluish Snow」の仕様をベースにした、MAPro1000のアップデートモデルが「MAPro1000 II」となる。

「MAPro1000 II」

10mmグラフェンコートダイナミックドライバーに、5.8mmのRSTを搭載したハイブリッド構成。接点に用いる半田を、オーディオ用途に適していると言われている低損失の半田材料に変更しているのが特徴で、より抜けの良いサウンドに進化しているという。

MMCXコネクターの接続安定性も強化。フェイスプレートには不透過ソリッドカラーを採用してている。

「MAPro1000 Drop」

「MAPro1000 Drop」は8月発売予定で、予価は15,400円。MAPro1000 IIの仕様をベースに、ダイナミックドライバーの変更とEDM系サウンドに特化したチューニングを施した派生型モデル。カラーリングなども、EDMをイメージしたものになっている。

低音域のレスポンスを向上させるため、姉妹ブランドintimeの「翔DD」に使用した高品位な10mm径グラフェンコートダイナミックドライバーを採用。5.8mm RSTとのハイブリッド構成により、EDM最大の見せ場とも言えるドロップのように、気分が向上するスピード感あるサウンドを目指しているという。

「STAGEAR」

「STAGEAR」(ステージア)は、9月発売手予定で、予価は27,500円。FitEarの監修の元で新規開発した、ブランド初のエントリー・ライブ用ステージモニターユニバーサルIEM。

コネクターにはFitEarコネクターを採用。共に同じ思いを持った国内IEMブランド同士が協力して開発しており、「より多くのミュージシャンやアーティスト、ライブエンジニアに優れたフィッティングと質の良いライブモニターサウンドをお届けする」という。

AZLA

イベント初日の12日に発売されたのが、AZLAの新イヤフォンで、2,200円という低価格が話題の「TRINITY」だ。

「TRINITY」

AZLAとアユートの共同企画で生まれた有線イヤフォンで、ドライバーに、初代HORIZONに搭載されたARDドライバーの発展型を採用。極薄46μ厚PU + PEEK複合振動板を2枚の樹脂層でサンドした3層レイヤー構造と、外磁型マグネットを採用した8mm径ダイナミックドライバーになっている。

3層レイヤー構造により、1層構造の振動板では難しい分割振動を抑制。価格を超えたサウンドを実現している。また、プレミアムシリコンを使い、新形状を採用したイヤーピース「SednaEarfit T」が4サイズ、キャリングポーチも付属する。通常の3.5mmプラグ/120cmタイプと、USB-Cプラグ/高感度マイク付き150cmタイプをラインナップし、価格は共通の2,200円だ。

Astell&Kern

「A&ultima SP4000」

Astell&Kernで注目なのは、今後日本で発売予定の、新最上位DAP「A&ultima SP4000」。8月発売予定で、予想価格は693,000円。

SP3000から筐体が縦に長くなり、ディスプレイも6インチへと大型化。DACは、SP3000と同じようにAK4191EQ、AK4499EXを採用するが、その構成がさらに理想を追求したものになっている。

SP3000はAK4191EQ×2基、AK4499EX×4基だが、SP4000はAK4191EQ×4基、AK4499EX×4基構成に。1つのAK4191EQに対して、1つのAK4191EQを割り当てられ、真のクアッドDAC構成を実現。

オペアンプの構成もリッチで、搭載する個数がSP3000の2倍、さらにオペアンプを並列配置(SP3000は直列構成)とした。出力を上げるとノイズも増加し、ノイズを下げようとすると音量が不足するという従来のジレンマを解決し、出力を上げてもノイズを抑えられるようになったという。

並列配置した2倍のオペアンプを使うモードは「High Driving Mode」と名付けられ、Astell&Kernでは「車の四輪駆動」に例えている。なお、High Driving Modeを利用すると、バッテリーの消費は大きくなる。

「XIO」

「XIO」(ジオ)というイヤフォンも参考展示。Astell&Kernと64 AUDIOが初めてコラボレーションしたIEMで、8月発売予定、予想価格は550,000円。

「大胆なビルドデザインと妥協のない音響性能の融合」という、両者共通のビジョンから生まれたイヤフォンで、筐体はポリッシュ仕上げのStainless Steel 904Lシェルを採用。滑らかなブラックDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングで仕上げたフェイスプレートを採用する。

内部は、トゥルーアイソバリック・デュアルダイナミックドライバーを中心にした10ドライバー構成。前述したA&ultima SP4000とのマッチングも考慮したサウンドになっている。

FitEar

「Origin-1」

アユートが、FitEarの国内コンシューマ向け製品における販売代理店になったため、アユートのブースにFitEarの新製品「Origin-1」が参考展示されている。年内発売予定で、予価は88,000円。

FitEar初のヘッドフォンであり、PA用途を想定し開発した「Monitor-1」に対し、スタジオでのミックス/マスタリング作業やDTMや自宅スタジオでの音楽製作を想定した「Monitor-1 Studio Reference(SR)」というモデルがある。

このMonitor-1 SRのコンシューマー向けパッケージが「Origin-1」(オリジン・ワン)。「音楽の原点を再現し、そしてブランドのヘッドホンとして及び若きサウンドクリエイター達の最初の一歩を踏み出すことを意味して名付けた」という。

新規設計した機構部品と、オリジナルイヤーパッド採用。密閉型ならではのS/N確保とともに、開放型的な音の広がりが得られるアコースティック設計も特徴。世界中のメーカーへ20年以上に渡って供給を続けているというユニットメーカーが、Monitor-1用とは異なる専用設計の40mmドライバーユニットを作り、それを内蔵している。

「Origin-1」

qdc

qdcの注目は、19日に発売される「FRONTIER」。価格は19,800円。

「FRONTIER」

qdcが培ってきたプロユースBAドライバーIEMのスタジオモニターサウンドを、より多くの人に、というコンセプトで開発された。

独自のカスタマイズドBAドライバーをシングルフルレンジで搭載。BAドライバーの背面にマイクロメーターサイズのホールを搭載し、そこにキャビティを作る独自の音響構造「リアキャビティ・マイクロホール」を採用。乱流ノイズを排除し、振動変位が増加することにより、BAドライバーならではの素早い音の立ち上がりとレスポンス、高解像度を維持しながら、感度向上を実現。BAドライバーの弱点であった低周波のドライブ力も強化している。

SENDY AUDIO

SENDY AUDIOからも新モデルが参考展示されている。ハウジングのグリルの形状がデザイン的に特徴で、発売時期は未定だが、価格は143,000円程度になる見込みだ。