ヤマハ、吸音・拡散を両立した調音パネル「TCH」

-薄さ3cmでも低音を制御。31,500円


調音パネル「TCH」

6月15日発売

標準価格:31,500円

 ヤマハは、オーディオルームや楽器練習室、会議室などの壁に取り付け、空間の音の響きを改善する調音パネル「TCH」を6月15日に発売する。価格は31,500円。

 住宅の居室、数人から数十人規模の会議室、音楽スタジオなど現代建築による小空間は、壁や床、天井などが堅い材料になったり、プライバシー重視で機密性が高くなりがちになる。

 すると、音響的には響きが多すぎたり、多重反射によって「ビィーン」という耳障りな「フラッターエコー」や、定在波により特定の低い周波数が強調され、低音がブンブンを尾を引く「ブーミング」などの音響障害が発生する事がある。

 調音パネルはそうした障害を抑制するためのもので、独自構造技術により、125Hz~4kHzの広い帯域でほぼ平坦な吸音特性を発揮しつつ、散乱特性も併せ持っているのが特徴。「一般的な吸音材では得られない、音響障害の抑制されたクリアで心地良い空間を作り出せる」(ヤマハ)という。

楽器練習室に設置したイメージ会議室に設置したイメージ

 要素技術は2009年7月に発表されており、「音響共鳴管」と「堅い反射面」を活用。1本の管の片面の一部に開口部を設け、上下に長短2本の共鳴管を作り出し、2つの周波数で共鳴する音響共鳴管を構築。これをパネル状に連結し、開口部回りに堅い反射面を生み出している。これにより、入射する音に対して、開口部から放射される音と堅いパネル面で反射した音が合わさり、ほど良い散乱効果を発揮。さらに、開口部で音のエネルギーを消費し、吸音効果も発揮する。また、音響共鳴管を適切な長さで組み合わせることで、幅広い帯域での性能を発揮するという。

 設置後の厚みが約3cmと薄いのも特徴で、吸音材のグラスウールでは約70cmの厚さが必要だった低音域(周波数125Hzまでの場合)の響きの抑制を、3cmで実現。アップライトピアノの後ろの壁に設置し、響きを最適化するといった使い方もできる。パネル1枚のサイズは90×60×2.8cm(縦×横×厚さ)で、設置枚数目安は会議室の場合は1枚/畳、楽器練習室は2枚/畳。重量は1枚あたり約4.3kg。カラーはホワイト。

 効果の方向として、モニター調査の結果、オーディオ/シアタールームでは、「低音が引き締まる印象がある」、「全体にすっきりする」、「音像定位がよくなる」などの反応があり、会議室でも「相手の声が明瞭に聞こえる」、「大きな声を出さなくていい」、「会議をしていて疲れなくなった」などの声が寄せられたという。


(2010年 6月 2日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]