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「Nintendo Music」がある令和まで生きてて良かった!「スーパードンキーコング」の神BGM聴き放題がアツいって話をする
2025年5月29日 08:00
皆さん、“アレ”は楽しんでいるだろうか? そう、任天堂が提供するスマートフォン向け音楽配信サービス「Nintendo Music」。ファミリーコンピュータからNintendo Switchまで名作ゲームの音楽が聴き放題、Nintendo Switch Online会員は追加料金ナシで楽しめる神アプリのことですよ。
1983年生まれ・初代ファミコンと同い年の筆者は、2024年10月のローンチ時点からずっと楽しんでいる。40年ちょっとの人生、良いことも悪いこともあったが、とりあえず「Nintendo Music」がある令和まで生きてて良かった。
平成のゲーム音を今どきの高音質イヤフォンで聴くのはなかなかオツな体験だし、配信ラインナップに新たなゲームタイトルが追加されるたびに、「これが来たか!」って楽しい。
例えば「星のカービィ」なんて、サービスローンチ時点で初代ゲームボーイ版(1992年)と、2018年のSwitch版「スターアライズ」のBGMが配信されていて、まさにカービィ楽曲の魅力を最短距離で実感できるチョイスでさすがだった。これぞ任天堂が直接サービスを手がけているゆえの“わかってる感”だ! ……と、勝手に思っている。
「スーパードンキーコング」の音楽が聴き放題の令和ヤバくない?
思い入れのあるゲームソフトは人それぞれだから、「Nintendo Music」で聴き込む楽曲もまた人それぞれだろう。なお、筆者が特に大歓喜しているのは、スーファミの名作「スーパードンキーコング」シリーズ3部作のBGMが聴き放題であること。これはもう、任天堂さんに全力で感謝したい。
……え? それの何がそんなにスゴいのかって? よくぞ聞いてくれた。では、筆者の思い出を交えながら語らせていただこうか。「スーパードンキーコング」という神ゲームの神BGMについて。
「スーパードンキーコング」のシリーズ第1作が発売されたのは1994年、今から30年以上も前だ。当時、筆者は小学5年生だった。
ゲームとしては、主人公のゴリラとチンパンジーが極彩色のジャングルを駆け回る横スクロールアクション。しかし従来のスーファミソフトから一線を画す華麗なグラフィックがインパクト大で、我ら当時の小学生たちは、ひと目見て「何コレ面白そう!」ってなった。
加えて衝撃だったのが、本編をプレイして知る音楽のカッコ良さだった。初っ端のステージ1-1で流れてくるのは、自然音と打楽器音をミックスしたカリビアン&ファンキーなポップフュージョンとでも言おうか。途中、跳ねるビートと軽快なリズムにジャズ的なグルーブ感があったりして。
サルがジャングルを駆け回るゲームにこのBGMをあててくるセンス、控えめに言って神だった。というか、今聴いても“スーファミの限られた容量と音数でコレを……?”って感じでクオリティがスゴい。
この音楽をメインで手掛けたのは、 “神ゲーム音楽家”とも呼ばれるビッド・ワイズ。彼の音楽が、ザラついたジャングルの世界観とマッチして、ゲームの魅力を倍増させていたのだ。
実際、「スーパードンキーコング」シリーズは、本編と合わせて音楽も国内外で評価が高く、シリーズのサントラCDはレア盤に。特に「スーパードンキーコング2」のサントラなんて、ネットで20万円超え(!)で取引されるほどでまず手に入らない。近年、正規ルートで聴くなら、Nintendo Switch Onlineで配信されているゲーム本編をSwitchでプレイするのが手っ取り早い状態だった。
それが今や、「Nintendo Music」でサブスク配信しちゃってるわけである。聴き放題で自由に聴けるって、何このボーナスステージ。令和まで生きてて良かった。
ちなみにお笑い芸人・カミナリの公式YouTubeに、デビッド・ワイズの貴重な独占インタビュー動画が上がっているので、ご興味のある方はぜひ見てほしい。「スーパードンキーコング」シリーズの音楽が大好きなメンバー・たくみの希望で、アポなしでイギリスまで会いに行ったら、たまたま道端でワイズ本人に出くわしてインタビューできちゃった……という神動画である。
ローンチと同時にスパドン1の楽曲配信開始。わかってるな〜
「Nintendo Music」がローンチしたその日、筆者が一発目に聴いたのは、もちろん「スーパードンキーコング」シリーズを象徴する1の代表曲「JUNGLE LEVEL」だ。例のステージ1-1で流れる、自然音と打楽器音をミックスしたカリビアン&ファンキーなポップフュージョンである。
シンセの透き通るサウンドを再現するような至高の水中BGM「WATER MUSIC」も、金属の鈍い匂いが漂ってくるかようなコースターBGM「THE CART LEVEL」も、のんびりサウンドが途中からメタル調になるラスボスBGM「THE PIRATE SHIP」も、もう再生が止まらん。ボーナスステージBGM「BONUS LEVEL」なんて、多幸感が溢れていて永遠に聴いていたい。
ちなみにこれら1の楽曲群、筆者の普段使いのイヤフォンの中では、JBL「Tour Pro 3」と相性が良いな〜と思ったのが最近の発見だ。Tour Pro 3の“ロック的な渇き”のあるサウンドが、ビッグバンドアレンジが合いそうな1のBGMとマッチしている。オススメのサウンドモードは「JAZZ」。
ジャングルの情景を想起させる民族調の打楽器音が多いので、低音がキレ良くズシズシ来るのが良い。あと、スーファミの最低限の音数から芯のあるグルーブ感が生まれる感じも、Tour Pro 3の硬派さと合う気がする。
「スーパードンキーコング 2」のBGM配信がスタートした時は小躍りした
で、確かサービスのローンチから1週間くらい経った頃、「スーパードンキーコング2」のBGMも追加で配信がスタート。「ドンキーの音楽といえば2!」って人はかなり多いだろうから、世界中のドンキーファンが歓喜したことは想像に難くない。
まあ、2は音楽だけでなく、そもそもゲームバランスが良くて、作品としてクオリティが高いってのもある。1では自分たちの島(バナナジャングル)を守るために戦った主人公・ドンキーが、2ではいきなり敵に捕らえられてしまう。それを助けるべく、ドンキーの仲間のディディとディクシーが敵のアジトに乗り込む……というストーリー。1とは主人公が変わる設定も面白い。
舞台も、1のビビッドグリーン&イエローを基調とした極彩色のジャングルから一転、2はモスグリーン&レッドが映える不穏な大海原へ、島を飛び出して一気に世界が広がる感が最高。
個人的に初見時のインパクトもあって思い入れが強いのは1なのだが、ゲームバランスとか全部含めたトータルでは2を推す。
んで音楽も、2では“重厚感と神秘性を湛えた海賊映画っぽいBGM”に生まれ変わっていて、聴きごたえ抜群。オーケストラのリッチな演奏が合うイメージだ。セルゲイ・プロコフィエフやハンス・ジマーなどにも影響を受けたというワイズの、実験的で映画的なサウンドアプローチが冴え渡り、もはやスーファミのBGMってレベル超えてるんだが……? ってなる。
しかも「Nintendo Music」では、シリーズ屈指の沼曲と言っても過言ではない神アンビエント「とげとげタルめいろ」はもちろん、サントラに収録されなかった名曲「タルタルこうざん」も配信されているのがエモい。
ちなみに筆者の普段使いイヤフォンの中では、2のBGMはTechnics「EAH-AZ60M2」との相性が良く感じた。「とげとげタルめいろ」や「ようがんクロコジャンプ」に代表されるアンビエントな楽曲では、程よい肉付きの良さとリッチ感がある「EAH-AZ60M2」の表現で、レイヤー感のある重層的な音に余韻と広がりが感じられる。
上述の「タルタルこうざん」なんかは、重厚なリズムと金属音のきらめきが交錯する楽曲だが、「EAH-AZ60M2」の引き締まった低音とキラキラした高音がマッチ。メタリックでメランコリーな打ち込みサウンドが病みつきだ。
今年になって「スーパードンキーコング 3」の配信もスタート。スパドン3部作揃い踏み
そして2025年に入ってから、「スーパードンキーコング3」のBGMも追加で配信開始。めでたく、スーファミの「スーパードンキーコング」3部作のBGMが全て聴き放題となった。
ちなみに3は、それまでと世界観がかなり変わっている。1がビビッドグリーン&イエロー、2がモスグリーン&レッドなら、3はピーカンブルー&ピンクのカジュアルなイメージだ。1〜2のアーミー感がなくなり、全体的にファンタジックで平和。なおグラフィックはスーファミ最高峰レベルの美しさで、岩肌のザラつきまで伝わってきてヤバい。
3はメインの音楽担当がワイズではないことも、それまでと世界観が違う要素のひとつかと思うが、環境音・自然音を織り交ぜつつワールドミュージック感が強くなっている感じで、聴きどころが多いのはさすが。個人的には、オープニング曲「DIXIE BEAT」(ワイズによるアレンジ)が大好きなので、配信で聴けるようになったのがマジで嬉しい。
この曲、出だしのリズム“ダンダダ、ダンダダ、ダダダダン”が1の「JUNGLE LEVEL」と同じなので、「はいはい、お馴染みJUNGLE LEVELのアレンジね」という感じなのだが、立て続けにご機嫌なホーン系が鳴り響いてきて、“……実は「BONUS LEVEL」のアレンジでした〜!”ってなる演出がニクいのだ。
ちなみに手持ちのイヤフォンの中で、3のBGMと組み合わせて「結構イイな」となったのは、B&Wの「Pi6」。中域が聴きやすいふくよかな美音系サウンドが、ワールド感のあるジャジーな曲と合う。
上述の「DIXIE BEAT」では、ホーン系が奏でるファンクな主旋律をなめらかに引き立てるし、低音に適度な広がりがあって余韻重視な表現も、楽曲が持つ多幸感を倍増させてくれる。明るく躍動感があるのに、どこか叙情的に聴こえて、ちょっと泣ける感じが良い。
スマブラアレンジもお待ちしてます
というわけで今回は、筆者の手元にある普段使いのイヤフォン(※メーカーからの提供品も含む)での聴き心地も含めて、「Nintendo Music」について語らせていただいた。皆さんも令和の高音質イヤフォンで、平成のゲーム音を体験してみてほしい。
余談だが、ドンキー関連の音源で言うと、スマブラアレンジ楽曲も聴き放題で聴けるようになったら嬉しいので、ぜひ任天堂さんお願いします。「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」とか名曲揃いだし(ドンキーに限らずですが)。
なお今年の7月には、シリーズ久々の新作である「ドンキーコング バナンザ」がいよいよ「Nintendo Switch 2」で発売される。ドンキーファンとしては熱が高まっている時期なので、「Nintendo Music」を聴きながら、まずはSwitch 2を手に入れるべく頑張りたいところだ。
まあそんなこんなで、今後も「Nintendo Music」に新たな楽曲タイトルが追加されるのを楽しみに暮らしていこうと思う。8年後には初代ファミコン50周年、つまり筆者も50歳。引き続き最新のイヤフォンで「Nintendo Music」を聴きながら、「50年生きてて良かった」って言っていたい。