東芝、2010年度第3四半期決算でテレビ事業の利益が拡大

テレビ、パソコンは期初計画を上回る形で推移


東芝本社

 東芝は、2010年度第3四半期の連結決算を発表した。

 2010年4月~12月の9カ月累計の連結売上高は前年比5%増の4兆6,696億円、営業利益は757%増の1,423億円、継続事業税引前純利益は前年同期の413億円の赤字から、880億円の黒字に転換。当期純利益は683億円の赤字から、402億円の黒字に転換した。

 「売上高は、為替の影響というマイナス要因があったが、新興国市場での伸張、国内のエコポイント制度を中心とした景気刺激策の効果がプラスに働いた。液晶テレビ、パソコン、半導体を中心に増収なった」(東芝・村岡富美雄代表執行役副社長)とした。

 また、営業利益は、第3四半期累計期間として過去最高を記録。デジタルプロダクツ、電子デバイス、社会インフラ、家庭電器の4つのセグメントで、いずれも黒字となった。さらに、有利子負債は前年同期に比べて2,038億円減少し、1兆1,872億円となった。



■ 液晶テレビ売上は30%以上増加

 セグメント別では、デジタルプロダクツの売上高が前年同期比10%増の1兆8,176億円、営業利益は30億円減の145億円となった。

液晶テレビ「REGZA」(2010年4月の発表会)

 液晶テレビおよびパソコンが増収増益となり、とくに国内の液晶テレビが第3四半期に大幅に増加した。だが、HDDや光学ディスクドライブなどの記憶装置の価格下落の影響で、全体では減益となった。

 「テレビは第3四半期だけでみると売上高で30数%の増収。上期は1桁の利益だったが、第3四半期は数10億円の利益が出ている」(村岡副社長)とした。

 パソコンに関しては、売上高が前年同期比11%増の7,180億円、営業利益は56億円増の62億円。なかでも第3四半期の営業利益は前年同期比83億円増の48億円の黒字と、大幅に改善しているという。

 「米国、日本、アジアを中心に増収となり、販売台数も大幅に伸びている。上期の増収基調の継続と調達力の強化による原価低減、原材料価格の下落などにより増益となった」(村岡副社長)という。

 電子デバイスの売上高は前年同期比9%増の1兆71億円、営業利益は1,246億円改善の827億円の黒字となった。そのうち、半導体の売上高は9%増の8,473億円、営業利益は951億円増加の688億円と黒字化した。NAND型フラッシュメモリが携帯機器向けやSSDなどの需要増により大幅な増加。ディスクリートも堅調で増収。さらにコスト改善効果もあり、大幅な増益となった。半導体事業は現在6四半期連続で黒字化を続けているという。なお、12月の四日市工場での大規模な電力停止は、今回の業績には影響していないという。

 また、液晶は売上高が前年同期比4%増の1,610億円、営業利益は264億円増の73億円。パソコン向け液晶は収束したものの、携帯端末向けを中心とした需要増加により増収。構造改革による体質強化、コスト削減効果があり、損益は大幅に改善した。

 社会インフラの売上高は前年同期比4%減の1兆4,952億円、営業利益は95億円減の464億円となった。原子力や交通システムが堅調に推移したものの、電力・産業システムソリューションにおいて、前年度の景気低迷時の受注減少の影響などを受けて、部門全体で減収となった。

 家庭電器の売上高は前年同期比4%増の4,463億円、営業利益は128億円増の41億円と黒字化した。エコポイント制度の効果継続により、白物家電および家庭用エアコンが好調。構造改革の効果もあり、黒字化したという。



■ 通期はテレビ/PC好調も、全体では下方修正

 なお、同社では、2010年度通期見通しを修正した。

 売上高は、前回公表値に比べて4,000億円減少の6兆6,000億円、営業利益は据え置き2,500億円、税引前利益は、400億円増の1,900億円、当期純利益が300億円増の1,000億円とした。

 売上高の下方修正については、「期初に計上していた携帯電話事業の1,000億円分が、富士通への事業譲渡により非継続事業対象となったこと、円高によって1,400億円の影響があること、その他の要因として1,600億円が影響する」とした。

 また、利益の上方修正については、「当初の計画を上回る形で推移していることから、上方修正する。営業利益については、2,500億円で据え置いたが、実質的には2,700億円に上方修正している。だが、事業構造改革費用として、システムLSI事業で200億円の減損処理をすることから、2,500億円となる」とした。

 セグメント別では、デジタルプロダクツの売上高が2,300億円減の2億4,000億円、営業利益は100億円減の200億円。電子デバイスの売上高は100億円減の1兆3,700億円、営業利益は据え置きで900億円。社会インフラの売上高は2,400億円減の2兆3,200億円、営業利益が100億円減の1,400億円。家庭電器の売上高は100億円増の6,100億円、営業利益は20億円増の50億円とした。

 「デジタルプロダクツ部門に関しては、テレビ、パソコンは好調で、期初計画を上回る実績となっている。だが、円高の影響と、携帯電話事業が非継続対象になったことで、全体としては下方修正になる」としている。

 パソコンの売上高は期初計画では1兆円としていたが、今回の見通しで9,300億円(前年比5%増)と下方修正した。営業利益については、0としてといたものを60億円の黒字と上方修正している。



(2011年 1月 31日)

[Reported by 大河原克行]