録画TV/レコーダの「CM自動カット」機能を見直し

-三菱は次期製品で「オートカットi」省略へ


REAL「LCD-55MDR」
 CM自動カット機能を搭載した録画対応テレビやレコーダについて、三菱電機や東芝が機能の見直しを行なう方針を固めた。録画時にCMと本編を認識し、ユーザーがリモコンでチャプタ送りなどの操作などを行なうことなしに「本編のみ」再生する機能が省かれる見込み。

 2010年秋に日本民間放送連盟(民放連)が、「録画機能内蔵のテレビで、CMを自動的に飛ばして再生する機能を宣伝しているものがある。本編とCMを一つのものと考える民放のビジネスモデルと対立する」として問題視。

1月24日の地上デジタル推進全国会議「完全デジタル化最終行動計画」の記者発表会に出席した、広瀬道貞民放連会長
 2010年11月の広瀬会長会見では、「ARIBの運用規定では、『広告部分のカット、スキップを自動的に行なうような機能の実装などを行なわないことが望ましい』としており、遠慮深い表現だが、はっきりダメなことを掲げている。我々が懸念しているのは、これを許せば、今後同じような機能を標準装備した機器が次々と出現し、無料である広告放送はどうなるか、テレビの文化や放送の水準は守られるのかという大変深刻な問題に関わっていることである。決して看過できないと思っている。今後、関係メーカーと協議を行ない、折衝していく」とした。

 さらに、2011年1月の会長会見では、「早い段階で、当該機器のカタログなどの商品説明からCMスキップ機能を利点とする部分が削除された。我々が納得できる対応がとられるものと思っている」とコメントしていていた。

 CMを自動的にスキップして再生できる録画テレビやレコーダを発売している三菱電機や東芝は「自動CMカット」の機能について再検討を行なっており、三菱は次期モデルから自動CMカット機能を外す方針。なお、2社以外の多くの録画機器でも採用している、番組録画時にCM部などを検出してチャプタを付与、ユーザーがリモコン操作などでCMをスキップするような機能は、今後も搭載される見込み。

 三菱電機では、録画対応の液晶テレビ「REAL」とBlu-rayレコーダ「REAL ブルーレイ」で、録画番組の番組部分、またはCM部分だけを自動再生する「オートカットi」や、スポーツ番組や音楽番組の見所だけを自動で再生する「見どころ再生」などの機能を搭載。録画番組を効率的に見ることができる点を訴求してきた。

 しかし、指摘を受けて機能を再検討した結果、自動でCMをカットして本編のみ再生、もしくは本編をカットしてCMのみを再生できる「オートカットi」機能については、「次期製品では見直す」(同社広報部)としており、同機能が省かれる見込みだ。

 東芝は、液晶テレビ「REGZA」の一部機種と「REGZAブルーレイ」で、CMを抜いた番組本編だけのプレイリストを自動作成して再生する「おまかせプレイ」機能を搭載している。

 同社では、「民放連の指摘は録画テレビについてのものと考えている」としており、「今後の製品展開や機能については説明できないが、録画機のCMを自動的にカットする機能について検討しているのは事実」としている。

REALブルーレイ「DVR-BZ340」(上)、「DVR-BZ240」(下)おまかせプレイ対応の「REGZA ZG1シリーズ」録画リスト下に「おまかせプレイ」

(2011年 2月 10日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]