◇ 最新ニュース ◇
【Watch記事検索】

読者参加イベント「AV Watch Meeting with REGZA」開催

−ライター、開発陣が解説。次期モデルの話も


トークショー中の様子
AV Watch初のオフラインイベントとなる

 AV Watchが主催する、読者参加型イベント「AV Watch Meeting」が6日、東京・秋葉原で開催された。AV Watchを中心に活躍しているライターやメーカーの開発者・技術者が、製品について解説するイベントで、第1回となる今回は東芝の液晶テレビ「REGZA」のZG2/Z2/ZP2シリーズ。イベント名は「AV Watch Meeting with REGZA」。

 会場には弊誌連載でお馴染み、本田雅一氏と西田宗千佳氏、さらに僚誌GAME Watchで 活躍している佐藤カフジ氏が登場。

 東芝からはREGZAの仕掛け人とも言える本村裕史氏、Z2シリーズに搭載されたレグザエンジンCEVOを手がけた住吉肇氏、REGZAの画質チューニングを担当する永井賢一氏、レグザAppsコネクトを開発している片岡秀夫氏が参加した。




■「レグザ」ブランドへの道

REGZAの仕掛け人として知られる東芝の本村裕史氏

 本村氏は、東芝のテレビ製品の歩みを、自身も設計に参加していたという'91年の「BAZOOKA」(バズーカ)から説明。'98年に「Face」を投入し、2003年には「Beautiful Face」を発売。BAZOOKAの頃は好調だったテレビ事業だが、「Beautiful Face」の頃は低迷、「売れなくて今後の事業展開を憂う声もあった」(本村氏)という。

 しかし、「シェアが低迷し、何を作っても売れないという状況の中で、それならば、“我々が作りたい物作りをしよう”と考え、“本物作るぞ宣言”をして、レグザのブランドが生まれた」という。その結果、当時7%程度だったシェアは現在では20%を突破。“レグザ”は業界2位のブランドに育った。本村氏は「この物作りが、皆様の心に届いたんじゃないかなと思っている」と喜びを語った。


レグザが注力してきたトレンド作りの一覧

 そんな本村氏が、持論として社内でいつも口にしているというのが「トレンドは否定するより乗っかれ! 乗っかるより作ったほうがもっと楽!」というもの。この言葉を基本戦略として、レグザはHDD録画や、外付けHDD録画対応、環境適応自動画質調整「おまかせ」モード、超解像技術などを開発。CELLレグザやタイムシフトマシン、ゲームモード、グラスレス3Dレグザなど、独自色が強く、マニアックな機能の搭載も続けており、本村氏は「業界のタブーに挑戦するのは快感です」と笑う。

 

東芝テレビのブランドヒストリー レグザのブランドアイデンティティ 本村氏の持論であり、レグザの商品戦略でもある「トレンドは否定するより乗っかれ! 乗っかるより作ったほうがもっと楽!」

 



■画質

本田雅一氏

 レグザブランドに移行し、ユーザーに支持されるようになったのは、画質の改善に拠る所が大きい。本田氏は、東芝の画質について「今だと、液晶パネルを買ってきて、質の良いLSIを繋げば、皆さんはどれでも同じような絵が出ると思ってらっしゃるかもしれない。でも、そんなに簡単な話ではなく、ちゃんとした絵が出るようにするのは難しい。Beautiful Faceの時は画質が今ひとつだったが、その後Z1000というレグザの元になるモデルがあり、そこからメタブレイン・プロという映像エンジンが生まれる。そのあたりから俄然画質が良くなり、口コミで画質の良さが魅力として広まっていった」と振り返る。

 レグザの画質を担当する永井氏は、絵作りに求められる要素として「緻密さ」、「あざやかさ」、「色の自然さ」、「階調表現の豊かさ」の“バランス”を挙げ、「どれかが欠けていたり、突出していてはレグザが掲げる、リアルな、本物の画質にはならない」と語る。

 本田氏は、「あざやかさと、絵の自然さは相反すると思われるかもしれないが、何もしないと凄くつまらない画質になってしまう。ふくよかで、豊かに見せるためにはある程度の演出も必要。しかし、色と色の色相関係がおかしいと、脳が不自然な色と感じてしまう。そのバランスを実現できるのが永井さんの手腕」と評価した。

 会場では、製品開発時に画質調整に使用しているという映画「17歳の肖像」から、レストランでの食事シーンを表示。暗い店内で、人物や食器などに光が当たっているシーンだが、服の影になった部分の色がしっかり出ているかどうか、階調の表現はどうか、コントラスト感は出ているかなど、永井氏が具体的なチェックポイントを示しながら解説した。


REGZAの画質チューニングを担当する永井賢一氏 永井氏が、実際に画質調整の際に使用しているコンテンツを用いて解説


■映像エンジン

 画質を支えているのが、ZP2/Z2に搭載されている「レグザエンジンCEVO」、それをデュアルで搭載したZG2の「レグザエンジンCEVO Duo」という映像エンジンだ。

本村氏が手にしているのが「レグザエンジンCEVO」 レグザエンジンCEVOの実物。ZG2には、これが2基搭載されている

レグザエンジンCEVOを手掛けた住吉氏

 開発した住吉氏は、エンジンの基本思想として「デジタル処理では、演算処理をたくさん繰り返して高画質処理するのですが、入ってきた信号のbit数を掛け算、割り算するとどんどん増えてしまう。普通のデジタル技術者は途中で切って、回路規模を小さくする。でも、アナログ技術出身の私は、それを切らずに、最後まで通さなければいけないと思い、それを処理できる大きな石(LSI)を作った。それがメタブレイン・プロです。当時はコストがかかりすぎだと怒られたのですが(笑)、それがレグザエンジンCEVOにも繋がり、今のレグザがあると思っています」と胸を張る。

 このエンジンを使った処理の一例として、「3次元フレーム超解像」技術を説明。従来の表示フレーム単位での超解像処理ではなく、前2フレーム、後ろ1フレームの合計4フレームを参照し、画素間の情報を増やすことで、より高精度に元映像を復元するもの。

 さらに、色情報も復元する「色の超解像」も組み合わせる。これは、元映像(4:4:4フォーマット)から、デジタル放送の送信時に4:2:0(4つの輝度信号に対して色信号が1つ)になった映像を、パネルに表示するために4倍拡大する際、「周囲にある色情報と足して2で割るだけでは、斜めのグラデーションなどで色がぼやけたり、ジャギーでガタガタになってしまう。そこで、自己合同性型の超解像技術を用いて4:4:4にアップサンプリングしている」(住吉氏)という。


「3次元フレーム超解像」技術を説明 色の超解像では自己合同性型の超解像技術が使われている
会場には2009年冬に発売されたZ9000と、最新のZ2が比較できるコーナーも。トークショー後には、本田氏や永井氏が細かな注目ポイントを挙げながら、画質の進化点を解説。マニアックな質問が飛び交っていた


■ゲームダイレクト

GAME Watchでお馴染み、佐藤カフジ氏

 佐藤カフジ氏は、ゲーマーが重視する「表示遅延」について、「勝つためにゲームをしていると、入力した信号がいかに素早く表示されるかという遅延の少なさが重要になる。しかし、これまでの製品では、画質をとると遅延があり、遅延をとると画質がイマイチという二律背反になっていた」と説明。その上で、愛用しているというZP2シリーズでは「低遅延で画質も良く、どちらも犠牲にしなくて済み、感動している」という。

 こうしたジレンマは佐藤氏だけのものではない。住吉氏は、「レグザは画質は良いけれど、ゲームの遅延があるよねとネットで書かれ、技術者としてなんとか払拭したいと考え、改善してきた技術です」と、「ゲームダイレクト」機能開発のキッカケを説明。

 FIFO(First In First Out)と呼ばれるメモリ制御技術がポイントで、「一般的なゲームモードは高画質化処理をあまりかけず、1フレームのデータをメモリにいれてから、次のフレームを読み出す作業をしています。我々のゲームダイレクトでは、32ZP2の場合、FIFOを使い、メモリへ書き込みながら読み出しも行なっています。さらに、そのデータに対して新しい映像エンジンを用い、遅れの無い高画質処理も行なっています。これにより、倍速処理での理論限界である約0.5フレームに対して、高画質処理をかけながらも、約0.7フレームに短縮した」という。


一般的なテレビのゲームモード ゲームダイレクトモードの処理の流れ

 また、ZG2/ZPシリーズは3D表示にも対応。ZP2シリーズは偏光メガネを使った偏光方式の3Dが特徴で、フレームシーケンシャル方式のメガネと比べると軽量で充電も不要。本村氏はその利点を「5時間くらい3Dゲームをしていただいて、メガネをしたままな事に気付かずにコンビニまで行っていただければ、僕の勝ちだと思っています」と語り、笑いを誘った。

タッチアンドトライコーナーでは、各社のゲーム機が体験できるブースも 低遅延だけでなく、3D表示も体験できた 佐藤氏の華麗なプレイも堪能


■タイムシフトマシンとレグザAppsコネクト

イベント中に放送されているテレビ番組で、「タイムシフトマシン」機能を実際に操作しながら説明する本村氏

 ZG2シリーズの目玉機能と言えるのが、地上デジタル放送の6番組同時録画に対応し、約30時間分の番組を録画し続ける「タイムシフトマシン」機能。本村氏はその魅力を「同時録画できるだけじゃないのと言われるのですが、まったく違う」と言う。

 「録画予約という概念ではなく、テレビをつけて、面白そうな番組だなと思ったらリモコンの“始めにジャンプ”ボタンを押せば、番組が最初から観られる。これはもう録画じゃないですよね。そして、気に入った番組がなければ“タイムシフト”ボタンを押す。すると、ストックされた番組がEPGで表示され、好きなものが再生できる。一度体験すると元には戻れない」という。

 感覚としては「YouTubeで好きな動画を見る感覚に近い」(本村氏)とのこと。西田氏や本田氏からも「EPGではなく、録画されているリストと考えた方が良い」などの例えが出た。


西田宗千佳氏

 一方、大量に番組を保存するようになると、効率的な視聴方法も必要になる。西田氏は「今までどおり、付属のリモコンを押して、番組を頭から見るのではなく、もっと便利に、楽しい観方があるんじゃないか? という考え方がある。そして、スマートフォンやタブレットが僕らの手元にある。そこにネットワークの力を借りれば、コストを抑えながら、テレビの見方が変わるんじゃないかと考えたのが、レコーダのRDシリーズを作った片岡さん」と、現在Appsコネクトを担当している片岡氏を紹介。

 片岡氏は「コンテンツが増えてくると、操作が難しくなる。年配の方の場合はよくわからなくなる。かといって、何種類ものリモコンを付属するのは大変。タッチパネルデバイスがあれば、これを克服できるのではないかと考えた」という。

 そうして生み出されたのが、Appsコネクトのアプリ群だ。だが、西田氏が「どうしてこんな所を攻めるのかというアプリが出ましたよね?」とツッコミを入れたのが、操作に合わせて声優が喋る「RZ声優リモ」。片岡氏によれば、公開からの3日間で、Android用とiOS用を合わせて、6万ダウンロードを記録。Android Marketで1位、App Storeで10位を記録し、現在では10万ダウンロードも超えるなど、大きな反響があったという。


「RZ声優リモ」と、タグリスト機能を紹介する片岡氏。アプリの裏技も交えながらデモを行ない「連打しても声が重なるので、楽器のように遊ぶこともできます」と笑う 会場のレグザAppsコネクトコーナーでは、実際にタブレットやスマートフォンでアプリの操作が体験できた タグリストから、録画番組の特定の場所を直接再生しているところ

 インパクトのあるアプリだが、片岡氏が「こういう(RZ声優リモのような)入り口を作りつつ、その先がある」と語るのが、同アプリにも内包されている「タグリスト」機能。録画番組に対して、他のユーザーが作成した頭出しリストを、ユーザー同士が共有して、番組の効率的な再生ができるというもの。

 「頭だしを登録してくれた人がいたらそのデータを活用させてもらい、自分で登録する事もできます。例えば音楽番組で歌の部分だけを再生したり、スポーツの良いシーンだけを見たりと、頭出し情報を共有でき、シーンに対してコメントを書き込んで交流もできます。現在、音楽番組と深夜アニメはかなり網羅してますので、ぜひ活用してください」(片岡氏)。

トークショー後の「タイムシフト」コーナー。本村氏の解説と共に、実際に録画された番組を自由に見ることができた
トークショー後の「レグザAppsコネクト」コーナー。片岡氏と西田氏が「RZタグラー」や「RZ見るナビ」、「RZ節電リモ」、「RZ現在番組」の使い方などを来場者に説明。録画のエキスパートである片岡氏ならではの使いこなしや、「RZ声優リモ」誕生にまつわる裏話、さらに、秋に予定するというAppsコネクトのアップデートの構想などが明かされた。来場者からもAppsコネクトへの要望を片岡氏に直接ぶつけるなど、“密度の濃い”やりとりが行なわれていた


■今後のレグザについて

 トークコーナーの最後では、今後の製品についての気になる発言も飛び出した。

今後のレグザについて語る本村氏と臼田編集長

 「今後の製品についてお話するのは難しい…」と言う本村氏だが、大まかな予定として、「Appsコネクトで実現したテレビとタブレット、スマートフォンの連携は、今後もどんどん強化していきたい」と語る。さらに、「画質ももちろん進化します。方向としては、、さらなる高精細化、4K2Kですね。近付けば近付くほど綺麗で、ビックリすると思います。それと……メガネも邪魔じゃないですかね?」と若干小声で意味深なコメント。

 「僕らは幕張で見られるんですかね」と追及すると「なにか? 聞こえませんでした」と遮り、場内は笑いに包まれた。


イベントの最後には「26ZP2」が当たる抽選会も開催された

(2011年 8月 9日)

[ AV Watch編集部 山崎健太郎]