東和電子、iPod用の卵型スピーカー「TW-D7IP」
-PC接続対応。実売19,800円。音質レビュー付
iPhone/iPod用の卵型スピーカー「TW-D7IP」。iPhoneは別売 |
東和電子は、「Olasonic」ブランドの製品第4弾として、iPhone/iPod用の卵型スピーカー「TW-D7IP」を10月7日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は19,800円前後。カラーはパールホワイト(W)。
同社はOlasonicブランドの第1弾として、2010年4月に卵型ボディを採用した、USB接続の小型アクティブスピーカー「TW-S7」(オープンプライス/実売10,800円前後)を発売。2011年3月には、卵型スピーカーを使ったウォークマン用スピーカー「TW-D7WM(T)」(オープン/実売21,800円)、6月にはテレビ用スピーカー「TW-D7OPT」(オープン/実売17,600円前後)を発売している。
「TW-D7IP」は、ウォークマン用やテレビ用と同じ卵型スピーカーを採用しながら、iPhone/iPodとの接続に対応したモデル。iPhone/iPod用のDock端子を備えたメインユニットと卵型スピーカーで構成されており、メインユニットにDACやアンプを内蔵している。対応機器はiPod touch、nano、classic、第5世代iPod、iPhone 3G/3GS/4。
メインユニットと卵型スピーカーで構成する | メインユニットにはiPhone/iPod用Dockを装備 |
Dockに搭載したiPodの再生音をアンプで増幅し、卵型スピーカーから再生。iPodとメインユニットの伝送はアナログとなる。USB端子も備えており、PCと接続してiPodの同期も可能。さらに、USBオーディオとしても動作し、PCのサウンドを卵型スピーカーから再生する事もできる。ステレオミニの外部入力も備え、ウォークマン以外のプレーヤーとも接続可能。ステレオミニのヘッドフォン出力も備えている。
メインユニットの側面。アナログ入力とヘッドフォン出力を装備している | スピーカー接続は背面 | 背面端子部。USB入力も備えている |
USBスピーカー「TW-S7」の特徴を引き継いでおり、PC用USBスピーカーとして動作している時は、ACアダプタを接続せず、USBバスパワーのみでも動作。高効率デジタルアンプと、独自回路「Super Charged Drive System」(SCDS)を搭載し、USBバスパワー駆動ながら出力10W×2chを実現する。
SCDSとは、内部搭載した大容量のキャパシタ(コンデンサ)を使う技術で、音楽が静かな時にキャパシタに充電を行ない、大音量が必要な時に一気に放電することで、USBスピーカーながら瞬間最大10W×2chを実現するもの。
USBバスパワー動作時は、ファンクション機能選択から「CHARGE」を選ぶとiPodの充電も可能。付属のACアダプタも使用でき、ACアダプタ接続時には、USBスピーカーモード以外の機能モードで充電もできる。
スピーカー部分の仕様は、ウォークマンやテレビ用の卵スピーカーとほぼ同じ。60mm径のポリプロピレン振動板採用フルレンジを1基、同軸上の背面に60mm径のパッシブラジエータを配置。コンパクトなスピーカーながら、豊富な低域再生を実現している。また、ユニットの前にはデフューザーを配置し、高域を拡散させ、指向特性を改善している。
卵型スピーカー。ユニットの前にはデフューザーを配置している | 背面にはパッシブラジエータを配置 | インシュレーターに乗せた状態で、自由な角度に調整できる |
卵型のエンクロージャは内部定在波の発生を防ぐ形状であると同時に、剛性が高い形状でもあり、エンクロージャの箱鳴りを低減し、クリアな再生にも寄与しているという。また、音の回折も少なく、点音源を実現。音場感や音像定位の明瞭さなども実現するという。スピーカー下部に設置する、シリコンゴム製のインシュレーターも付属する。
再生操作も可能なリモコンが付属。外形寸法は、メインユニットが106×180×39mm(幅×奥行き×高さ)。スピーカーが108×108×141mm(同)。重量はメインユニットとスピーカー2個の合計で1.2kg。
卵型スピーカーを支えるインシュレーター | 付属のリモコン |
■音を聴いてみる
対応プレーヤーがウォークマンからiPodになっているが、機能面ではウォークマン用モデルとほぼ同じだ。詳細な使い勝手はそちらの記事を参照していただきたい。
カラーはパールホワイト |
まず、iPod向け「TW-D7IP」で目を引くのはカラーリング。「パールホワイト」と名付けられているが、その名の通り、真珠のような独特の光沢があり、単純な白ではなく、若干クリーム色っぽい温かみのあるカラーになっている。PC用スピーカー「TW-S7」のブリリアントホワイトと比べると、高級感がアップしていると感じる。
iPhone 3GSをDockに搭載し、再生を開始。「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best OF My Love」を再生すると、冒頭のギターから解像度が高く、極めてクリアなサウンドが出てくる。筐体の鳴き&付帯音が少ない卵型スピーカーの素直なサウンドは今回も健在で、ギターの弦の動きが明瞭に描写される。
「TW-S7」のブリリアントホワイト |
気になるのはiPodとメインユニットの接続がアナログという点だが、そうとは思えないほど分解能が高く、情報量の多いサウンドが楽しめる。Kenny Barron Trio、「The Moment」から「Fragile」を再生すると、ルーファス・リードのベースが「ヴオーン」と沈む中にも、弦のばらける様が描写されている。
ウォークマン用の「TW-D7WM(T)」とも比較してみた。iPodとウォークマンでプレーヤーが異なるため、再生機にはPCを使用。「TW-D7IP」と「TW-D7WM(T)」を両方接続し、同じ曲を交互に聴き比べてみた。
アナログ接続ではあるが、分解能の高いサウンドが楽しめる |
どちらもPCスピーカーとして非常にハイクオリティなサウンドだが、意外なことに音質に違いがある。iPod用「TW-D7IP」の方がクオリティが高い。具体的には、音のクリアさに磨きがかかり、奥行きの表現力が向上。音像がより立体的に感じられるようになる。さらに、低域の重心も低下し、締まりも良くなっており、スネアドラムの歯切れの良さも「TW-D7IP」の方が上だと感じた。
東和電子によれば、電源回路の改良が続けられており、後発の製品である「TW-D7IP」には、ウォークマン向けモデルなどの開発を経て培われた技術を反映させる事で、全体的な再生音のクオリティが向上しているとのことだ。
単なる“iPod対応モデル”ではなく、卵型スピーカーの最新進化形としても注目したい製品だ。
(2011年 9月 1日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]