フォステクス、最上位ヘッドフォン/アンプ1月31日発売

-USB DAC/DSD対応「HP-A8」が約10万円


ハイエンドヘッドフォン「TH900」の装着イメージ

 フォステクスカンパニーは29日、「秋のヘッドホン祭 2011」においてハイエンドヘッドフォン「TH900」とDSD再生機能を備えたヘッドフォンアンプ「HP-A8」の詳細を発表した。発売日は両モデルとも2012年1月31日、価格はTH900が157,500円、HP-A8が105,000円。


 



■TH900

ハイエンドヘッドフォン「TH900」

 フォステクスのフラッグシップヘッドフォン。密閉型で、50mm径の新開発ユニットを搭載している。このユニットは磁束密度1.5テスラという低歪率かつ、強力な磁気回路を備えているのが特徴。円形のマグネットを2重に採用する事で磁束密度を高めており、マグネットを薄型、軽量化することで、ヘッドフォン内に搭載できるようにした事が特徴だという。

 振動板にはバイオダイナを採用。超低域の豊かな音や、中域の素直さ、高音域のプレゼンスに優れるという。

 ハウジングは密閉型。素材は肌目が緻密で固く、表面が美しく仕上がるという「水目桜」を使用。これに、老舗・坂本乙造商店による漆・ボルドー仕上げを施している。


ケーブルは7Nグレードの高純度OFCを使用

 ケーブルは7Nグレードの高純度OFCを使用。高強度のジュラルミンスリーブも採用している。

 イヤーパッドの革には、出光製Grancuirを使用。卵由来のプロテインを配合したもので、心地よい肌触りを実現したという。また、本革と比べ、60%の軽量化も実現している。


 



■HP-A8

ヘッドフォンアンプ「HP-A8」

 旭化成エレクトロニクス製の32bit/192kHz対応DAC「AK4399」と、オールディスクリート回路を採用した、USB接続対応のヘッドフォンアンプ。

 PCとUSB接続し、USB DACとしても動作。Windows向けには独自のドライバを提供し、Macでは32bit/192kHzまで、Windows 7は24bit/192kHzまでをサポートする。さらに、高精度TCXOクロックを用いたアシンクロナス・モードも採用。ジッタを抑えた高音質再生を可能にしている。

 入力はUSB、AES/EBU、同軸デジタル、光デジタル×2、アナログRCAを搭載。出力は標準ヘッドフォン×2とアナログRCA。ヘッドフォンの出力は24段階のゲイン切り替えが可能。ヘッドフォンボリュームに依存しないダイレクトアウト機能も備えている。リモコンも付属する。

背面。SDカードスロットも備えている上からみたところ

 ボリュームには、新日本無線のオーディオ用電子ボリューム「MUSES」を採用。電源部には大容量トロイダル電源トランスを使っている。

 大きな特徴として、背面にSDメモリーカードスロットを装備。カードに保存したDSDファイルの再生ができ、単体のプレーヤーとして使う事もできる。SDカードを採用した理由は「USBでDSDファイルを転送する方法が確立されていないため」(フォステクス)とのことで、将来的にはUSB経由でPCからDSDファイルを転送し、再生する事も検討しているという。HP-A8はファームウェアアップデートにより、こうした機能強化を継続的に行なうという。

 なお、前述のTCXOクロックを使った動作は、USB入力とSDカードの再生モード以外、内蔵クロックと外部クロックを切り替える事もできる。

 D/A変換時には、X2、X4のアップサンプリングをしてのアナログ変換も可能。また、デジタルフィルタの切り替え機能も用意。これは、iPodからのデジタル出力に対応した同社のポータブルヘッドフォンアンプ「HP-P1」でも採用されているもので、シャープロールオフ・フィルターと呼ばれる、従来からのデジタルフィルタと、旭化成エレクトロニクスが開発したプリエコーの無いタイプの「ミニマムディレイ・フィルター」が切り替えられる。

 プリエコーとは、「パンッ」というような短く強い音が入力された場合に、鋭い音の後に続くはずの余韻が、鋭い音の先に入ってしまうという、自然界に無い現象。これを無くしたのが「ミニマムディレイ・フィルター」となる。

下がプリエコー。「パンッ」という音が入る前に、余韻が出ているボリュームには、新日本無線のオーディオ用電子ボリューム「MUSES」を採用

 



■HP-A8のコンセプト

フォステクスカンパニーの山口創司氏

 フォステクスカンパニーの山口創司氏は、製品の仕様について「ここまでこだわった製品で、なぜバランス出力をしないのか? とよく聞かれるのですが、そこには最後まで悩みました。実装面積が小さいという物理的な問題があり、バランス出力をすると、アナログ入力を外す事になってしまう。また、完全にディスクリートでバランス出力をしようとすると、筐体が物凄く長くなってしまう。それならば、(バランス出力をやめて)アナログ入力があった方が、純粋なヘッドフォンアンプとして使え、電子ボリュームで操作できるという恩恵もあり、良いのではないかと考えた」という。

 また、価格については「フォステクスというブランドを考えた時に、複合機だからと言って何十万円の製品を出すというスタンスではないかなと考えた。ヘッドフォンユーザーには若い人も多く、そういった層の人達にも使っていただける値段はどういう値段か、考えた。お店などで聴いていただき、この価格の価値があるかどうか、ぜひ判断して欲しい」と、音質・価格の両面に対して自信を見せた。



(2011年 10月 31日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]