ソニー、フルサイズ/Eマウントのレンズ交換式ビデオカメラ
-「NEX-VG900」。Aマウントアダプタ同梱し、ケラレず撮影
「NEX-VG900」に、付属のマウントアダプタ「LA-EA3」を介して、別売レンズ「Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM SAL2470Z」を取り付けたところ |
ソニーは、レンズ交換式ビデオカメラの上位モデルとして、Eマウントを採用しながら、35mmフルサイズのCMOSセンサーを採用した「NEX-VG900」を10月26日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は35万円前後。
同社はEマウントを採用したレンズ交換式ビデオカメラとして、「NEX-VG20」を発売している。「VG900」は、この後継かつ上位機種にあたり、APS-CサイズのCMOSを搭載していたVG20に対し、同じEマウントを採用しながら、フルサイズのセンサーを備えているのが特徴。なお、VG20の後継機種としては、本日、操作性などを改善した「NEX-VG30」というモデルも発表されている。こちらはAPS-Cサイズのままで、詳細は別記事で掲載している。
Eマウントながら、フルサイズのセンサーを搭載している | 大型センサーを搭載しているため、筐体もセンサー部分が出っ張っている |
搭載しているセンサーは、2,430万画素、有効2,030万画素(動画撮影時)、35mmフルサイズの「Exmor フルサイズ HD CMOSセンサー」。画素受光部を低背化することで、従来のセンサーよりも集光効率を高め、画素単位のSNを大幅に改善。高感度・低ノイズ化しているほか、回路や配線の面積を減らし、画素受光部の面積を大きくとる工夫も施されている。さらに、ローパスフィルタも変更。放送用ハイエンド業務機に搭載される、多点分離技術を応用する事で、モアレや偽色を抑えつつ、高い解像感を両立したという。
Aマウント用の新しいマウントアダプタ「LA-EA3」を同梱 |
フランジバックの短いEマウントを採用する事で、マウントアダプタを介して、様々なレンズを取り付けられるのが特徴。製品には、Aマウント用の新しいマウントアダプタ「LA-EA3」を同梱しており、これを使ってAマウントレンズが取り付け可能。フルサイズのセンサーであるため、Aマウントのデジタルカメラのような感覚で、問題なく撮影できるという。ただし、「LA-EA3」使用時はAFのAマウントレンズでもAFは使えず、マニュアルフォーカスのみとなる。
Eマウントでフルサイズのセンサーを採用しているため、Eマウントのレンズや、APS-Cセンサー搭載デジカメ向けの「Aマウント DTレンズ」を装着すると、フルサイズセンサーが大き過ぎて四隅にケラレが発生する。これを回避するため、「APS-Cモード」機能を用意。これをONにしておくと、APS-C向けレンズで撮影した場合、自動的にクロップされ、適正なサイズに調整された映像が撮影できる。
また、同モードをOFFにしていた場合でも、電子ズームでケラレが出ない位置まで、テレ側へズームしてから撮影すれば、ケラレの無い映像が撮影できる。
ケラレ状況 | |
Aマウントレンズ 装着時 | フルサイズセンサー 全面を使って問題なく撮影可能 |
Eマウントレンズ装着時 or APS-C用AマウントDTレンズ 装着時 | 四隅にケラレ発生 APS-Cモード“AUTO”で自動クロップ APS-Cモード“OFF”時はケラれない 位置まで電子ズームしてから撮影 |
フルサイズのセンサーを搭載 | 横から見たところ | 背面。ビューファインダや3型モニタも備えている |
シーソー式のズームレバーを搭載している |
滑らかなズーム映像を撮影するための機能として、シーソー式のズームレバーを搭載。一定速でのズーム操作がしやすくなっている。同日発表されたVG30Hに付属するEマウントの電動ズームレンズ「E PZ 18-200mm F3.5-6.3 OSS」(SELP18200)の光学ズーム操作が、VG900側から操作できる。ただし、「E PZ 18-200mm F3.5-6.3 OSS」の単品販売は現在のところ予定されていない。今後登場するEマウントの電動ズームレンズに対応できる。
さらに、2倍の電子ズーム機能を備え、電動ズームレンズではないレンズでも、電動ズームのような表現が可能。その際、手動ズームでは困難な、一定速のスーパースローズーム機能が利用できる。これは、時間をかけてゆっくり電子ズームしていく機能で、速度は32段階で設定可能。広角からスタートし、電子ズームの2倍まで、最大30秒をかけて到達するズーム表現となる。
シーソー式ズームレバーの役割 | |
電動ズームレンズ装着時 | 滑らかな電動ズーム操作 |
非電動ズームレンズ装着時 | 2倍電子ズームの スーパースローズーム表現 (32段階設定可能) |
撮影解像度はフルHDの1,920×1,080ドット、録画形式はAVCHD。1,920×1,080/1,440×1,080ドットの60iに加え、60pと24pでの撮影にも対応する。イメージセンサー出力は60p。MPEG-2/720×480ドットでの撮影も可能。また、2,400万画素の静止画撮影も可能で、RAW撮影も行なえる。
各種アクセサリを取り付けたところ | 横から見たところ |
「Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM SAL2470Z」との組み合わせ |
マイク部分はVG20と同様に、無指向性の4カプセルマイクを搭載。ドルビーデジタル2ch、もしくはドルビーデジタル5.1chのサラウンド収録ができ、32段階の音声レベルコントロールも可能。
また、ハンドル部分にマルチインターフェースシューを新たに搭載。ここに、別売のXLRアダプタキット「XLR-K1M」を取り付けることで、キャノンコネクタが使えるようになり、様々なタイプのXLRマイクが接続可能。ファントム電源供給(48V)も行なえる。
この「マルチインターフェースシュー」は、一般的なISOシューをベースに設計し、形状は踏襲しているが、独自のマルチ端子も装備する事で、高機能なアクセサリも利用できるようにしたもの。音声信号も通す事ができるため、XLRアダプタキットを接続しても、別途音声ケーブルなどは接続する必要が無い。
無指向性の4カプセルマイクを搭載 | 別売のXLRアダプタキット「XLR-K1M」を取り付ける事で、XLRマイクが使えるようになる |
ピクチャーエフェクト機能を備え、パートカラーやソフトハイキー、レトロフォト、トイカメラなど、動画で11種類、静止画で13種類のエフェクトが選択可能。
本体下部に割り当て可能なコントロールダイヤルを複数装備。液晶モニタを閉じた状態でも使用できる。2軸のホワイトバランス調整機能も備え、マニュアルボタンに割り当てる事で、ワンタッチで呼び出す事もできる。
本体操作ボタン | 付属のリモコン |
液晶モニタは3型、エクストラファインの92万画素。さらに、XGAの有機ELファインダーも搭載している。
記録メディアはメモリースティックデュオ/SDメモリーカードに対応する。端子類は、HDMIや、付属ケーブルを介したD5/D3のコンポーネント、コンポジット、S映像出力を用意する。外形寸法は105×223×130mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約825g。
(2012年 9月 12日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]