SME、BD製造技術を全て投入した「Blu-spec CD2」

進化した高品質CD。12月に第1弾111タイトル


Blu-spec CD2のロゴマーク

 ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は28日、2008年から発売している「Blu-spec CD」を改良し、「Blu-ray Disc製造技術のすべてをCD製造に投入した」という、高品質CD「Blu-spec CD2」を発表した。第1弾として、「ベスト・クラシック 100」など111タイトルを、ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルから12月5日と19日に発売する。

 Blu-spec CDは、製造時にBlu-ray Disc向けの製造技術や素材を利用することで高音質化を図ったCD。通常の音楽CD(CDDA/レッドブック)の規格に準拠しており、既存のCDプレーヤーでそのまま再生できる。

 これまでのBlu-spec CDは、原盤製造の際に、BDのカッティングで使われる「Blue Laser Diode(BLD)」を導入。カッティングマシンはCD用のもので、レーザー部分のみBLDと光ファイバーを使ったものに付け替えて使用しているが、より短波長のブルーレーザーを用いることで、極微細加工を実現。さらに、ディスク用素材としてBD用の素材として開発された高分子ポリカーボネートを採用している点が特徴だった。

従来のCDスタンパーとBlu-spec CD2の比較

 「Blu-spec CD2」では、ブルーレーザーを使うだけでなく、カッティング方式もBD用のものを踏襲。BD用カッティングマシンを使うことで、トラックピッチの精度はCDの約20倍、レーザービームの照射位置精度は約10倍に改善したという。

 原盤材料には、半導体製造用シリコンウエハーを採用。ガラス原盤に比べ表面の粗さが約1/6になっているほか、欠陥も最小で、安定したカッティングに寄与するという。ディスク素材にはBlu-spec CDと同じ、高分子ポリカーボネートを使っている。

 また、記録層をフォトレジスト(光記録)から、金属酸化物レジスト(熱記録)に変更。正確な熱コントロールで、より理論値に近いピットが形成可能となり、ジッタ量が約1/2になったという。

 また、原盤から直接複数のスタンパー製作が可能なダイレクトマスタースタンパー製造を採用しており、メタルマスター・マザーを不要としている。

CDとのジッタ比較ダイレクトマスタースタンパー製造の説明図

 12月5日に発売されるのは、クラシックを中心にした108タイトル。「ブルーノ・ワルター/モーツァルト:交響曲第40番ト短調&第41番ハ長調ジュピター、アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(SICC-30001/1,890円)や、「小澤 征爾/マーラー:交響曲第2番ハ短調 復活」(SICC-30012~13/2,730円)」などのクラシック101作品と、ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス「アー・ユー・エクスペリエンスト?」など7タイトルで、価格は1,890円~2,730円。Blu-spec CD2と通常CDの2枚組とし、比較試聴ができるコンピレーションアルバム「これが Blu-spec CD2 だ! ベスト・クラシック 100編」(SICC-30113~114/1,575円)も含まれている。

 12月19日には3タイトルが発売。いずれも2,205円で、ジョー・ストラマー & ザ・メスカレロスの「X-レイ・スタイル」(紙ジャケ再発/EICP-30001)、「グローバル・ア・ゴー・ゴー」(紙ジャケ再発/EICP-30002)、「ストリートコア」(紙ジャケ再発/EICP-30003)をラインナップ。

 その他のラインナップは、ソニー・ミュージックのサイトで紹介(リンク先はPDF)されている。


(2012年 9月 28日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]