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「紅の豚」が7月17日にBlu-ray化。7,140円

MGVCソフト。対応プレーヤーで高階調再生

紅の豚
(C)1992 二馬力・GNN

 ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンは、スタジオジブリの「紅の豚」を、7月17日にBlu-ray化する。価格は7,140円。品番はVWBS1444。

タイトル仕様音声品番価格
紅の豚約93分
片面2層
16:9
MPEG-4 AVC/MGVC
日本語字幕
英語字幕
フランス語字幕
ほか
日本語
(DTS-HD MasterAudio 2.0ch
サラウンド)
英語/フランス語/ドイツ語
フィンランド語/韓国語/北京語
(ドルビーデジタル2.0ch
サラウンド)
広東語
(ドルビーデジタル
ステレオ)
VWBS-14447,140円

 特典として、絵コンテを本編映像とのPinP(子画面表示)で収録。さらに、アフレコ台本、プロデューサー・インタビュー(約3分)、予告編集を収録する。

 英語やフランス語、ドイツ語など、各国の吹替音声も豊富に収録。フランス語版では、主人公ポルコの声をジャン・レノ、英語版ではマイケル・キートンが演じている。このマイケル・キートンの英語版音声は、日本では初収録となる。字幕も豊富な言語に対応している。

 既報の通り、このソフトは 最大36bitの高階調映像を実現するパナソニックの新技術「マスターグレードビデオコーディング(MGVC)」に対応。パナソニックのBDレコーダ最上位モデル「DMR-BZT9300」に、6月中旬公開予定のMGVC対応ファームを適用する事で、最大36bitの高階調映像を再生できるようになる。

 映画やアニメは、マスター映像は30bit以上の高階調で制作される物が多いが、BDやHD放送として提供される際は、それらの規格に基づき、24bitに制限されてしまう。これによって失われる階調情報を、独自の拡張データとしてディスクに記録。「DMR-BZT9300」のような対応プレーヤーで再生すると、通常のBDの24bitを超える階調表現が可能になるという。

 MGVCは、ウォルト・ディズニー・ジャパンから既に発売されているスタジオジブリ作品「となりのトトロ」、「火垂るの墓」、「魔女の宅急便」、「おもひでぽろぽろ」で既に採用されており、7月17日発売の「紅の豚」BDでも対応する。

 なお、BD化にあたり、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーから、「ポルコは、なぜ、豚になってしまったのか?」と題した文章が寄せられている。以下に全文を掲載する。

ポルコは、なぜ、豚になってしまったのか?
(スタジオジブリ 鈴木敏夫プロデューサー)

 宮崎駿は、電車に乗るのが好きだ。

 有名人なので、周りが心配すると、こう言ってのける。

 「怖い顔をしていれば、だれも気づかない」

 実際は違う。乗客たちが知らんぷりを決め込んでくれるのだ。ありがたい。しかし、本人はそう思っていない。あるとき、ぼくとふたりで電車に乗った。すると、乗客のひとりがサインをねだってきた。ぼくが小さな声で、やんわり断ると、その人も諦めてくれた。電車を降りて、目的地に近づいたとき、宮さんが怒りだした。

 「鈴木さんがそばにいたから、ばれたんだ」

 ぼくにしても、そういう時は知らんぷりを決め込み、宮さんのことを無視する。このエピソード、じつは単なる笑い話ではない。宮崎駿の本質の一部があるとぼくは思っている。

 「紅の豚」の絵コンテを描き始めたとき、ぼくは驚いた。

 主人公が豚の顔をして、平然と街を歩くシーンがあるのだが、だれも驚かない。むろん、そんな顔をしているのは彼ひとりだ。感想を求められ、ふと口走ってしまった。ポルコは、なぜ、豚になってしまったのか?

 「くだらないよ、そういうのは」

 そういう因果関係をグダグダ説明するから、日本映画はつまらないと言うのだ。しかし、宮さんは、ぼくの要望に応えるべく、ジーナのシーンを付け加えてくれた。

 「どう、これで分かるよね」

 映画を作るとき、宮さんという人は、俯瞰でモノを見ない。

 というか、見ちゃいけない。そう思っている人だ。

 だから、時として、その言動は奇異に映る。

 ぼくにとっては、宮崎駿が作家であることを実感したエピソードのひとつである。

 2013年3月

紅の豚とは

 紅の豚は、'92年に劇場公開されたスタジオジブリの長編アニメーション。日本航空の機内上映用短編映画として当初企画がスタート。「月刊モデルグラフィックス」に宮崎監督が連載していた漫画「宮崎駿の雑想ノート」の一編「飛行艇時代」を原作としており、新たな戦争に世界中がおびえていた時代に、信念を持ち、カッコよく生きる一人の“ブタ”を描いている。原作、脚本、監督は宮崎駿。音楽監督は久石譲。

 イタリア・アドリア海で飛行艇に熱中する、4人の少年と1人の少女がいた。彼らはともに大空をめざした。やがて少年たちは戦火の中に、ひとりは青い海に、もうひとりは荒野の果てに、それぞれ手の届かないはるか彼方へと消えていった。そして残されたのは少女と、ひとりの少年。その少年も自らに魔法をかけて、人間であることをやめた……。

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(山崎健太郎)