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NHK、放送/通信連携サービス「Hybridcast」を9月2日開始

放送にオーバーレイでニュース表示。30日過去番組表も

 NHKは、次世代の放送/通信連携サービス「NHK Hybridcast(ハイブリッドキャスト)」を2013年9月2日午前11時からNHK総合において開始する。

 Hybridcastは、テレビやスマートフォン/タブレットなどの端末において、テレビ放送とWebが連携した多様なアプリケーションの実現や、放送/通信連携を活用した新たなコンテンツ展開を目指したサービス。最新ニュースのネット経由での配信や、オンデマンド番組連携、番組の進捗にあわせた詳細情報の提供などが予定されており、日本版スマートテレビの中心となる技術として官民協力して推進する計画。技術的にはIPTVフォーラムの定める「ハイブリッドキャスト(Hybridcast) 技術仕様 ver.1.0」で規格化されている。

NHK Hybridcastのホーム画面

dボタンでHybridcastへ。過去30日の番組表。秋以降に放送連動

東芝のREGZA Z8X/Z7/J7シリーズがHybridast対応

 対応テレビをインターネットに接続することで、様々なサービスを利用可能となる。
8月21日現在の対応テレビは、東芝のREGZA Z8X/Z7/J7シリーズの10モデル。9月2日にサービスを開始するのはNHKのみで、NHK以外の民放各局がサービスを開始するかどうかについては、各局の判断に委ねられている。

 NHKは、9月には第1段階として、ハイブリッドキャストのホーム画面を提供。ここから、テレビの放送画面に最新のニュースや気象情報、スポーツ情報、為替情報などを組み合わせて表示することが可能となる。

ホーム ビジネス
ホーム 番組詳細
ホーム スポーツ
スポーツ詳細
気象トップ
気象 実況

 Hybridcast対応テレビでリモコンの「dボタン」を押すことで、NHK Hybridcastのホーム画面が表示され、サービスを利用できる。そのため、対応テレビでNHK総合視聴時にdボタンを押すと、データ放送でなくHybridcastが立ち上がる形となるが、データ放送に戻るボタンも用意されているため、Hybridcast対応テレビでもデータ放送を見ることはできる。

Hybridcastからデータ放送への遷移も可能

 dボタンで立ち上げると、放送画面に透過オーバーレイする形でメニュー画面が現れ、ホーム、ビジネス、番組詳細、番組表、スポーツ、気象、スクロールニュース、おすすめなどが選択できる。

 放送画面に透過したオーバーレイを表示し、リモコン操作だけで任意のコンテンツを選択できる。dボタンを再度おすことで、放送番組にすぐに戻れるようにしたほか、オーバーレイ表示も番組を妨げないよう配慮したという。番組の最下部に小さくニュースの見出しを横スクロールで表示し、気になったニュースを指定して全文を読むことができる「スクロールニュース」にも対応している。

スクロールニュース
本文を表示
全画面表示も

 番組表も用意。7日後までの未来の情報だけでなく、カレンダーから最大30日分の“過去”の番組表も表示可能となっている。将来的には、NHKオンデマンドなどへのリンクを入れることも検討しており、過去番組表から有料で見逃し番組の視聴といったことも想定している。ただし現時点では、「放送事業とNHKオンデマンドは会計分離をし、別区分で運営する」ことが定められているという法的な問題と、テレビ上で課金/決済機能をどう実現するのか、という技術的な問題の双方が残されているため、「いくつか課題を解決する必要がある」とする。

番組表。NHK総合以外のNHKチャンネルも表示。放送中(NOW ON AIR)以前の番組も表示
番組情報
カレンダー表示。過去30日分表示できる
8月7日の番組

 9月にスタートするホーム画面からのニュースや気象情報提供について、NHKでは「独立型サービス」と呼んでいる。放送から“独立”してサービス展開しているためだ。

 一方で、今秋以降には、放送に“連動”する形のサービスを提供開始する予定。放送中の番組に関連する情報や、オンデマンドで動画を提供するなどの展開を予定しており、年内にはいくつかの番組で連動型のサービスを展開する見込み。

 また、タブレットなどの携帯端末を連携させたサービスの開始も検討しており、具体的には、双方向クイズ番組などをはじめとする視聴者参加型サービスや番組内容を補完する解説などを想定している。当初は総合テレビでサービスを実施し、その後、他のメディアへの展開も検討していくという。

【Hybridcastのサービス展開】
時期 サービス 概要
9月 独立型 ニュース、為替、番組表など
秋以降 放送連動型 放送に連動したコンテンツ
VOD(無料)など

 対応テレビについては、「今後、家電メーカーから順次出てくることを期待している」(NHK編成局 編成主幹 桑原知久氏)と説明。HybridcastはHTML5技術を採用しているため、HTML5対応のブラウザとIPTVフォーラムによる拡張規格に対応する必要がある。

 また、テレビ以外の機器での対応については、「チューナが付いていない機器では難しいが、技研公開では、CATVのSTBのチューナでHybridcast対応したものを展示した。そういった形はありえるのではないか。レコーダについても同様で、メーカーの商品企画次第で実現は可能」(メディア企画室 加藤久和 専任局長)とした。

 タブレットなどの連携アプリケーションについては、Hybridcast対応の受像機(テレビ)メーカーが、タブレットやスマートフォン向けとして提供する形(コンパニオンアプリ)を想定しており、対応OS(Android、iOSなど)もメーカーの製品企画次第としている。例えばテレビ向けのリモコンアプリにHybridcast関連機能を実装するといった展開が見込まれる。

 なお、放送連動番組の録画後の扱いについては、「『保証できません』としか申し上げられない」(メディア企画室 加藤 専任局長)という。HDDレコーダなどで放送波をそのまま録画した場合、放送に連動してサーバーからデータを出力するためのトリガー情報も記録されているはずだ。ただし、「録画番組でそのトリガーが利用できるか」という機器側の問題や、「サーバーにいつまでデータを保存するか」といったNHK側の問題がある。そのため、「録画したもので使いたいというユーズを想定して議論はしているが、現時点では保証できないとしかいえない」としている。

2〜3年後に数百万台がHybridcast対応に

 9月2日にスタートする理由は、「年内を目標としていたが、受像機の性能などを見極めた上でようやく形になってきた。連動サービスが後になってしまうため、もう少し後に始めたい気持ちもあったが、dボタンでの操作や、レイヤー表示について、消費者からの意見を早く聞きたいと考えた」(編成局 桑原知久 編成主幹)とした。

 将来のHybridcastの見通しについては、「現時点では東芝のテレビのみだが、これは鶏と卵の問題。それでもスタート後には数万台ぐらいがネットに繋がり、その後各メーカーの対応機種が増えることを期待している。2〜3年で数百万台テレビでご利用いただけるようになれば、というのが期待値」(メディア企画室 加藤 専任局長)とした。

 また、dボタンでHybridcast機能を呼び出すという仕組み上、「データ放送の今後」についても質問が出たが、「データ放送は今後も続く。当面は全てのテレビがネットにつながるわけではないので、BMLのデータを辞める必要はない」とした。また、独立型サービスなどのHybridcastの多くのコンテンツはデータ放送と共用し、運用コストの低減を測っており、例えばニュース原稿などもWebで公開しているものと共通化して出力しているという。

 NHKのサービスでは、NHK総合からBSの情報なども案内しているが、現在のHybridcastは、各放送局が独立した形で展開することを想定している。2013年のNHK技研公開では、WOWOWやフジテレビ、日本テレビ、TBSなども関連サービスを提案していたが、チャンネル間の連携についても規格化作業は進めているとのこと。

 なお、緊急地震速報などの際には、Hybridcastを自動的に停止し、放送画面を表示する。テスト機では、先日(8月8日)の大規模な緊急地震速報(結果的には誤報)の際にも正常に動作したとのこと。

(臼田勤哉)