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HDMI Licensing、4K/60pなど「HDMI 2.0」を説明

8Kについては「検討している」

HDMI 2.0の概要

 HDMI Licensingは12日、HDMIの最新バージョンとなる「HDMI 2.0」の説明会を開催した。従来バージョンと互換性を維持しながら、帯域を大幅に拡大することで、新たに4K/60p映像の伝送に対応したことが最大の特徴となる。

 HDMI 2.0の概要については既報の通り。HDMIの規格化作業は、従来のHDMIコンソーシアムから、2011年10月にHDMIフォーラムに引き継がれており、同フォーラムとして初の規格化となる。HDMIフォーラム理事会会長のアーノルド・ブラウン氏は、「UltraHDTV(UHDTV)/4Kのサポート」をHDMI 2.0の最大の特徴と紹介した。

HDMI Forum理事会会長 アーノルド・ブラウン氏
HDMI LLCのスティーブ・ベヌーティ社長
HDMI 2.0で帯域を18Gbpsに拡張

 HDMI規格のライセンスを担当するHDMI Licensingのスティーブ・ベヌーティ社長は、HDMIが目指すものや、HDMI 2.0の概要について説明した。HDMIが目指すものは、「オーディオ・ビデオのインフラストラクチャ(基盤)」とし、「常に市場の要求を取り入れて、5年先を考えていく必要がある。そして、なるべく簡単、かつ信頼性と高いパフォーマンスを保ち、消費者のユーザー体験を損なわずに提供する」と説明した。

 そして、現在の最大の市場ニーズが広帯域化。つまり、4K/60pへの対応だ。HDMI 2.0では、帯域を従来の10.2Gbpsから、最大18Gbpsまで拡大。4K解像度の50p/60p映像(2160p)の伝送に対応した。18Gbps伝送の場合、12bitで4:2:2、8bitで4:4:4の4K/60p信号を伝送できる。コネクタ形状の変更などは無く、ケーブルは従来のHIGH SPEED対応であれば、4K/60pが伝送できる。また、4K 50p/60p伝送のほか、21:9のアスペクト比にも対応した。

 デュアル表示は、同じスクリーンに複数ユーザーへの2系統同時ビデオ出力を可能にする。PlayStation 3やLGの液晶テレビなどで、3Dの枠組みを使って、メガネを装着することで、同じスクリーンを利用している、別のユーザーにそれぞれ別の映像を出力する機能が実現されているが、HDMI 2.0のデュアル表示はそうした用途を想定し、送信側と受信側の振る舞いを統一したものとなる。

4K/60p対応
デュアル表示
マルチストリームオーディオ

 オーディオについては、32チャンネルまでのマルチチャンネルや、1,536kHzまでのサンプリングレートに対応。4K/60p映像と同時に32chのオーディオ伝送も規格上は行なえるようになっているとのこと。また、4系統のマルチオーディオストリーム出力に対応する。

 また、マルチオーディオストリームに対応したことで、デュアル表示時に異なる2人のユーザーそれぞれに対し、別の音声を伝送することも可能となる。ビデオとオーディオの「ダイナミック自動リップシンク」にも対応した。

CEC 2.0も

 CEC(Consumer Electronics Control)の拡張もHDMI 2.0の強化ポイント。CECは、HDMI連携した機器を1つのリモコンで制御可能にする技術だが、これがCEC 2.0にバージョンアップ。CEC 2.0対応機器では、ワンタッチ再生、スタンバイ、リモートコントロールパススルー、システムオーディオコントロール、ワンタッチ録画への対応が必須となる。

 HDMI Licensingでは、製品採用メーカーなどが「HDMI 1.4b」や「HDMI 2.0」といったバージョン表記を行なうことを原則禁止しており、HDMI(DeepColor、ARC対応)といったように対応の機能を併記するよう推奨している。その方針に変更はない。ただ、4K/60p対応をどうやって併記するか、という点については、現在決まっていないとのこと。なお、HDMIで対応が「義務付けられている(Mandatory)」のは、480pビデオに対応していること、ステレオオーディオに対応していることの2点のみで、その他はすべてオプション扱いとなっている。

 また、8Kなど4K/60p以上の映像への対応については、「市場のニーズには応えていかなければいけない。検討は始めている」とした。

HDMI 2.0機能比較
バージョンごとの対応可能機能

(臼田勤哉)