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ソニー、GPS/NFC搭載の新アクションカム「HDR-AS30V」
動画に地図/速度計表示。防水ケースは小型化
(2013/9/17 13:05)
ソニーはアクションカメラの新モデル「HDR-AS30V」を10月11日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は3万円前後。液晶付きのライブビューリモコンや人間の胸の部分にカメラを固定するためのチェストマウントハーネスなど、アクセサリの新モデルも多数追加。また、ライブビューリモコンとAS30Vをセットにした「HDR-AS30VR」も12月6日に実売4万円前後で発売する。
自転車や自動車、バイク、ヘルメットなどに装着し、スポーツ中の様子を静止画・動画撮影できるアクションカメラ。昨年発売された「HDR-AS15」(販売開始当初の実売約3万円)の後継モデルとなる。
撮像素子や本体の外形寸法など、カメラとしての基本性能は「AS15」を踏襲しているが、新たにGPSやNFC機能を内蔵。動画と共に移動の軌跡や速度情報なども記録し、撮影後の動画編集において、映像に地図やスピードメーターをオーバーレイで挿入できる。また、同梱の防水ハウジングを小型化するなど、細部も改良。撮影動画の新たな活用提案を行なうモデルにもなっている。
ハードウェアの進化点
撮像素子は1/2.3型 1,680万画素のExmor R CMOS。電子式の手ぶれ補正機能を備え、120度/170度のワイド画角撮影が可能。レンズの明るさはF2.8。MP4(MPEG-4 AVC/H.264)形式で、最高で1080/60pの撮影が可能。1080/30p、720/120p(4倍スロー)、720/60p(2倍スロー)、720/30p、640×480/30pの撮影もできる。フルHD撮影時のビットレート(PSモード)は約28Mbps。ここまでの仕様は、ファームウェアアップデート後のAS15と同じ。
なお、AS15ではユーザーから「撮影した映像の、主に空の青さを強調する傾向」が指摘されていたが、ソニー側もそうした声は把握しており、AS30Vでは画質についてもさらに改良を重ねているという。ファームアップで従来モデルに、そうした改良が適用されるかは未定。
撮影機能として、新たに1,190万画素の静止画撮影モードを追加。従来から一定時間間隔で静止画を撮影するインターバル撮影モード(200万画素相当)は備えているが、新追加されるのはデジタルカメラのように静止画を1枚撮影する機能となる。また、発売後のアップデートでの追加となるが、上下反転撮影機能も用意。本体を上下反転してバイクや自転車などに固定した場合でも、正しい向きでの撮影ができる。これらの機能も、前モデルにファームアップで提供されるかは未定。
NFC機能も搭載。従来モデルも無線LANでスマートフォンやタブレットとカメラをダイレクト接続する事で、スマホ/タブレットをモニタとして使い、カメラがとらえているアングルを確認したり、録画開始などの制御が可能だった。AS30Vでも同様だが、スマホ/タブレットとの接続にNFCが利用可能になった。タッチするだけで、パスワードなどを入力せずに接続できる。
さらにGPSもカメラに内蔵。映像を撮影するだけでなく、どこを移動しているのかというGPSログと、速度情報もカメラに独自形式で記録できる。これは、撮影後に「PlayMemories Home」において活用するためのもので、動画を再生しながら地図で場所を表示したり、動画編集において演出を追加できる。
外形寸法は24.5×47×82mm(幅×奥行き×高さ)、重量90g(バッテリ含む)/65g(本体のみ)。HDMIマイクロ出力やマイク入力、USBマイクロ端子も搭載。記録メディアはmicroSDカード、メモリースティックマイクロに対応。なお、従来モデルはXバッテリに加え、Gタイプのバッテリにも対応していたが、新モデルではXバッテリのみに対応。「NP-BX1」が付属する。振動にもより強くなったとする。撮影可能時間は約120分(従来モデルは約140分)。充電所要時間は約4時間5分。
撮影動画に効果をプラス
前述のように、カメラに搭載したGPSの情報を用いて、撮影動画に様々な効果を付与できるのが特徴。マルチビューと呼ばれる機能で、PlayMemories Homeにおいて、ユーザーが動画とGPSログデータを選択すると、撮影動画に、移動の軌跡を表示した地図や、自動車やバイクのスピードメーターのような表示、移動時間、移動距離などをオーバーレイで表示できる。さながらレースゲームのプレイ画面のような映像を、数種類のテンプレートから選択するだけで作成できる。オーバーレイ表示を含めた編集後の動画をMP4で書き出し、YouTubeなどにアップロード可能。
マルチビューは、2つのカメラで撮影した動画の組み合わせにも対応。例えばバイクの前方に向けたカメラと、後方に向けたカメラの映像を1つの画面の中に表示できる。その際は、縦や横に映像を並べるだけでなく、PinP(小画面表示)で別のカメラ映像を重ねる事もできる。
なお、GPSログと動画の同期はユーザーが手動で行なう。また、GPSログは汎用の形式ではないため、例えば自転車用サイクルコンピュータの代わりとしてAS30Vを使い、GPSログデータを他のアプリやWebサービスで使うといった事は想定されていない。
他にも、PlayMemories Homeを使って90度、180度、270度の動画回転も可能。上下反転撮影機能の無い従来モデルを使っている場合も、撮影後にPlayMemories Homeで回転させることができる。
アクセサリも大量追加
12月6日に15,750円で単品販売され、カメラとのセットモデルも用意されるのが「カメラビューリモコン」(RM-LVR1)。1.4型のカラーディスプレイを備え、無線LANでカメラと接続。スマートフォンを使わずに、このリモコンから画角のチェックや録画開始/停止などのリモコン操作が可能。従来モデルでも利用できる予定。バッテリの持続時間は4時間。このリモコン自体が3mの防水性能を持っている。
防水ハウジングを同梱するのが特徴だが、そのサイズが従来モデルに付属するものより一回り小型になり、重量も約85gから55gに軽量化された。前面パネルもマイクの集音を阻害しにくいものを採用。また、従来はハウジングにカメラを入れると、撮影開始/停止程度しか操作ができなかったが、ゴム製の操作ボタンを側面に用意。本体のボタンを押せるようになり、防水ケースに入れたままフル機能が利用できるようになった。
ただし、これにより防水性能は従来の60mから5mに低くなっている。これは、前モデルで、そこまで深い場所での水中撮影を行なうユーザーが少なかったため。新たに5m防水の小型/軽量ケースを作り、それをAS30Vに同梱した形となる。
なお、10月11日には「ウォータープルーフケース」(SPK-AS2/4,725円)として、この5m防水ケースを単品発売。カメラの形状は同じであるため、前モデルでもこのケースは利用できる。また、12月6日には従来品に付属していた60m防水の「アンダーウォーターハウジング」(MPK-AS3/5,775円)も発売予定。このハウジングには、水中でより鮮明に撮影、さらに音声をくっきり記録できるという水中ドア「AKA-RD1」も含まれている。
ユニバーサルヘッドマウントキット「BLT-UHM1」は、12月6日発売で4,200円。ロードバイクなどで使われる穴あきヘルメットや通常のヘルメット、ゴーグルに加え、頭部に直接装着できるキット。従来モデルの「VCT-GM1」と比べ、チルトアダプタを同梱しているのが特徴で、一定方向の撮影だけでなく、チルト/水平可変となり、細かな調整ができる。
チェストマウントハーネス「AKA-CMH1」は、12月6日発売で5,250円。ユーザーが装着し、胸の下あたりにカメラを固定するための器具で、チルト/水平調節が可能。カヌーや登山、自転車、ダイビングなどでも利用できる。
ロールバーマウント「VCT-RBM1」は、12月6日発売で4,200円。既発売のハンドルバー用マウントと比べ、より太いものに装着できるのが特徴。具体的には直径20~65mmに対応できる。さらに、六角レンチで装着/固定していた従来モデルと異なり、ベルトのバックルのような器具で固定するようになり、着脱を簡単にしている。カメラのパン/チルトも可能。
サクションカップマウント「VCT-SCM1」は、12月6日発売で、4,725円。車のダッシュボードなどに固定できる吸盤を備えたマウントで、パン/ロール/チルトが可能。
カーチャージャーキット「ACC-DCBX」は、10月11日発売で8,820円。車内で利用する際に、シガーライターソケットからカメラに給電するためのキットで、ケーブルだけでなく、バッテリのNP-BX1も1個セットにしている。
アクションカム市場はビデオカメラ市場の10分の1程度の規模へ
ソニーではアクションカメラの市場について、各社の参入などもあり大幅に伸長していると分析。2012年の3万台から、2013年は87,000台と前年比290%の成長、2014年には前年比150%の13万台の市場に成長すると予測。これは、ビデオカメラ市場の10分の1程度の市場規模となる。
また、使われているシーンについては、自転車(サイクリング)が35%以上で最も多く、次いで車、スキー・スノーボード、家族や子供との日常、バイク、登山、自転車(ツーリング)、ジョギング、自転車(レース/競技)、ダイビングと続いている。