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エソテリック、新フラッグシップ「Grandioso」3機種

48bit/352.8kHz伝送対応。36bitモノラルDACなど

左がモノラルDAC「D1」を重ねたもの、右が電源部セパレートのSACDトランスポート「P1」

 エソテリックは、新フラッグシップシリーズ「Grandioso」(グランディオーソ)を発表。11月下旬にSACDトランスポート「P1」(262万5,000円)、36bitモノラルDAC「D1」(131万2,500円/1台)を、11月中旬にモノラルパワーアンプ「M1」(147万円/1台)を発売する。

 Grandiosoには、「壮大な」、「堂々とした」という意味があり、エソテリックの技術を結実させたフラッグシップと位置付けられている。

48bit/352.8kHz伝送に対応したDAC「D1」

DAC「D1」。モノラルDACであるため、ステレオ再生では2台必要

 SACDトランスポート「P1」と、36bitモノラルDAC「D1」に共通する特徴は、新たな伝送技術「ES-LINK4」に対応している事。HDMIケーブルを使い、トランスポートからDACへ、DSDとリニアPCMの伝送ができ、PCMは最高で48bit/352.8kHzの超広帯域伝送を可能にしている。

 ES-LINK4はデジタル信号処理の大部分を送り出し側で行ない、DACのデジタル信号処理の負荷を大幅に低減している事も特徴。「超広帯域もさることながら、DACを本来のD/A変換処理に特化させる『PureD/A』思想により、高音質を追求した」という。

 DACの「D1」は、チャンネル・セパレーションと、各チャンネルへの理想的な電源供給を目指し、モノラル構成を採用。左右のチャンネルは付属のHDMIケーブル1本でリンク接続できる。

 DACチップは、旭化成エレクトロニクスとエソテリックが共同開発した、32bitタイプの「AK4495」を採用。チャンネルごとに16回路を組み合わせ、「圧倒的なリニアリティと低ノイズ化を実現した」とする。DSD信号のダイレクト処理のほか、PCM信号を36bitでアナログ変換する「36bit D/Aプロセッシング・アルゴリズム」を新たに採用。きめ細かく滑らかな質感と高解像度を両立したとする。

 PCMの信号処理では、2/4/8倍のアップコンバート機能や、DSDへの変換機能も搭載する。

「D1」の背面

 USB入力も備え、アシンクロナス伝送で、最大32bit/384kHzのPCMと、2.8/5.6MHzのDSDに対応。オリジナルのドライバを使い、DoP/ASIO 2.0にも対応する。

 デジタル入力はES-LINK×1、i.LINK 4p/6p×各1、USB×1、同軸デジタル×2、光デジタル×1を用意。XLR入力は48bit/192kHz(ES-LINK3)、および24bit/384kHz(Dual AES8Fs)のハイサンプリング/ハイビット入力にも対応する。出力は高精度デジタルアッテネーターも備え、パワーアンプへダイレクトに接続することもできる。

 各入力端子の対応可能な音楽データは以下の通り。

入力端子 対応音楽データ(最高)
ES-LINK×1 PCM 48bit/384kHz(ES-LINK4)
DSD(ES-LINK4)
i.LINK 4p/6p×各1 PCM 24bit/192kHz、DSD
USB×1 PCM 32bit/384kHz
DSD 2.8/5.6MHz
同軸デジタル×2 PCM 24bit/192kHz
光デジタル×1 PCM 24bit/192kHz

 出力端子はXLR、アナログRCAを各1系統搭載。アナログ出力回路に求められる電流伝送能力の高さとスピードを実現するために、出力バッファーアンプ回路に物量を投入。DAC部とは分離した独立基板で構成し、電流出力能力が高く、応答速度を表すスルーレートが2000V/μsの高性能素子を使っている。

 このバッファ回路をRCA出力の場合は1回路、XLR出力の場合はホット/コールドごとに1回路使用している。なお、DAC回路のアナログ部やHCLD(High Current-capacity Line Driver)バッファ回路など、全てのアナログ回路は、デジタル回路から電気的に分離している。

 BNCのクロック入力・出力端子も搭載。消費電力は14W。外形寸法は445×448×132mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は24kg。

SACDトランスポート「P1」

SACDトランスポート「P1」。下部は別筐体の電源部

 前述の通り、新しいES-LINK4出力2系統と、従来バージョンのES-LINK対応デュアルXLR端子、さらに同軸デジタル×1系統、i.LINK 4p/6pを各1系統搭載したSACDトランスポート。「D1」との接続にはHDMIケーブルを使うES-LINK4が利用できる。再生可能ディスクはSACD/CD、CD-R/RW。

 ドライブメカは駆動回路設計をリファインしたVRDS-NEO「VMK-3.5-20S」を搭載。高精度ターンテーブルを使用し、ディスク回転時の面振れを補正、読み取り精度を高めている。スピンドルの軸受けにはセラミックボールベアリングをペアで採用。ミクロン精度のジュラルミン・ターンテーブル、20mm厚スチール製ターンテーブルブリッジも搭載し、総質量は5.2kgになる。

 VRDS-NEOの心臓部にあたるスピンドルモーターの駆動用には、専用のスピンドルサーボドライバー「VS-DD」を搭載。3チャンネルのディスクリートアンプ回路で、モーターに供給する電流波形を最適化することで、振動を抑え、滑らかなスピンドル駆動と、高精度なサーボ制御を可能にしたという。

「P1」の背面

 電源部が別筐体になっており、4つの独立したトロイダル電源トランスを搭載。VS-DD回路、ドライブメカ駆動回路、デジタル出力回路、クロック回路それぞれへ、クリーンで安定したDC電源を供給できるとする。

 BNCのクロック入力も搭載。消費電力は24W。外形寸法と重量は、本体部が445×448×162mm(幅×奥行き×固さ)で27kg、電源部が445×452×132mm(同)で24kg。リモコンはアルミ製。

モノラルパワーアンプ「M1」

 定格出力300W(8Ω)、600W(4Ω)、定格連続平均出力1,200W(2Ω)、2,400W(1Ω/音楽信号に限る)のモノラルパワーアンプ。

 連続動作17アンペア、瞬間動作34アンペアという電流供給能力を持つバイポーラLAPT(Linear Amplified Power Transistor)素子を採用。パワーだけでなく、高域特性に優れ、繊細な音色を生み出せるという。

モノラルパワーアンプ「M1」。ステレオ再生には2台必要
背面

 パワーアンプモジュールは、バイポーラLAPT素子を6パラレル・プッシュプルとした3段ダーリントン構成。バイポーラ素子の優れた高域特性を引き出すために、パラレル数を極力減らしたという。一方で、バスバーを16本使用するなど、内部インピーダンスを低減。アルミダイキャスト製の大型ヒートシンク2基にマウントする2モジュール構成とすることで、排熱効率と安定性も高めている。

 ドライブ段がスピーカーに供給する電力は、激しく変動しているが、その影響を受けないように、入力段から微弱な信号を受ける電圧増幅段(ドライブ段の前段)は、専用のトロイダル電源トランスと電源回路を装備。前段への安定的な電源を確保している。

 電源トランスは、質量約18kg、コアサイズ3,057VAの超大型トロイダルコアトランスを採用。ケース無しのベアマウント仕様で、一次側から二次側へと瞬時に電力供給できるトランスの性能を最大限に活かすため、電源部のコンデンサは、3,300μF×12パラレルで構成。電圧チャージ時間を短くすることで、ハイスピードな音質に貢献したとする。

 フルバランス入力段を採用し、入力系統(RCA×1、XLR×1)ごとに専用の入力バッファアンプを用意。増幅段までの信号経路を低インピーダンス・フルバランス伝送し、コモンモードノイズを除去。信号経路でノイズの影響も受けにくくしている。

 シャーシは2層式で、2mm鋼板を使った内部構造体は、回路ブロックごとに専用コンパートメント化。最適な信号経路での配線と各回路間の相互干渉防止を徹底したという。ボトムシャーシには5mm厚の鋼材を採用。フロントパネルは35mm厚アルミ材からの削り出し。脚部はピンポイントフットで4点支持している。

 適合最小インピーダンスは4Ω。消費電力は520W(無信号時20W)。外形寸法は491×535×221.5mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約62kg。

(山崎健太郎)