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音楽/トークなど575chを聴き放題、月額490円の「スマホでUSEN」。ローソンHMVと協力

左から、USENグループの宇野康秀会長、ゲストの国生さゆりさん、JiLL-Decoy associationのchihiRoさん、LHEの坂本健社長

 USENとローソンHMVエンタテイメント(LHE)は、スマートフォン向けの音楽/エンタメコンテンツ定額配信サービスを12月3日より開始する。料金は月額490円。スマートフォンの対応OSはiOS 6.0以上とAndroid 4.0以上。決済は開始当初はクレジットカードのみだが、キャリア決済も順次対応していくという。

 専用アプリを使って575ch(開始当初)という音楽/エンタメ関連の音声番組が聴き放題となるサービス。サービスのブランド名は両社で異なり、USENが「スマホでUSEN」、LHEは「USEN 550ch×HMV」という名称で展開していく。USENがコンテンツ調達と番組編成、音楽配信プラットフォーム作りを行ない、LHEはマーケティングパートナーとして、全国のローソン/HMV店舗やオンラインでユーザー数の拡大を図る。スマホで聴いている曲を、HMV ONLINEからCDで購入することも可能。

 スマホのユーザーに対して、USENがセレクトした曲を聴いてもらうことで「新しい音楽との出会い、発見」や、「CD/DVDを含む音楽市場の活性化」を目指す。目標とする会員数は開始から3年後に100万人としている。

スマホアプリのトップ画面
チャンネル選択画面
再生中の楽曲はジャケット表示可能。ハートのアイコンを押すとお気に入りに登録、カートのアイコンでHMVのCD購入ページに移動
サービス概要

 配信されるのは、スマホ向けに編成したオリジナル番組。音楽コンテンツは既存のUSENと同様に、ユーザーがチャンネルを選ぶと、タイムテーブルに沿って楽曲が連続して流れる形式で、前の曲や次に流れる曲名もリストで表示される。年代/ジャンル別や最新ヒットランキングなどの検索に加え、ユーザーの生活シーンに合わせた選局も可能。例えば、ランニングの初級者には、8分で1kmを走れるという番組、フルマラソンを目指す上級ランナー向けに6分以下で1kmを走る番組などを用意。さらに、勉強やストレス解消、睡眠、ダイエットといった目的に応じたチャンネル/番組をラインナップする。

 楽曲数は全チャンネル合わせて約90万曲。楽曲間やチャンネル間で音圧差の補正を行なうことで聴きやすくするという。なお、配信形式やビットレートは非公開。通信速度/音質の選択や、オフライン時のバッファ機能などは備えていない。スマホ本体のスピーカー/イヤフォンで聴くだけでなく、Bluetoothスピーカー/イヤフォンなどにワイヤレスで伝送して聴くことも可能。

 音楽番組だけでなく、アニメやトークバラエティ、英会話などの番組も配信予定。トーク番組では、谷村新司の「放送して委員会・スマホ部!」や、国生さゆりの「ニャン子は夜中に爪を研ぐ」、声優・内田真礼や伊藤かなえが出演する「a-FANFAN mini」などを配信予定。

USENがコンテンツを調達/編成、LHEがマーケティングを行なう
ローソンHMVの顧客基盤を活用
両社の狙い
開始当初の番組の一部
音楽だけでなく、アーティストや声優などによるトーク番組や、語学番組なども用意する

サブスクリプション型の伸びに期待。国生さゆりとジルデコのchihiRoも登場

USENグループ会長の宇野康秀氏

 サービス開始の3日には都内の「USEN MUSIC GARDEN」において記者発表会を開催。USENグループ会長の宇野康秀氏と、ローソンHMVエンタテイメント(LHE)の坂本健社長が、サービス概要と事業戦略、販売施策について説明した。

 さらに、オリジナル番組のパーソナリティを務める国生さゆりさんもゲストとして登場。自身がパーソナリティを担当する番組について紹介した。さらに、「第55回日本レコード大賞 優秀アルバム賞」を受賞したJiLL-Decoy associationのchihiRoさんも登場し、サービスへの期待を語った。

他サービスとの違いを4つの点で説明

 USENの宇野康秀氏は、他の音楽配信との違いを4つの点で説明。1つ目は「多チャンネル」で、開始当初の575チャンネルから、'14年には1,000チャンネルまで拡大する予定であることを明かした。2つ目は「個性豊かなチャンネル」で、音楽の各ジャンルを網羅するだけでなく、トークや語学などの番組を用意する点や、“波の音だけ”、“カエルの鳴き声だけ”、“羊の数”といった、ラジオではやらないような個性的なチャンネルも揃えていくという。

 3つ目は「厳選された楽曲」。宇野氏は「自動でレコメンドされるサービスとは違い、各チャンネルにディレクターがいて、長年の実績に基づき人が厳選して曲順などを構成していく。会員専用なので、トーク番組はテレビやラジオと違って本音や突っ込んだ会話が聞ける」とした。4つ目は「音へのこだわり」で、前述した音圧の補正など「音楽放送50年の歴史で培ったノウハウを惜しみなく投入する」と述べた。

 音楽消費のスタイルが変化し、CD購入やダウンロード型音楽配信が減少傾向にある一方で、海外では定額(サブスクリプション)サービスが増加傾向にある点も指摘。米国衛星ラジオ大手が合併した「Sirius XM Radio」の堅調な売上を紹介しながら、「環境の違いはあるが、日本でも伸びて行く市場では」とした。

CDやダウンロード音楽配信の落ち込みが進む一方、グローバルでサブスクリプション型のサービスが拡大していることを受けてサービス開始に至ったという
ローソンHMVエンタテイメントの坂本健社長

 LHEの坂本健社長は、チケット販売の「ローチケ.com」や「HMV ONLINE」、「HMV」の会員数合計約1,300万人や、1日900万人以上来店するというコンビニのローソン、ポイントサービス「PONTA」の会員5,846万人(10月時点)にアプローチすることで、配信サービスの利用者拡大を図ることを説明。

 「ローチケ.com」で販売されているチケットは、音楽、スポーツ、演劇、イベント、レジャーなどに渡るが、このうち音楽チケットが半分以上で、音楽との親和性が高いことを強調。これまでBtoCが多かったUSENに、LHEが持つBtoCの顧客にアピールしていくことに意欲を示した。

 坂本氏は「音楽と出会うきっかけが減っており、オーディオ機器を持っていないという人も増える中で、もう一度、いろいろな生活シーンの中で音楽が流れる環境が、スマホの普及に合わせて整っていくのでは。(HMV ONLINEでCDを販売することにより)できれば、オーディオ機器を使って音楽を聴く環境を増やすことの一翼も担い、アーティストに貢献できれば」とした。

国生さゆりさんとJiLL-Decoy associationのchihiRoさん

 発表会には、今回の配信サービスでトーク番組のパーソナリティを務める国生さゆりさんと、11月に発表された「第55回日本レコード大賞 優秀アルバム賞」に、5枚目のオリジナル・フルアルバム「ジルデコ5」が受賞したJiLL-Decoy association(ジルデコ)のchihiRoさんも登場した。

 国生さんは「最近、バラエティを自分発信でやりたいと思っていて、事務所にお願いしていた」とのこと。デビュー当時「走れメロン」というラジオ番組のパーソナリティを務めていたが、USENのスマホ向け新番組「ニャン子は夜中に爪を研ぐ」では、旅行、料理、ファッション、恋などの話に加え「ちょっとだけ“不満”もお話しする」という。

 今回の配信サービスについては「自分の時間に合わせて聴けるのがいい。ウォーキング、トレーニングしながら、仕事の前などに」とアピールした。また、“男前”キャラとして見られている点については「小3男子のような子供の心のなかに、乙女心も持ってます(笑)。打たれ弱いので、つい男前にふるまってしまう。この番組で新しい私も見て下さい」とした。

 USENのアプリを早速使って「もうちょっとジャズを勉強したい」というジルデコのchihiRoさん。アルバム「ジルデコ5」にも含まれている「パパのベイビー」は、YouTubeにおいて3日間で10万回再生されたという。音楽のネット配信について「(ジルデコを)知らない人の目に留まったのが大きなポイント。CDの売上が落ち込んでいると聞きますが、このサービスで自分の知らない曲をケータイで聴けて、 CD売上にもつながったらいいなと思う」と新サービスに期待を寄せた。

音楽など共通の話題について語る国生さんとchihiRoさん。楽屋では、国生さんがchihiRoさんに“女性の美しさ”について指南した一幕もあったという

(中林暁)