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AnimeJapanで、ソニーのプロトタイプHMD装着。アニメ世界に飛び込む“次元超え”してみた

「AnimeJapan 2014」のソニーマーケティングブース
会場は東京ビッグサイト

 日本のアニメ産業や関連産業の発展と振興を目的としたイベント「AnimeJapan 2014」が、3月22日(土)、23日(日)の2日間、東京ビッグサイトで開催され、ソニーマーケティングが、アニメの世界に飛び込んだような“次元超え”体験ができるプロトタイプのヘッドマウントディスプレイを出展。そこでリアルワールドに別れを告げ、アニメ界を体験してみた。

 なお、ヘッドマウントディスプレイの体験は無料だが、「AnimeJapan 2014」自体の入場券は、大人(中学生以上)各日1,500円、小学生以下は各日800円となる。初日となる22日には30分ほどの待ち時間となっていた。大勢の人が並んでいるが、一人あたりの体験時間は2〜3分なので思ったよりは待たない印象だ。

 ヘッドマウントディスプレイは、既発売の「HMZ-T3W」をベースにしている。0.7型/1,280×720ドット有機ELパネルを2枚搭載し、「750インチのスクリーンを20mの距離から視聴したような大画面が楽しめる」というモデルだ。

 会場に用意されたプロトタイプの特徴は、ヘッドトラッカーを後部に搭載している事。これにより、装着したユーザーの頭部の動きを検出。これに、360度の映像を組み合わせると、右を向いたと検知すれば、右側にある風景を、上を向けば、空の映像をと、頭の動きに合わせた映像を表示できるようになっている。自分が見たい方向を向けば、その方向にあるモノが見えるという、能動的な鑑賞が可能になり、さながらアニメの世界に飛び込んだような“次元超え”体験ができるというわけだ。

会場に用意されたプロトタイプ
背後のバンド部分にあるユニットがヘッドトラッカーだ
HMD部分は既発売の「HMZ-T3W」がベース

 装着方法自体は通常の「HMZ-T3W」と同じで、バンドで頭部に固定するだけ。バンド部分にヘッドトラッカーが搭載されているが、ユニット自体は小さいので、特に重いパーツが追加された感覚は無い。

 通常モデルと異なるのは、装着すると「前を向いてください」という文字が表示されている事。真正面を向いてOKボタンを押すと、次に「下を向いてください」と表示されるので、指示通り下を向いてOKボタン。これはヘッドトラッカーのキャリブレーション工程であり、頭部の動きを正しく検出するために必要だそうだ。

 キャリブレーションが完了すると、目の前に765プロの事務所が現れる。この事務所は、トップアイドルを目指す少女達を、専属プロデューサーであるプレーヤーがプロデュースするPlayStation 3用ソフト「アイドルマスター ワンフォーオール」に登場する芸能事務所だ。天海春香や如月千早といったキャラクター達も事務所内にいる。

 正面には窓ガラスがあり、外が見えるが、彼女達がおしゃべりしている声を聞きながら首を横に振ると、そのまま視界も横に動き、ロッカーや他のキャラクターが目に入る。下を向けば床が、天井を見あげれば事務所の天井が見える。言葉にすると当たり前の事だが、3DCGで再現された360度の映像内を、自分の意思で自由に見回していると、動きと視界の連動に違和感が無いため、強い現実感を覚える。3DCGのゲームで、コントローラーと液晶テレビを使ってゲーム世界を見回した経験は何度もあるが、自分の頭を動かして見回するのはそれとまったく異なる、強烈な“本物っぽさ”で、体験中に思わずニヤニヤしてしまう。

会場に用意されたテレビの表示。この事務所内を自由に見渡せる
※(c)窪岡俊之 (c)NAMCO BANDAI Games Inc
プロトタイプの装着イメージ

 初代モデル「HMZ-T1」をレビューした際に、映画やゲーム、PCの表示などを楽しんだ一方で、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着している限り、自分の手足は見えず、必ず正面に画面がピッタリついてきて逃げようがなく、それが疲れる原因ではと指摘した。今回のプロトタイプHMDも、HMDの外の世界は一切見えず、画面がピッタリと目の前についてくるのは変わらない。

 ただ、頭を動かすと視界がそれに対応して変化するため、違和感が無く、“映像から逃げようとしたのに逃げられない”という不快感が無い。脳と視界が両方上手くダマされる事で、片方だけが騙されるチグハグさが無いのが良いのだろう。もっと言えば、空想の世界にしか存在しなかったはずの事務所内で、可愛いキャラクター達に囲まれるというシチュエーション自体が、そもそも逃げたくなくなる体験とも言えそうだが……・。

 HMDだけでなく、会場ではヘッドフォンもセットで装着。声の移動感も楽しめ、映像だけでなく、音の面からも没入感を高めてくれる。なお、PS3用ソフト「アイドルマスター ワンフォーオール」とのコラボ企画であるため、この映像はPS3から出力しているのだと思っていたが、実際にはスマホのアプリから出力しているのだという。ヘッドトラッカーで検出した動きも、スマホに入力し、それに合わせた映像がスマホから出力されているわけだ。

ヘッドフォンも合わせて装着し、臨場感アップ
スマホのアプリから映像は出力されていた

 なお、今回デモされたヘッドトラッカーやアプリはあくまで試作品で、実際にヘッドトラッカーがセットになったHMDやアプリが販売されるような展開はまだ無く、あくまでHMDの今後の展開の可能性を模索する展示だという。

 気になるのは19日に、ゲーム開発者向けカンファレンス「Game Developers Conference」(GDC 2014)でプロトタイプが公開された「Project Morpheus」(プロジェクト モーフィアス)との関係だが、ソニーマーケティングによれば直接関係は無く、Project Morpheusはソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が、PS4と組み合わせるヘッドマウントディスプレイとして試作しているものだという。そのため、「Project Morpheus」は表示デバイスが5型の液晶(HMZ-T3Wは0.7型有機EL)など、HMD部の仕様もまったく異なっている。

アニメやゲーム以外の提案も

「仮想“劇場”体験」コーナーも

 デモはアイドルマスターのコンテンツだけではない。3月22日に開催されるソニーの定額制音楽サービス「Music Unlimited」主催の9nineと河野マリナによるアニソンライブを、アリーナ最前列から360度カメラで撮影。翌23日のブースでは、その景色をヘッドマウントディスプレイで疑似体験できるという。

 またブースにはヘッドトラッカーを搭載していないHMZ-T3Wも用意され、「仮想“劇場”体験」と題して、アニプレックスの最新アニメ作品のプロモーションビデオをヘッドマウントディスプレイで視聴できるようになっていた。

(山崎健太郎)