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有料配信を含む'13年の映像ソフト市場は5,212億円で「'10~11年と同水準」。JVA発表

 日本映像ソフト協会(JVA)とデジタル・エンターテイメント・グループ・ジャパン(DEG)は22日、2013年の映像ソフト市場規模とユーザー動向の調査結果を発表。2013年の映像ソフト全体の市場規模を5,212億円と推計した。なお、本年より、従来のBlu-ray Disc/DVDビデオ市場に加え、新たに有料動画配信サービス市場を調査対象に加えている。

映像ソフトの市場規模の推移(出展:JVA)
JVA統計調査委員会の小野里康雄委員長

 調査は'14年1月にインターネットで行なわれたもので、全国に居住する16~69歳の男女を対象に実施。BD/DVDについては1,200人の回答を集計し、補正により全体の数(n)を1,197としている。有料動画配信サービスについては330人の回答を集計・補正している。

 JVA統計調査委員会の小野里康雄委員長は、「今まで有料動画配信サービスの市場規模は見えにくかったが、今回の調査で定点観測ができるデータが揃った。今後、パッケージも含めた映像ソフトビジネスの将来を見据えた市場展望に活かせるデータとなることを期待する」と述べた。

 調査対象となる有料配信サービスは、SVOD(Subscription Video on Demand:定額見放題サービス)、TVOD(Transaction Video on Demand:都度課金サービス/視聴期限有り)、EST(Electronic Sell Through:有料動画購入サービス/視聴期限無し)の3つに定めている。有料放送局(WOWOWやスカパー!)の自社放送番組の無料再配信や、有料ポータルサイトに付随する無料配信サービスなどは含まれない。

セル市場は前年並み、レンタル市場は10%近く減少

説明を行なった上田直子 管理部次長兼広報課長

 2013年の映像ソフトの市場規模は、BD/DVD市場が4,615億円(前年比96.1%)、有料動画配信サービス市場が597億円で、合計5,212億円と推計。これは2010~2011年ごろのビデオソフト市場の水準に相当するという。

 BD/DVDの内訳は、セル市場が2,413億円で前年比100.7%と、ほぼ同水準を維持したのに対し、レンタル市場は2,184億円で同91.4%と減少した。BDとDVDの割合(BD:DVD)は、セル市場が40:60(前年 34:66)、レンタル市場が同11:89(前年 7:93)となり、いずれもBDのシェアが増している。

 BD/DVDソフトの購入率は16.3%で、レンタル利用率は34.6%、有料動画配信サービスの利用率は6.3%となった。各分野での購入・利用者一人当たりの年間平均消費金額は、ソフトの購入が18,004円と最も高く、次いで有料動画配信サービス利用が10,037円、レンタル利用が3,763円となっている。BD機器の所有率は前年の57%から58.5%に微増した。

セル市場は2.5%のヘビーユーザーによる購入が6割を占める

ビデオソフト購入率の推移(出典:JVA)

 2013年のBD/DVD購入率は16.3%で、前年の19.3%から3ポイント低下した。一方、年間平均購入枚数は5枚(前年3.8枚)、年間平均購入金額は18,004円(同14,720円)と増加傾向にあり、購入者の「ヘビー化」が進んでいるという。協会が「ヘビーユーザー」と定義する、"ビデオソフトを年間3万円以上購入する層"の割合は前年並みの2.5%だが、この層の購入金額が全体に占める割合は前年の43.3%から58.4%に上昇。ヘビーユーザーの年間購入枚数は18.5枚(前年9.8枚)、金額は68,326円(同48,650円)といずれも大きく増加しており、セル市場におけるヘビーユーザーの存在感が増しているという。

 レンタルの年間利用率は34.6%(前年39%)、利用枚数は26.9枚(同29枚)、利用金額は3,763円(同4,530円)と、いずれも減少している。BDのレンタル利用率は10.3%(前年11.3%)と低下したが、平均利用枚数は3枚(同2枚)に増加した。

有料配信サービスの利用者は「40代の男性」が多く、テレビドラマが人気

有料動画配信利用者とビデオソフトの購入者、レンタル利用者の年齢構成(出典:JVA)

 有料動画配信サービスの利用者は全体の6.3%で、そのうち男性比率が58.8%とセルやレンタルよりも高くなっている。また、利用年齢層では、セルとレンタルでは30代が最も多いのに対し、動画配信では40代の構成比率が28.7%と最も高かった。職業別では、レンタルでは主婦や学生が多かったのに対し、動画配信では給料事務・研究職や給料労務・販売・サービス職が多くなっている。また、有料動画配信サービスの利用者のビデオソフト購入率は40.2%(平均購入率16.3%)、レンタル利用率は60%(同34.6%)と、他の映像ソフトの利用率も高いという。

 利用ジャンル別では、上位はレンタルと同じで、「海外の映画」、「日本の映画」、「日本のアニメーション」となったが、動画配信では「海外のテレビドラマ」、「日本のテレビドラマ」、「アジアの映画・テレビドラマ」の利用率がレンタルよりも高く、サービスによる利用ジャンルの違いが表れているという。

有料動画配信サービス利用のきっかけ(出典:JVA)

 有料動画配信サービス利用のきっかけは、「見たいと思う具体的な映像ソフトがラインナップされているので」という回答が最も多かった。ほかにも、「DVDやBDをレンタルするより便利だと思ったので」(2位)、「放送を見逃してしまったので」(3位)、「そのサービスでしか見られない番組や映像作品があったので」(6位)などが挙げられている。

(一條徹)