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家でも立体音響。オンキヨーの「Dolby Atmos」AVアンプ&スピーカーを一足早く体験した

 オンキヨーは1日、立体音響技術「ドルビーアトモス(Dolby Atmos)」対応のAVアンプやスピーカーの音響を体験できる試聴会を報道関係者向けに実施した。

 同日に行なわれた「Gibson Brands Showroom TOKYO」のプレス向けオープニングイベントに合わせて行なわれたもので、開発中の新AVアンプ「TX-NR3030」と「ドルビーイネーブルドスピーカー」の試作機を使って、ドルビーアトモスのコンテンツを再生。天井から自然に音が聞こえるといった特徴をアピールした。

ドルビーイネーブルドスピーカーで天井全体から音が降り注ぐ

 既報の通り、オンキヨーは開発中のAVアンプ上位モデル「TX-NR3030」と「TX-NR1030」において、現在映画館で採用されているドルビーの立体音響技術「ドルビーアトモス(Dolby Atmos)」を採用すると発表。

 ドルビーアトモスは、2012年4月に映画館向けとして発表された立体音響技術。従来のチャンネルベースのミキシング方式と、オブジェクトベースのダイナミックなオーディオミキシングを組み合わせ、精密な音の定位や移動を表現できることが特徴。日本の一部映画館でも採用されている。

ドルビーアトモスのロゴ
開発中のAVアンプ「TX-NR3030」
通常の5.1chスピーカーのフロントスピーカーにアドオンでドルビーイネーブルドスピーカーを利用

 オンキヨー製AVアンプへのドルビーアトモスの採用により、従来の5.1chや7.1ch、9.1chなどのシアターシステムと、天井へ1組または2組のスピーカーを設置することで、家庭でもドルビーアトモスの立体音響を楽しめるようになるという。スピーカーを天井に設置しない場合でも、手持ちのスピーカーを活かして楽しめる対応スピーカーを今後発売予定としている。

 さらに、9月には既発売のAVアンプエントリーモデル「TX-NR636」と「TX-NR838」のアップデートによるドルビーアトモス対応も予定。新製品については、後日正式に発表される。

 試聴は、7月2日にオープンするギブソン、ティアック、オンキヨーの3社による東京・八重洲のショールーム「Gibson Brands Showroom TOKYO」の地下1Fのマリンシアターで実施。既存の5.1chスピーカーに、アドオン型の「ドルビーイネーブルドスピーカー」の試作機を、既存の5.1chスピーカーのフロントスピーカー部に設置。ユニットが斜め上を向いたドルビーイネーブルドスピーカーから天井に向けて音を出し、反射させることで天井から聴こえるようにする。

 今回の再生デモには、メーカーなどが持つ専用のドルビーアトモス対応のBlu-ray Discを使用。BDプレーヤーは既存製品がそのまま使えるという。また、一般家庭でスピーカー設定する場合も、スピーカー設置後に従来と同じマイクを使った自動音場補正機能を使うことで簡単にドルビーアトモスに最適な音場の調整ができるという。

 デモでは、一般的な天井埋め込み型のスピーカーを使った場合と、ドルビーイネーブルドスピーカーを使った場合で、同じ5.1.2ch(5.1ch +ドルビーイネーブルドスピーカー2ch)のコンテンツを再生して比較した。

実際にドルビーアトモスのコンテンツを体感
ドルビーイネーブルドスピーカーは、フロントの上に設置
天井スピーカー利用の場合と比較した

 用意されたコンテンツは、森林の中で木の葉が舞い散り、虫などが羽ばたく音が周囲から聴こえてくるという内容。映画館でのドルビーアトモスのデモにも使われていたものだ。天井スピーカーを使った場合は、当然ながら頭の上で音が移動する様子をハッキリ感じられるが、天井スピーカーを使わずにドルビーイネーブルドスピーカーに切り替えた後も、天井から反射された音で、同様に移動の様子などがしっかり感じられ、音の遅延など違和感もなかった。

 また、個々のスピーカーから直接音が出るというよりも、天井全体を使って対象物の存在感を表現するという、ドルビーアトモスの特徴もそのまま実現。頭の上を飛ぶ鳥が雄大に羽ばたく迫力も感じられた。今回のAVアンプとイネーブルドスピーカーは試作機で、最終のものではないということだが、秋頃という対応製品の登場も期待できそうだ。

(中林暁)