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キヤノン、4K液晶「DP-V3010」やシネマカメラのBT.2020広色域対応を強化

 キヤノンは、業務用の30型4Kディスプレイ「DP-V3010」と、デジタルシネマカメラ「CINEMA EOS SYSTEM」の「EOS C500/C300」において、次世代放送規格ITU-R BT.2020の広色域対応を強化するファームウェアアップデートを10月より順次提供開始する。

DP-V3010

 ITU-R BT.2020は、日本の4K試験放送でも採用された次世代規格で、広色域化が図られている。DP-V3010とCINEMA EOS SYSTEMの双方で撮影から映像確認までをサポートすることで、ワークフローを通したBT.2020対応を強化。次世代の映像制作/放送業界のニーズに応えていくとする。

DP-V3010

 30型4K液晶ディスプレイの「DP-V3010」は10月のファームウェアアップデートで、BT.2020をサポートする。RGB色度点を完全に包含するわけではないが、BT.2020の色域で撮影/収録された映像素材の表示や確認が可能になる。

 また、カラーマネージメント規格ACESの伝送規格である「ACESproxy」に対応。対応機器との連携で、撮影現場と編集現場での映像の色味を一致させ、作業効率を向上する。

 EOS C500/500PLが新たに対応するCinema GamutとDCI-P3+色域の映像確認をサポート。YCbCr 4:4:4や、48コマの4K映像フォーマットなど、各種映像フォーマット対応を強化している。

 フォーカス状態に応じて被写体の輪郭を着色するピーキング機能も追加。そのほか以下の機能追加が行なわれる。

  • 色温度設定のゲイン R/G/B、バイアス R/G/B の個別設定機能を追加
  • インポートした LUT1を消去する機能を追加
  • 「3G-SDI」と「HD-SDI」の自動切り替え機能を追加
  • ファンクションボタンに登録された機能を、ディスプレイ上で一覧表示する機能を追加
  • バナー表示の「非表示(オフ)」の選択機能を追加
  • メニュー、画質調整用のスライドバー、タイムコードなどOSD表示位置の選択機能を追加
  • インターレースまたはPsF信号入力時の表示を選択できる機能を追加

EOS C500/C300

EOS C500

 デジタルシネマカメラは、「EOS C500/C500PL」と「EOS C300/C300PL」の4機種を11月にアップデートし、ITU-R BT.2020に対応。DP-V3010と組みあわせて、撮影から表示/確認が可能になる。

 Cinema RAW Developmentも機能強化し、4K Cinema RAWの色域Cinema Gamut/DCI-P3+をITU-R BT.709やDCI-P3へ変換するための3D-LUTが追加された。これにより、低彩度の色再現と、高彩度(色域外)の色の階調を維持しながら、効率的な映像編集が可能になるという。

 また、EDL(Edit Decision List)に対応するため、必要なタイムコード区間のみを映像編集に適したDPXやProResのフォーマットに変換できるようになり、不要なファイルを現像する必要がなくなる。さらに、Intel「Iris Proグラフィックス」が搭載されたPCを用いることで、4K Cinema RAWをより高速に現像可能になるとしている。

 また、本体の「FUNC」ボタンからホワイトバランスの色温度設定エリアが選択可能になり、より簡単に色温度設定が行なえるようになる。

(臼田勤哉)