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NHK、超薄型ディスプレイ実現へ。リン光有機ELを長寿命/低コスト化する技術

 NHKは11日、超薄型/軽量のフレキシブルディスプレイの実現を目的に進めているリン光材料を使った有機ELデバイスの長寿命化と低コスト化を可能にする技術開発に成功したと発表した。

有機ELデバイスの構造。右側が新規発光層構成

 NHKが研究開発している、リン光材料を使った高効率な有機ELデバイスは、持ち運びにも便利な薄型軽量のフレキシブルディスプレイの実現を目指すもの。有機ELデバイスの発光層は、ホスト材料とその中に分布する発光材料で構成。ホスト材料は電気エネルギーを発光材料に受け渡す役割を担う。発光材料にはイリジウムなどの希少金属を含む有機金属化合物が使用されるため、材料費が高く、デバイスの低コスト化が大きな課題とされていた。

 そこで、NHKは電気エネルギーを受け渡しやすいホスト材料「PIC-TRZ」を新たに用いることにより、極めて少ない量の発光材料で長寿命な緑色のリン光有機ELデバイスを実現。従来のホスト材料で寿命を長くするためには、発光材料量を6%以上にする必要があったが、新しいホスト材料では1%でも従来の7倍程度の寿命が得られるため発光材料を大幅に低減でき、デバイスの低コスト化が期待できるという。

 今後は、赤色および青色発光のリン光有機ELデバイスについても同様の検討を進め、高効率/長寿命なフレキシブルディスプレイの早期実用化を目指す。この研究成果は、第75回応用物理学会学術講演会(9月17〜20日)で報告する予定。

従来デバイスとの違い(NHKによる比較)
ホスト材料 発光材料濃度 外部量子効率 連続駆動寿命
従来デバイス CBP 1重量% 19.9% 500時間
6 重量% 19.2% 1,500時間
新デバイス PIC-TRZ 1重量% 20.3% 10,000時間以上
6重量% 19.8% 10,000時間以上
左が従来ホスト材料(CBP)の分子構造、右が新ホスト材料(PIC-TRZ)

(中林暁)