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パイオニアがDJ事業を切り出し。投資ファンドKKRと「パイオニアDJ」運営へ

 パイオニアは16日、DJ機器事業を会社分割の手法で切り出し、投資ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー)と設立する新会社「パイオニアDJ株式会社」に株式譲渡すると発表した。

 この合意に基づき、KKRは持株会社のPDJホールディングス(PDJHD)を通じて、パイオニアDJの発行済株式の全てを約590億円で取得。パイオニアはPDJHDの第三者割当増資を引き受け、PDJHDの持株比率はKKRが85.05%、パイオニアが14.95%となる。

7月に発表したアナログレコードターンテーブル「PLX-1000」

 パイオニアはDJ事業の分割について、「今後の更なる成長の達成のために、資金リソースやノウハウを有し、事業ビジョンを共有できるパートナーを迎え入れることが、最適と判断した」と説明。今後、PDJHDに対してパイオニアおよびパイオニアDJの商標および商号を使用許諾し、「今後もDJ機器事業の成長とパイオニアブランドの価値向上のため、互いにWin-Winの協力体制を維持する」としている。

 DJ事業はパイオニアの中では堅実な黒字事業となっていたが、今回事業譲渡が決定された。その理由について、パイオニアの小谷進社長は、「DJはハードウェアを中心にした400億円規模のニッチマーケットだが、すでに6割のシェアを獲得しており、大きな成長はハードの領域では難しい。今後の成長は、ひとつは約5万拠点といわれるクラブを対象にしたスピーカーなどの機器ビジネス。もうひとつがネットワークで、世界のクラブを結んで情報交換を行なう新しいビジネス。しかし、このネットワークサービスには大きな投資が必要となる。カーエレクトロニクスにも投資も必要なため、パイオニアとしてどちらかに集中する必要がある。また、本来DJの収益はDJ向けの投資に回すべきだが、それができない状況でもあった」と説明した。

 また、パイオニア本体は、主力のカーエレクトロニクス事業に経営資源を集中的に投下。それ以外の事業については外部資本の活用等を進め、抜本的な事業転換を図り、「世界でNo.1の独立系カーエレクトロニクスメーカーとして更なる企業価値の向上を目指す」としている。なお、パイオニアはAV機器事業についても切り出しを決めており、2015年3月を目処にオンキヨーと経営統合する見込み。今後の経営方針については別記事で紹介している

(臼田勤哉)