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HTML5対応TV向け新VOD方式公開。PC/スマホと同方式。4K/HEVC対応も

 IPTVや次世代スマートテレビ向けの技術方式を策定する、一般社団法人IPTVフォーラムは19日、HTML5に対応したテレビ向けの新しいVOD技術方式を含む運用規定を公開。テレビ上で、PC/スマートフォン/タブレットと同じ方式で動画再生が可能になると共に、4Kのような超高精細な映像コンテンツや、放送通信連携のハイブリッドキャストサービスにも対応する。

 12月17日に公開した「IPTVFJ-STD0013 ハイブリッドキャスト運用規定 2.0版」の、付録Cにおいて、ハイブリッドキャスト対応のテレビだけではなく、HTML5ブラウザを搭載したテレビで利用できる、新しいVOD技術方式が規定された。

 HTML5ブラウザ上で、ネット経由での動画再生を可能にするため、HTML5の「video」要素を利用。MP4によるプログレッシブダウンロード配信方式と、MPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)によるアダプティブ配信方式に関する詳細を策定した。MPEG-DASHは、ライブストリーミングにも対応した方式となる。

 さらに、HTML5ブラウザ上で再生できる事から、テレビだけでなく、HTML5ブラウザを採用したPCやスマートフォン、タブレットなどでも共通のリソースからVODが利用でき、ワンソースマルチデバイス環境が用意に構築できるとする。

 映像の符号化は、H.264に加え、より圧縮効率の高いHEVC方式にも対応。ただし、利用できるのは受信機がMPEG-DASHやHEVCのデコーダを搭載している場合のみとなる。MPEG-DASHは、国際規格との整合を考慮して「iptvfj-profile」を規定。このプロファイルに従ったMPEG-DASH方式を使う事で、一つの送出サーバーから通信路や受信機の状態に応じて、適応的に転送レートを変更して映像配信ができるとする。

 受信機の仕様には、W3Cで規定されている「MSE(Media Source Extensions) API」と「EME(Encrypted Media Extensions) API」を採用。MSEはHTML5アプリでのJavaScriptによるストリーミングの再生制御を、EMEは様々なDRMに対応するためのもの。

 これにより、有料/無料を含めた様々な形態のビデオストリーミングサービスに対応したHTML5アプリが作れ、多彩なサービスが提供可能になる。ハイブリッドキャストでは、放送サービスと連携したHTML5アプリの構築も可能。MSEとEMEをテレビ向けのオープンな標準規格として採用したのは世界初だという。

 IPTVフォーラムでは、この運用規定に準拠したサービス、アプリケーション、端末の開発を支援するためのテスト環境を構築。11月から会員社に提供を開始している。

(山崎健太郎)