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8K放送開始を見据え「superMHL」発表。8K映像をケーブル1本で伝送デモ
(2015/1/10 08:10)
MHLコンソーシアムは、米国ラスベガスで1月9日(現地時間)まで行なわれている「2015 International CES」において、8K/120fpsや、HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応するMHL端子の最新規格「superMHL」を発表。MHLブース内で8K映像の伝送デモを行なっている。
superMHLの概要は既報の通りで、8K/120fpsまでの高解像度/ハイフレームレートをサポート(現在のMHL 3.0は、4K/30p映像まで)。さらに、最大48bitの色深度サポートや、HDRにも対応するのが特徴。第4世代目に相当するが、MHL 4.0ではなく、superMHLとの名称に決まった。
音声は、Dolby AtmosやDTS-UHD、3Dオーディオ、オーディオオンリーモードなどのオブジェクトオーディオに対応。最新のコンテンツ保護技術HDCP 2.2もサポートする。また、複数のMHL対応機器(TV、AVR、ブルーレイプレーヤー)を接続して1つのリモコンで操作(RCP)できる。モバイル対応においても、最大40Wの充電機能を提供するなど強化を図っている。USB Type C向けのMHL Alt Mode対応も図られた。
なお、MHLコンソーシアムはBlu-ray Disc Association(BDA)とも互いに情報公開を行ない、次世代BDもサポートする予定。複数の仕様があるHDRから、どれに対応していくかという点も、BDAの仕様に準じてサポート予定としている。
もう一つの大きな特徴はコネクタ形状の変更。一見HDMIに近い見た目だが、表裏(上下)の区別が無いリバーシブル仕様の端子を採用。superMHLは全てこの端子形状となる。8台までのマルチディスプレイに対応。ただし、その場合は出力解像度が同じでなければならないという。
端子構造は32ピンで、ピンを1~6ペアから選んで伝送可能。双方向用や、電源用、将来の拡張を見据えた空きピンも用意している。
規格上の最大である6ペアで伝送した場合は、36Gbps×3倍圧縮により、100Gbps程度まで対応可能なことから、8K/120fps、4:2:0映像が伝送可能。さらに、将来的にはケーブルの性能向上により、1ペア10Gbpsまでレートを上げられると想定。その場合は約180Gbpsまでサポートするため、8K/120fpsの144Gbps映像を、圧縮せずに送れる可能性もあるという。
CESのMHLブースでは、Samsungの8Kディスプレイと再生機器を使って、8Kのタイムラプス動画(静止画を連続再生している)を再生。superMHLケーブルの試作機も用意した。デモでは32ピンのうち3ペア(6ピン)を使用し、その場合の伝送帯域は合わせて最大18Gbps。superMHLでは圧縮モード「DSC」も利用でき、3倍に圧縮することで、4:2:0映像54Gbps分を伝送している。
MHLは、現在は主にモバイル機器とテレビなどの連携に使われているが、今回の展示では、モバイル機器向けではなく、再生機器からの映像を、テレビに接続するためのアダプタにつなぐ(Box to Box)という利用になっている。
ケーブルの長さの上限については、スペック上は信号レベルが守られれば特に規定していないが、シリコンイメージでは、目安として10mや15mなどの長さになる場合は、イコライザなどが必要になるとみている。
superMHLをこの時期に発表したのは、NHKの8Kスーパーハイビジョン放送開始時期を見据えたことが最大の理由。2016年の初めに各メーカーがテレビを出すためには、今年の最初に発表し、4月ごろからメーカーが入手する必要があるためだという。各メーカーは、4月から開発し、年内の対応テレビ製品化に間に合うと見られている。MHLの日本における総代理店であるシリコンイメージジャパンの竹原茂昭社長は、「一番の目的である、8Kを1本のケーブルで送る環境を実現できた」としている。