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iPad操作/ライブ配信対応HDMIスイッチャー「LiveWedge」が1月21日発売

 Cerevoは、タブレットから操作可能なライブ配信機能搭載スイッチャー「LiveWedge(ライブウェッジ)」を1月21日より正式予約開始、1月中に出荷開始する。直販価格は95,237円。LiveWedgeは'13年11月のInterBEE 2013で発表し、当初は2014年1月の製品発売を予告していたが、その後発売延期されていた。

LiveWedge

 4系統のHDMI入力を備えたビデオスイッチャー。映像はHDMI 4系統を自由にスイッチングできるほか、音声はHDMIにAUX-IN経由の外部入力を加えた5系統に対応。LiveWedgeのみで4系統の映像、5系統の音声入力を操作できる。出力はHDMI×2(プログラムアウト×1、プレビュー×1)。

 HDMIは4系統全てにスケーラーを内蔵しているため、異なる解像度やアスペクト比の映像間でスイッチングやミキシングが行なえるとしている。HDMIの入出力解像度は最高1080/60p。映像サンプリングは4:4:4で行なう。なお、'13年の発表時にはHDCPとMHLのサポートを予告していたが、製品版では非対応となった。

4系統のHDMI入力に対応

 さらに、同社のライブ配信専用機器「LiveShell Pro」相当のライブ映像配信機能を備えており、720/30pのHDライブ配信と、映像スイッチングを1台で実現できる。ライブ配信はUstreamのほか、ニコニコ生放送、YouTube Liveなどのサービスや、自ら設置したサーバーへの配信などに対応する。Ethernetのほか、IEEE 802.11a/b/g/n対応の無線LANを内蔵する。

本体
背面
iPadアプリ

 本体のボタンでのスイッチ操作だけでなく、iPadアプリによるスイッチングが行なえる「タブレット・プレビュー」機能の搭載がLiveWedgeの大きな特徴。4系統のHDMI入力映像をiPadでチェックしながら操作/切替、エフェクト設定などが行なえる。

 無線LANは2.4GHz/5GHz両対応で、5GHz帯を使うことで、2.4GHz帯が混雑した環境でも安定した通信が行なえるとする。アプリ内でのクロマキー合成や、ワイプ、フェード、カットなどのトランジションに対応する。従来のミキサーの概念を踏襲するのでなく、「タブレットに適した操作にこだわった」とし、ドラッグ&ドロップでのPinPなどの操作を可能にした。

 対応iPadは、第2世代iPad以降。Androidタブレット用アプリについては「開発中」としている。

タブレット・プレビュー
iPadのドラッグ&ドロップだけでPinPを実現

 なお、本体で操作できるエフェクトは、カット、ミックス、ワイプのみ。より多くの機能を利用する場合は、タブレット・プレビューでのiPad操作が求められる。

 2系統のHDMI出力(プログラムアウト×1、プレビュー×1)のうち、プログラムアウトはスイッチングやミキシング後の映像と音声を出力。プレビューアウトはiPadアプリの操作インターフェイスをモニターに表示することで、スイッチングやミキシング操作などをより容易にする。

LiveWedgeとiPadのタブレット連携

 SDカードスロットを装備。SDカードの画像素材を取り込めるほか、後日のアップデートにより、スイッチングした映像の録画を本体のみで行なえる。発売時にはSDHCまでの対応となり、SDXCは後日のアップデートで対応予定。録画フォーマットはアップデート時に告知する。動画や音素材の読み込みにも対応を予定している。

 ただし、「ライブ配信」、「タブレット・プレビュー」、「外部メディア録画」は同時には利用できず、排他仕様となる。これは、LiveWedgeの出力エンコーダが1系統のみのためで、タブレット・プレビューを行ないながらライブ配信する際にはLiveShell Proとの併用を推奨している。電源はACアダプタ。外形寸法は270×155×41mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1.1kg。

 1月21日19時30分から、秋葉原のDMM.make AKIBAにおいて、体験イベントも開催。詳細は専用ページに記載されている。

10万円がターゲット。LiveShellは累計販売1万台超

Cerevoの岩佐琢磨代表取締役。LiveWedgeは2015 CES Innovation Awards(Home Audio/Video Components & Accessories)を受賞

 Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏は、LiveWedgeやLiveShell Proなどのライブ配信製品の現状や、同社の事業状況について説明。「ネットと家電で生活をもっと豊かに、便利にする」をコンセプトに事業開始から7年が経過し、今年のInternational CESでもIoT(モノのインターネット)の流れなどがきているが、ネットに繋がるハードウェア、アプリケーション、Webシステムを作って、生活を豊かにという事業方針は変わらないとした。

 一方で、ハードウェアベンチャーとしての事業拡大は積極化しており、従来10名以下であった従業員は1月21日時点で42名まで増加。その8割がエンジニアで、ソニーやパナソニック、シャープ、トヨタ、スバル、デノン、タカラトミーなど、大手メーカーからの転職者も多く、クルマから玩具などさまざまなノウハウを吸収しながら、メーカーとしての独自性を活かした製品開発に取り組む姿勢を強調した。

 2012年に発売した720p/HDライブ配信機「LiveShell Pro」は、「今もかなり売れており、10回近く増産しており、発売から2年経過しても値崩れしていない。我々の狙いは、世の中の誰も作っていない製品だが、このマーケットのビジネスとしてのポテンシャルは高い」という。'11年発売のSDモデルLiveShellも継続して販売しており、LiveShellシリーズの3年の累計販売台数は「1万台を大きく超えている」とした。LiveShellの販売状況を公表するのは今回が初めて。

 また、海外市場でも販売好調で、23カ国で発売中。'14年6~8月の販売構成比は、国内が49%、海外が51%となったという。

LiveShellシリーズの累計販売台数は1万台を超えた
LiveShell Proの国内外販売構成比

 新製品のLiveWedgeについても、スイッチャーやライブ配信機だけでなく、新しい市場創出を狙って開発。タブレット操作可能で、ライブ配信対応の、HDMIスイッチャーでは破格の「10万円」という価格を前提に開発。そのため、プロから求められるSDI対応などは省き、操作性もタブレットを前提とした新しい製品として取り組んだとする。

 ただし当初は2014年1月発売を予告しており、約1年の発売遅れとなった。その理由については、「価格、性能もアグレッシブなもので苦労は絶えなかったことと、認証取得関係で、トライ&エラーしながら解決する必要があった」と説明した。岩佐氏は、「競合他社が追従して、類似した製品が出てきたらまずい、と思っていたが、思っていた以上になにもなかったことはラッキー。Cerevoがアグレッシブなものを発表したからかもしれないが、ほっとしている」とした。なお、為替の影響については、「海外の販売比率が高いため、それほど大きな影響はない」という。

 販売台数目標については、「何台売れるかはよくわからない。新しい製品なので、そこが読めないのが面白いが、(台数の)増減に応えるフレキシブルな供給体制はできている。ただ、(3年前に発売した)LiveShellもそろそろ終息と思って、数を絞ったら追加で発注が増えたので追加で生産した。同じようにLiveWedgeも3年以上売れれば1万台は見えてくる。1万台は我々の事業の1つのターゲットといえるし、それだけのビジネスが作れるものになった」とした。

(臼田勤哉)