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ソニー、LDAC対応&音質強化のワイヤレススピーカー「SRS-X99/X88/X77」

 ソニーは、ワイヤレススピーカーの新ラインナップとして、「SRS-X99」、「SRS-X88」、「SRS-X77」の3モデルを5月23日に発売する。価格はいずれもオープンプライスで、店頭予想価格は、ハイレゾ対応の「SRS-X99」が72,000円前後、「SRS-X88」が46,000円前後、非対応の「SRS-X77」が35,000円前後。

ハイレゾ対応のワイヤレススピーカー、奥が「SRS-X99」、手前が「SRS-X88」

 昨年から発売しているSRS-X55、X33、X2、X11、X1は併売する。ラインナップとしては、ハイエンドモデルのX9が、X99とX88に枝分かれしたような形となる。また、従来はX9のみがハイレゾ対応だったが、新ラインナップではX99とX88が対応、ハイレゾをサポートしたモデルが拡充された。

 X99/X88/X77の3機種では、新たに追加されるX88が、ハイレゾ対応の高音質を追求しながら、価格を5万円以下に抑えているのが特徴。それ以外のX99/X77は、'14年発売の「SRS-X9/X7」の音質を強化すると共に、BluetoothのLDAC対応、無線LANの強化、出力の強化などが基本となっている。

「SRS-X99」
「SRS-X88」
「SRS-X77」

ハイレゾ&コンパクトな注目機「SRS-X88」

 コンパクトサイズと高音質の両立を目指したモデル。外形寸法は359×103×111mm(幅×奥行き×高さ)、重量は2.7kgと、上位モデルのX99(430×125×133mm/約4.7kg)と比べて小型になっている。

ハイレゾ対応のワイヤレススピーカー「SRS-X88」

 ユニットは、ハイレゾ対応のスーパーツイータ×2、磁性流体ユニットを使ったウーファ×2、パッシブラジエータ×2、中央にサブウーファ×1を搭載。合計5基のユニットを搭載する。パッシブラジエータが含まれているので、形式としては2.1ch。X99と異なり、天面にツイータは搭載していない。

前面のネットを外したところ

 最大出力は合計90W。再生周波数帯域は50Hz~40kHz。ハイレゾ音源を余すことなく再現できるというフルデジタルアンプ、S-Master HXを搭載している。

 ハイレゾ音源は、WAV/FLAC/AIFF/ALAC(AppleLossless)に対応し、192kHz/24bitまでのハイレゾデータが再生可能。CDからリッピングした楽曲やMP3などの圧縮音源を再生する際は、192kHz/24bitまでアップスケーリングして再生する「DSEE HX」が利用可能。DSDも2.8MHzまでのデータが再生できるが、リニアPCMへの変換再生となる。

 Bluetooth受信に対応し、SBC/AACに加え、ソニーが開発した、従来比約3倍の情報量で伝送できる高音質コーデックのLDACに対応する。さらに、DLNA、Airplayもサポート。スマートフォン/タブレットや、iTunesをインストールしたPCなどからワイヤレスで音楽再生ができる。

背面。無線LAN用のアンテナも備えている

 無線LAN機能はIEEE 802.11a/b/g/nに対応。新たに11nをサポートする事で、ハイレゾ楽曲を安定して伝送・再生できるという。なお、従来モデルでハイレゾ対応のX9は、「ハイレゾ音源のワイヤレス再生時に、ネットワーク速度により接続が切れてしまう場合がありで、その場合は有線LAN Port経由での再生を推奨」とされていた。

 ワイヤレスでの制御も進化。既に提供しているアプリ「SongPal」を新モデルでも利用するのだが、3.0にバージョンアップ。新たに「SongPal Link」という機能が追加される。

 これは、複数のSongPal Link対応危機に対して、同時に同じ音楽を送信したり、ボリューム調整などができるもの。SongPal Linkの画面を表示させると、ネットワーク上に存在する対応製品がアイコンで表示される。

天面に操作パネルを備えている

 ユーザーがアイコンを重ねると、重ねた機器がるグループ化。そのグループに対して、再生する音楽を指定し、ボリューム調整などができる。リビングに設置した2台のスピーカーで同じ曲を鳴らし、隣の部屋のスピーカーから別の音楽を流すといった使い方が可能。特定のスピーカーの音だけ小さくしたり、複数台の音量をいっぺんに大きくするといった操作もできる。

 音楽の再生も、SongPal Linkから行なえる。なお、ワイヤレス連携に利用しているのはDLNAではないため、SongPal Link対応機器しか制御や楽曲伝送はできない。1グループに参加できるのは10台まで、最大5グループが作成できる。SongPal Linkの対応モデルはSRS-X99/SRS-X88/SRS-X77/CMT-SX7。

 従来モデルはMusicUnlimitedなどに対応していたが、同サービスも終了。新モデルでは、そうした個別のサービスに対応するのではなく、Google Castをサポートした。プラットフォームとしてGoogle Castに対応した事で、Google Castをサポートする様々なアプリから、ワイヤレスで楽曲再生が可能となる。

 ただし、Google Castは現時点では映像配信サービスに対応するものが多く、音楽系では「TuneIn Radio」と「8tracks」、「KKBOX」のみとなる。

 外形寸法は359×103×111mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2,700g。消費電力は45W(待機時0.5W)。入力端子はUSB A、USB B、アナログ音声、Ethernetを各1系統備えている。

最上位「SRS-X99」

 新たな最上位モデルとなる「X99」は、基本的な機能をX9から踏襲しつつ、より音質や機能を高めたモデル。

ハイレゾ対応のワイヤレススピーカー「SRS-X99」

 X88と同様に、無線LAN機能がIEEE 802.11nにも対応。ハイレゾ音楽ファイルを安定してワイヤレス伝送できる。BluetoothのコーデックはSBC/AACに加え、LDACもサポート。天面にはNFCマークも用意する。

 X88と同様に、「SongPal Link」が利用可能。Google Castもサポートしている。

 一体型のステレオスピーカーであり、ユニットは天面にハイレゾ対応のスーパーツイータを2基、正面にも2基搭載。正面には磁性流体スピーカー×2基、パッシブラジエータ×2基、中央にサブウーファ×1基の7ユニット構成となっている。

 なお、ユニットの構成は前モデルとほぼ同じだが、天面に搭載したツイータの外周パーツを変更。埃がつきにくい素材にした。

天面のスーパーツイータは、周囲にホコリがたまりにくい仕様に
前面のネットを外したところ。正面には磁性流体スピーカー×2基、パッシブラジエータ×2基、中央にサブウーファ×1基を備えている

 アンプはフルデジタルのS-Master HXで、最大出力は154W。低域、中域、高域を個別のユニットでドライブすることで、低歪でクリアな再生ができるという。

 外形寸法は430×125×133mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約4,700g。消費電力は50W(待機時0.5W)。入力端子はUSB A、USB B、アナログ音声、Ethernetを各1系統備えている。

背面端子部。アンテナも備えている
側面はヘアライン仕上げ

SRS-X77

 ハイレゾファイルの再生には非対応だが、その他の特徴は上位モデルを踏襲。BluetoothはLDACに対応、無線LANはIEEE 802.11nをサポート。「SongPal Link」が利用でき、Google Castにも対応している。

SRS-X77

 ユニット構成は、46mm径のフルレンジ×2基の中央に、62mm径のサブウーファ×1基を搭載。さらにデュアルパッシブラジエータも備えている。

 最大出力はACアダプタ利用時で40Wとなり、X7の32Wからパワーアップ。ボーカルの音質位を改善したほか、重低音の音質も最新の音楽トレンドに合わせてブラッシュアップしているという。さらに、ボリュームをマックスにした際のバランスも、新DSP設定により改善させた。再生周波数帯域は50Hz~22kHz。

 外形寸法は300×60×132mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約1,900g。消費電力は30W、待機時0.5W。入力端子はUSB A、USB B、アナログ音声、Ethernetを各1系統備えている。

SRS-X77の背面端子部
側面

3機種を聴き比べる

SRS-X99

 最上位モデルのX99は、従来のX9と比べ、低域が下まで伸びきりドッシリとしたサウンドに。広がり感もアップし、一体型筐体スピーカーながら、部屋や全身を包み込まれるような聴こえ方になった。付帯音も減り、低域を中心にキレの良いサウンドに進化。ハイレゾ音源の質感やしなやかさも、より聴き取りやすくなっている。

X99に採用されているユニット
内部基盤

 X88は、X99と比べて一回り小さいながらも、低域は「ズシン」と深く沈み、アコースティックベースのゆったり感や音圧も良く出ている。付帯音も無く、情報量が多く、音圧豊かな低域の中でも、ピアノが埋もれずに聴き取れる。X99ほどではないが、広がりも豊かで、利用する部屋のサイズにもよると思われるが「X88で十分だ」と感じる人も多いだろう。

 X77の低域はさすがに「ズシン」とまでは沈まず、「ボーン」という傾向だが、音圧が豊かであるため、中低域を膨らませて“低域っぽく聴かせている”という感じはしない。音圧がある事で迫力が出ているためて、中高域寄りのスカスカしたバランスにもなっていない。このサイズでは十分豊かな低音が出ていると言えるだろう。上位2モデルと比べると、バランスはややドンシャリ気味だが、音楽を楽しく聴かせてくれるバランスでもある。

(山崎健太郎)