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東芝不適切会計で、田中社長辞任。室町会長が社長兼任

佐々木副会長も辞任。「損益改善に過度なプレッシャー」

 東芝は21日、不適切会計問題を受けて田中久雄社長が辞任し、室町正志会長が社長を兼任することを発表した。同日付で、第三者委員会による調査報告書の全文を発表し、経営責任を明確化することなどを表明。「報告書で指摘を受けた事項を真摯に受け止め、今後、新たな経営体制、新たなガバナンス体制の下、新たな企業風土を構築する」としている。

田中久雄社長が辞任(写真は'13年の社長就任当時)

 同社は、「工事進行基準に係る会計処理」、「映像事業における経費計上に係る会計処理」、「ディスクリート、システムLSIを主とする半導体事業における在庫の評価に係る会計処理」、「パソコン事業における部品取引等に係る会計処理」の4点に関して不適切な会計処理の疑いが発覚。5月15日から、上田廣一弁護士を委員長とする第三者委員会を設置し、調査と発生原因の究明などが進められていた。

 第三者委員会から受領した調査報告書の全文を、21日に公表。調査結果によると、税引前損益の要修正額が累計マイナス1,518億円に及ぶ多額の不適切な会計処理が2008年度から2014年度までの長期に渡って行なわれていたことが判明。7月21日現在も、決算発表できていない状態となっている。

 これを受けて、取締役代表執行役社長の田中久雄氏、取締役副会長の佐々木則夫氏、取締役代表執行役副社長の下光秀二郎氏、深串方彦氏、小林清志氏、真崎俊雄氏、取締役監査委員会委員長久保誠氏が全ての役職について辞任。また、取締役代表執行役専務の前田恵造氏が取締役と代表執行役の役職を辞任する。さらに、元会長で相談役の西田厚聰氏も、同日で相談役を辞任する。

 7月22日からは、現取締役会長の室町正志氏が暫定的に代表執行役社長を兼任。執行役上席常務の牛尾文昭氏が代表執行役上席常務に就任する。

 第三者委員会の報告を踏まえ、今後の経営体制や、ガバナンス体制、再発防止策などについて全社外取締役が社外専門家の助言も受けつつ集中的に検討し、その結果を8月中旬に公表予定の新経営体制に反映。また、9月下旬開催予定の臨時株主総会において、株主から信認を受けた新経営体制の下で再発防止策を進めるために経営刷新委員会の設置を決定した。

原因は「損益改善への過度なプレッシャー」

 映像事業部門においては、損益目標値を達成するための対策として、「C/O(キャリーオーバー)」と呼ぶ、見かけ上の当期利益を嵩上げするなどの損益調整が行なわれていたことが判明。

 具体的に行なわれていたのは、販社における販売促進費やリベートなどの不適切な会計処理や、欧州販社におけるリベート計上漏れ、中国販社におけるエコ政策補填金に関する不適切な会計処理、米国販社でのリベート計上漏れなど。このほかにも、経費計上時期の延期や、在庫評価に関する不正な処理、CR(Cost Reduction/パネルメーカーやODM/OEMメーカーに対する、購入価格の値下げ要求)の前倒し計上などが行なわれていたという。

 こうした不正な処理が行なわれていた背景には、海外事業の不振による、コーポレートから映像カンパニーへの過酷なプレッシャーなどがあったとし、東芝で「チャレンジ」と呼ばれていた損益改善要求が社長らから求められていたことを指摘。報告書では「2013年に入ると、コーポレートトップから、映像事業の事業撤退を示唆しながら損益改善の達成が強く求められる状況となっていた」としており、佐々木則夫氏や田中久雄氏らと映像部門の幹部らとの当時のやり取りなどが記されている。

 不適切な処理は、'09年度の東芝DM社の時代から始まり、'10年度からのVP社、'11年〜'13年度のDS社時代にかけて行なわれていたとされ、こうした処理を誘発した一番の原因を「コーポレートトップの過度なチャレンジ達成要求」としている。トップが自ら不適切な会計の実行に関与した形跡は見当たらなかったものの、「映像カンパニー等における見かけ上の利益の嵩上げのためにC/Oが実施されていることについては、佐々木則夫氏は遅くとも'11年11月ごろ、田中久雄氏は遅くとも'14年3月ごろには認識していた」としている。

(中林暁)