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「新たなグローバルTVネットワークの誕生」。CES 2016 Netflix基調講演

 米国・ラスベガスで開幕した「CES 2016」。現地時間の6日に行なわれた基調講演に、Netflixの共同創業者兼 CEOのReed Hastings氏が登壇し、同社の現状と今後の戦略について説明した。その中で、今年は130カ国で新たにサービス開始し、全世界190カ国展開とすることが明らかにされた。

Netflixの共同創業者兼 CEOのReed Hastings氏

到来したインターネットTV時代

 Hastings氏は冒頭、エンターテインメント技術はここ100年以上変革が続いており、ラジオからTV放送、CATVと続き、そして今は“インターネットTV”の時代だという。TV放送は1950年代に始まり、家庭でも放送が見られるようになったが、選択できるチャンネルはわずかだった。CATVの登場で、米国では数100のチャンネルから選択できるようになった。ユーザーは見たいものをいつでも見られることを望んでいるとHastings氏。

 「ビデオ録画機能が登場し、デジタルレコーディングも可能になっているが、そこで登場するのがオンデマンドテレビだ。インターネット経由で、望む番組が、いつでも、どこでも観られるようになった」と語り、スマートフォンでも、タブレットでも、PCでもスマートテレビでも、クリック1つで番組が視聴できるインターネットTVは、「シンプルで革新的な変化だ」と強調する。

ラジオからテレビに変わり、録画機もビデオデッキからレコーダになり、そしてインターネットテレビの時代になった

 また、Hastings氏がアピールするのは視聴者だけではない。「我々は世界の最高の番組制作者たちが、世界中のすべての視聴者に番組を届けられるようにしようとしている」と語る。

 Netflixは世界の7,000万の家庭で、インターネット経由で視聴できる。「我々はオンデマンドの世界に生きていて、これはもう戻れない」。2007年以来、ストリーミングで視聴されている時間は延び続けており、Neflixユーザー全体の視聴時間の合計は、'14年に425億時間に達したという。第4四半期だけで120億時間視聴しており、前年同期の82億時間から大幅に増加している。

急増しているNetflixの視聴時間

 Netflixがスタートしたのは20年前で、「我々の夢はインターネットがテレビ番組や映画を数十億の人々に届けてくれるようになることだった。この10年で、インターネットはそれが十分にできるようになった」とHastings氏は言う。8年前のCESで、LGのBlu-rayプレーヤーとの提携を発表して以来、AppleやSamsung、LG、Microsoft、ソニー、Google、任天堂、VIZIO、パナソニックといったIT企業とも協力し、ユーザーがオンデマンドで視聴できる環境作りを進めている。

LGと提携したBDプレイヤー
各社とも提携してサービスを拡大する
テレビメーカーと提携する事により、リモコンの好位置に専用ボタンも配置された。スマートフォンからタブレット、スマートテレビまで、幅広くカバーするサービスとなった

オリジナルコンテンツやHDR強化。そして、190カ国展開

 さらに力を入れているのが、オリジナルのコンテンツ作りだ。

 エリザベス女王に焦点を当てたテレビドラマシリーズ「The Crown」を今年公開するほか、「テラスハウス」を含めた多くのオリジナル番組を用意し、今年はそれらが600時間以上になるという。

 「素晴らしい物語はどこからでも来る」と同社のCCO(Chief Content Officer)のTed Sarandos氏。各国でオリジナルコンテンツを制作するほか、複数言語に対応することで、世界で視聴されるようにしている。

Netflixオリジナルコンテンツの提供も強化
Ted Sarandos氏
The Crownの一場面
オリジナル番組の中から、4人の出演者が登壇して会場を沸かせた

 4Kコンテンツの制作にも力を入れ、今年後半にはHDRコンテンツの配信も開始する予定だという。

Netflixオリジナルコンテンツの紹介動画

 Netflixは世界60カ国でサービスを展開してきたが、そうした国々以外をHastings氏が訪れると、いつも「いつNetflixは始まるのか」と質問されるそうだ。そこでHastings氏が発表したのが、アゼルバイジャン、ベトナム、インド、ナイジェリア、ポーランド、ロシアなど、130カ国以上で新たにサービスを開始するという事。

 現在の60カ国と合わせ、190カ国以上でサービスを展開することになり、Hastings氏は「中国以外のほぼすべての国でサービスを開始できる」とアピール。中国に関しても、近い将来にサービスを開始したい意向も示した。なお、米国政府の制裁措置により、米国企業はクリミア、北朝鮮、シリアでは事業活動を禁止されているため、同地域でも利用できない。

現在の提供国は60カ国
世界の国々の国旗が流れ、130カ国で新たにサービスを開始することが発表された

 「今日、新しいグローバルのインターネットテレビのネットワークが誕生した」とHastings氏。配信国の追加に合わせて、既に対応している17言語に加え、韓国語、アラビア語、簡体字中国語、繁体字中国語にも新たに対応。サポートする言語が21に拡大したことで、さらに視聴可能な人が増えている。

Netflixを世界のどこでも使えるように

 Hastings氏は、「聞いて、学んで、改善する」というスローガンを掲げて、今後も対応言語やコンテンツの拡大を図っていき、より多くの人にNetflixのサービスを届けたいと強調。今後数年間の目標として、サービスの改善を続けるとともに、世界各国の番組制作者が制作した番組を、世界中の人々に届けたいと話す。

 「たとえシドニーでもサンクトペテルブルクでも、シンガポールでもソウルでも、サンティアゴでもサスカトゥーンでも、どこにいてもインターネットテレビの革命を体感できる」とHastings氏は強調。世界中でいつでもテレビが観られるNetflixのサービスをアピールして講演を終えた。

(小山安博)