ニュース

スカパー、新衛星など4K/8Kに向けた事業方針。Channel 4K終了後に無料放送の計画も

 スカパーJSATは4日、2015年度第3四半期決算説明会を行ない、今後の事業方針や、4K/8Kを含む有料放送サービス強化などについて、高田真治社長が説明した。

高田真治社長

新たな衛星が'18年の左旋4K/8K放送に活用。Channel 4K終了後に無料コンテンツの放送も

 既報の通り、総務省のロードマップでは、2016年にBSを使った4K/8K試験放送が、NHKともう1者の2者で開始されることや、2018年にはBSと新たな110度CS左旋で4K実用放送を開始することなどが定められている。

 スカパーの4K/8K放送への今後の取り組みとしては、'16年に4機の衛星の打ち上げとともに、110度右旋や左旋放送、4K/8Kロードマップのフォローアップ対応などを掲げている。

総務省の4K/8K放送ロードマップ

 高田真治社長は、1月29日に総務省が公表した「衛星基幹放送による超高精細度テレビジョン放送の実用放送の実施等に向けた関係省令等の一部改正案」において、'16年上期にスカパーJSATが打ち上げる「JCSAT-15」が、110度CS左旋の試験放送(2017年度)、18年度実用放送(2017年度〜)に利用されると認定されたことを報告。

 CS左旋を活用することで、1つの衛星から現在の右旋(時計回り)と左旋(反時計回り)の2つの円偏波を使い、同じ周波数でもこれまでの2倍の帯域が利用できることから、電波の有効活用として4Kや8K放送での採用が見込まれている。放送を受信するには、従来の右旋対応とは異なる、左旋対応のアンテナや宅内共聴施設が必要となるが、マスプロからは1月に右左旋対応BS/110度CSアンテナが発売中で、スカパーは、右左旋対応BS/110度CSに加え、124/128度のプレミアムサービス受信にも対応したマルチアンテナを開発中。「来年度末には投入できるように準備している」(高田社長)と述べた。

右旋と左旋の活用で4K/8K放送の実現を進める
スカパーは現在15機の衛星を保有。今後の打ち上げ計画なども発表
仁藤雅夫副社長

 一方、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)が現在提供している4K試験放送のChannel 4Kは、'16年3月31日に終了することが発表されている。このサービスはスカパー! プレミアムサービスのプラットフォームを使って運用されており、終了後のこの帯域の活用について、今回具体的な発表は無かったが、構想としては、多くの番組を無料(ノンスクランブル)で視聴できるショーウィンドウ的なチャンネルとして使う計画があるという。「Channel 4Kは試験放送としての役割は終えたが、まだ4Kをアピールしていく必要がある。高いお金で権利を買わなくても、東京の夜景など4Kを活かせる映像はたくさんある。そういったコンテンツを集めた体験型のチャンネルにしたい」(有料多チャンネル事業を担当する仁藤雅夫副社長)としている。具体的な開始時期やサービス名などは未定。

第3四半期は費用を絞り加入者純減。スポーツや4K/HDR制作ドラマなどで拡大へ

 3日に発表された第3四半期(4月〜12月)の連結業績(累計)は、売上高が前年同期比0.7%増の1,234億6,600万円、営業利益が同5.5%増の185億6,000万円、純利益は同6.2%減の121億3,400万円となった。有料多チャンネル放送の新規加入数(累計)は32万1,336件で、純増減数は31,880件のマイナス。累計加入件数は342万9,815件だった。前年度と比べると新規/再加入や累計加入件数は上回った。

第3四半期の損益概要
連結業績の推移
セグメント別の業績推移

 第3四半期単独での新規加入は9万6,000件で、前年度の11万4,000件を下回ったことについて高田社長は「前年は第3四半期でBSスカパー! のリニューアルや年末に向けたプロモーションを投下したが、今年は第1、第2四半期にヤマを作り、メリハリを利かせた費用投下にした」と説明。仁藤雅夫副社長は「広告宣伝を圧縮して、獲得コストを抑制した。これから(サッカーやプロ野球など)スポーツが開幕する第4四半期に比重を置く」としている。なお、通期での目標は新規が48万2,000件、純増7万5,000件を掲げている。

有料多チャンネル事業の指標
新規加入件数の推移

 契約者拡大に向けたこれまでの施策としては、サッカー、ラグビーといった人気スポーツの生中継や、オリジナルコンテンツの強化を挙げた。これまでのオリジナルコンテンツとしては、藤沢周平原作・仲代達矢主演のオリジナル時代劇「果し合い」や、年末の格闘技イベント「RIZIN」などを紹介した。

 第4四半期以降のコンテンツとしては、Jリーグや、欧州サッカーのUEFAチャンピオンズリーグ、プロ野球開幕に加え、ラグビー五郎丸選手の所属するレッズ戦の全試合放送などを予定。

 オリジナルドラマとしては、疫病神シリーズ第2弾「螻蛄」(けら)や、オリジナル時代劇第4弾「三屋清左衛門残日録」を4Kで制作していることを紹介。「螻蛄」についてはHDR(ハイダイナミックレンジ)での撮影/制作による作品となっており、「肉眼で見た明るさを表現できる(高田社長)」としている。なお、伝送路は従来伝送方式のため画質はSDR(スタンダードダイナミックレンジ)となる。

 また、ドキュメンタリー番組として、4K番組の「TOKYO ARCHIVES」でホテルオークラ本館('19年の改装オープンに向け建て替え中)の映像を放送。2020年に向けて変わりゆく東京を4K解像度で記録する内容となっている。このほかにも、HDの音楽番組として「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2015」などを放送する。

 スマホ/タブレットでスカパー! 番組を視聴できるインターネット動画配信の「スカパー! オンデマンド」は、'15年12月末時点で累計登録者数が57万330件となった。高田社長は、OTTサービス(同社にとってのスカパー!オンデマンド)を、「アンテナを付けられないお客様に向けた新たな収益ソース」と位置づけ、「DTH(CS放送)とFTTH(スカパー! プレミアムサービス光)によるリニア編成の強みと、OTTの利便性を活用し、競合する映像配信サービスと差別化していきたい」と述べた。

契約者拡大に向けたこれまでの取り組み
今後の放送予定コンテンツなど
スカパー! オンデマンドの登録者数推移
海外で展開するWAKUWAKU JAPANの取り組み
有料多チャンネル事業の業績
宇宙・衛星事業の業績

 宇宙・衛星事業本部長を務める小山公貴専務は、前述した衛星打ち上げ/活用の計画に加え、4K ODSの推進についても説明。ODS(Other Digital Stuff)は、映画館でスポーツや音楽ライブなど映画作品以外のコンテンツを上映する事業として活用が進んでおり、既に全国のシネコン300カ所に、衛星で受信できるアンテナが備えられているという。「同報配信のため、衛星に向いたアプリケーション。現在は2Kが主流だが、今後4Kに変わることが予想でき、実際に動きもある。4K ODS需要を積極的に取り込んでいく」とした。

小山公貴専務
国内での取り組み
4K ODSの推進を図る

(中林暁)