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世界初、レーザーでスペースデブリ除去。スカパーJSATが衛星の設計・開発に着手

除去イメージ図

スカパーJSATは11日、世界初となる、レーザーを使ってスペースデブリ(不用衛星などの宇宙ごみ)を除去する衛星の設計・開発に着手すると発表した。2026年のサービス提供を目指す。

同社は1989年に日本の民間企業初の通信衛星「JCSAT-1号」を打ち上げて以来、宇宙利用企業の草分け的な存在として、30年以上にわたり衛星通信サービスの提供を国内外に行なってきた。

既存サービスに加え、2018年より開始した次世代ビジネスを検討する社内スタートアップ制度の下、持続可能な宇宙環境の維持を目指したプロジェクトを立ち上げ、産学連携で本事業の実現性の研究と検討を進めてきた。今回の設計・開発は、理化学研究所、宇宙航空研究開発機構、名古屋大学、九州大学と連携して実施する。

1957年のスプートニクの打ち上げ以来、各種の人工衛星が次々と打ち上げられており、天気予報、衛星通信、GPSによる位置情報といった様々な形で快適な生活が築かれている。その一方で、使われなくなった人工衛星、故障した人工衛星、打ち上げに用いられたロケットの部品や衝突した様々な人工物の破片などが加速度的に増加。

1mm以上のスペースデブリは1億個以上と推定されており、宇宙空間を秒速約7.5kmという超高速で飛び交っているため、それが人工衛星に衝突することで衛星のミッション終了などのダメージを引き起こす可能性がある。

各種のスペースデブリ除去手法があるなか、スカパーJSATは、「接触しないため安全性が高い」、「スペースデブリ自身が燃料となり、移動させる燃料が不要なため経済性が高い」という2つの利点に注目し、レーザー方式の採用を決定。

レーザーの基礎開発に実績のある理化学研究所とレーザーアブレーションによる推力発生実験を行ない、技術の実現性を確認。衛星の主要なミッション機器を開発するため、2020年4月に理化学研究所内に融合的連携研究制度チームとして、正式に「衛星姿勢軌道制御用レーザー開発研究チーム」を設け、名古屋大学、及び九州大学と連携しレーザー搭載衛星の設計開発(検討を含む)を進める。なお、衛星と地上システムについては、JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)の枠組みを通じた検討を共同で実施する。

スカパーJSATは、「宇宙ごみの問題はCO2や海洋プラスチックと同様の環境問題であることから、宇宙のSDGsとして本事業を通じて課題解決を目指し、今後も持続可能な宇宙環境の維持に貢献していく」とコメントしている。

世界初、宇宙ごみをレーザーで除去する衛星を設計・開発