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カロッツェリア誕生30年の「サイバーナビ」。Androidベースの新OS、音楽配信連携強化

 パイオニアは、「カロッツェリア」ブランドのカーナビフラッグシップモデル「サイバーナビ」を6月より順次発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は8型ディスプレイ搭載で安全運転支援機能のマルチドライブアシストユニット(MAユニット)が付属する最上位モデル「AVIC-CL900-M」が23万円前後、MAユニットを同梱しない「AVIC-CL900」が17万円前後。

「AVIC-CL900」

 このほかにも、7型液晶の「AVIC-CZ900-M」や、7型液晶で200mmワイドコンソール用の「AVIC-CW900-M」(店頭価格各21万円前後)などを用意。発売時期は、MAユニット付属モデルが9月、単体モデルは6月となる。さらに、アルファードやノア、ヴォクシーといった車種専用の10型液晶モデル(同31~40万円前後)も9月より発売する。

MAユニット付属の「AVIC-CL900-M」
ワイドコンソール用の「AVIC-CW900」
サイバーナビ新モデルのラインナップ
車種専用モデル

 '16年は、カーエレクトロニクス製品ブランドのカロッツェリアが誕生した1986年から30年となる。今回のサイバーナビは、この節目に合わせたフラッグシップモデルとして提案。CPUやメモリ、ディスプレイなどハードウェアだけでなく、OSまで刷新して新たなユーザーインターフェイスを開発。従来比3倍以上の処理能力で、ストレスのない操作性を実現したという。

 新たなOSはAndroidベース。機能アイコンのサイズやレイアウトを変更できる新デザインのHOME画面とメニュー画面を採用したほか、通信で取得した情報や操作キーなどを地図上に重ねて表示する「マルチレイヤマップ」、地図画面時に、ルート確認やビュー変更などよく使う機能を呼び出す「インスタントメニュー」などを備えている。なお、Android AutoやCarPlayとは異なり、アプリの追加はできない。

新HOME画面
スマートコマンダー

 ドライバーが運転中でも操作できるサイバーナビ専用「スマートコマンダー」を同梱。後部座席の同乗者がスマートフォンでナビ本体を操作できる「リアスマートコマンダー」アプリにも対応する。

 起動音などの各種効果音は、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅなどの楽曲プロデュースを務める音楽プロデューサーの中田ヤスタカ氏が制作した。

中田ヤスタカ氏が制作した効果音を採用
処理能力は従来比3倍に向上
ユーザーインターフェイスを一新

 AV機能も強化され、レコチョクと連携する音楽ストリーミング機能「ミュージッククルーズチャンネル」(利用料年間3,600円)は、新たに場所や時間帯に応じたチャンネルをレコメンドする「ライブレコメンド」機能や、スマートフォン内の音楽も再生できる「MCCライブラリーモード」などが追加された。これら2つの新機能は秋のアップデートで対応予定。

AVメニュー画面

 ライブレコメンド機能は、例えば高速道路に入った時にはアップテンポな曲を再生したり、目的地をディズニーランドに設定した場合はディズニー関連楽曲を流すなど、ナビの位置情報と連携して曲を楽しめる機能。パイオニア独自の通信連携機能「スマートループ」と連動する「ライブインフォ」機能も備え、走行中の状況に応じた情報も取得可能。利用イメージとしては、新潟県に入ったタイミングでご当地アイドルのNegicco(ねぎっこ)の楽曲をプッシュ通知でレコメンドするといったこともできるようになるという。

 MCCライブラリーモードは、スマホ内の音楽をBluetooth経由でナビに伝送し、ナビ側の操作で再生できる機能。ナビとスマホの連携には、iOS/Android用の新アプリ「MCC2」を利用。スマホ本体内の楽曲をジャンルなどの属性で分類し、プレイリスト再生ができる。また、スマートフォン側に歌詞を表示することも可能(シンクパワーの歌詞データベース対応楽曲のみ)。

ミュージッククルーズチャンネルを強化
ミュージッククルーズチャンネルの再生画面
スマホ用の新アプリ「MCC2」

 このほか、ミュージッククルーズチャンネル専用に音響効果を調整できるシーンセレクト機能も備え、「LIVE HOUSE」や「CLUB」、「SING」(カラオケ)の各モードが利用可能。

 自然な音のつながりを実現するという、スピーカー調整用の「ネットワークモード」も搭載。また、リアモニターにナビ本体の画面を映し出したり、他のAVソースを再生する「リアセパレートモード」に対応する。ただし、ネットワークモードとリアセパレートモードの併用はできない。

 ディスプレイは、最上位の「AVIC-CL900-M」と「AVIC-CL900」には8型/1,280×720ドットの液晶を搭載。7型モデルの解像度は840×480ドット。地上デジタルテレビチューナや、DVDプレーヤーなども引き続き搭載している。CDからSDカードへの録音も可能。48bitデュアルコアDSPやサウンドマスタークロック、アルミ電解コンデンサなどの高音質パーツも搭載し、「カロッツェリア史上最高音質」としている。

高音質を追求
48bitデュアルコアDSPやサウンドマスタークロックを搭載
高音質パーツの例
SDスロットとDVD/CDドライブ部

 ナビ機能は、従来モデル比約70倍の色階調表現が可能な新液晶パネルと新たな地図データフォーマットの採用などで見やすい表示を追求。自車位置精度専用システム「レグルス」と、「6軸3Dハイブリッドセンサー」を搭載。GPS/グローナス/みちびきの3種類の衛星の同時受信とGPS補正データのSBASに対応することで自車位置精度の向上を図っている。

 新たに提案するMAユニットは、カメラと画像認識機能で車間距離の推定技術などを活用し、安全運転をサポートするもの。前方車両が接近した場合などに警告する機能が利用できる。カメラはドライブレコーダとしても利用可能で、256GBまでのSDXCカードに記録可能。MAユニットは、AVIC-CL900-Mなど型番の末尾に「-M」が付くモデルに同梱するほか、単体でも販売する。

MAユニット

車種専用モデルに「高音質エキスパートチューニングデータ」搭載

 ミニバンなどの車種専用10型メインユニットも発売。対応車種は、トヨタのアルファード、ヴェルファイア、ノア、ヴォクシー、エスクァイア、ホンダのステップワゴンの計6車種で、それぞれにMAユニットセットと、単体モデル(MAユニット非搭載)を用意する。

アルファード/ヴェルファイア専用モデル
ノア/ヴォクシー/エスクァイア専用モデル
MAユニットのカメラをナビ本体(左上)に装着した例

 いずれも、ディスプレイは高輝度で高コントラストの10型/1,280×720ドット「ExcelLuminaHDパネル(エクセルルミナHDパネル)」を採用。静電センサーキーや、キーイルミネーション部のテクスチャグラデーション処理によりデザイン性を高めている。前述したMAユニットの専用フロアカメラユニットを、ナビ本体へ装着することも可能。

 車種専用モデルには、オーディオ開発部門の“エキスパートチューニングチーム”が調整した「高音質エキスパートチューニングデータ」を搭載。車のスピーカーに合わせて「カロッツェリア推奨スピーカーシステム」と「純正スピーカーシステム」の切り替えや、「運転手重視チューニングデータ」と「全席重視チューニングデータ」の選択も可能。

 高音質エキスパートチューニングデータは、パラメトリックイコライザーと、新技術「フロンタルイメージコントロール」で構成。フロンタルイメージコントロールは、左右のスピーカー間の位相差の調整に加え、タイムアライメント機能と連携してシート位置にとらわれない音質補正が行なえるという機能。

高音質エキスパートチューニングデータ
スピーカータイプ選択画面
運転席重視/全席重視の選択も可能

後席用のプライベートモニター

 運転席などのヘッドレストに装着し、後席で映像を楽しめるプライベートモニターも6月に発売。9型/800×480ドット液晶搭載の「TVM-PW900」と、同製品2台をセットにした「TVM-PW900T」を用意し、価格はオープンプライス。店頭予想価格は、TVM-PW900が3万円前後、TVM-PW900Tが6万円前後。

TVM-PW900
2台セットのTVM-PW900T

 LEDバックライト搭載の9型リアモニター。HDMI入力やビデオ入出力を1系統備え、ナビ本体の画面だけでなく、スマートフォン画面のミラーリングも可能。HDMI入力したコンテンツの音声をヘッドフォンで聴くこともできる。モニターの角度は、垂直から奥へ30度~手前へ60度調整できる。外形寸法は239.5×127×143mm(幅×奥行き×高さ/モニター90度時)。重量は約900g。

カロッツェリア30周年で「全く異なる次元の進化」

 パイオニア常務執行役員の大舘諭氏は、1990年に業界初のGPS搭載市販カーナビ「AVIC-1」を発売して以来、先進性の追求により高いシェアを得てきたことを振り返り、「1986年に誕生したカロッツェリアは、国内市販カーエレクトロニクス市場で常に高いシェアを誇り、信頼されるトップブランドとして今年で30年を迎えた。これをけん引してきたのが1999年誕生のサイバーナビ。スマートループやARスカウターモードなどの先進的な価値を提供し、カーナビの歴史を切り開いてきた」と説明。

常務執行役員の大舘諭氏

 今回のサイバーナビは、'15年にレコチョクとの協業で実現したミュージッククルーズ機能や、MAユニットを用いた新たな危険予測/回避の新機能など「これまでの全てをつぎ込み、全く異なる次元の進化を遂げた。これぞサイバーナビ、これぞカーナビという驚きと感動を、きっと感じていただけると自負している」とした。

'90年発売のAVIC-1
カロッツェリアの歴史
歴代のモデルも展示

 今回の新モデル発売に先駆け、一般ユーザー向けの先行体験イベント「カロッツェリア エクスペリエンス」を5月10日~26日にかけて東京、名古屋、大阪、仙台、広島、福岡で順次開催する。

 東京では5月10日と11日の18時~21時に、ベルサール秋葉原のB1ホールで開催。その他の開催日時や会場などの詳細は、特設サイトで案内している。

カロッツェリアのロゴなどを配した様々なオフィシャルグッズの販売も計画

(中林暁)