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パイオニアとレコチョクが車載向け音楽配信で協力、replay対応カーナビ発表

 パイオニアは、カーナビ「カロッツェリア」の新モデル「AVIC-ZH0999LS」など10モデルを5月下旬より発売する。新たに、レコチョクの定額音楽ストリーミングサービス「replay」と連携し、ドライバーの好みに合わせて選曲する機能「ミュージッククルーズチャンネル」を搭載する。音楽配信「replay」の利用料金は年額3,000円だが、新サイバーナビには、1年分のreplay利用料金も含まれているため、最初の1年間は無料で利用可能。

新サービス「ミュージッククルーズチャンネル」に対応したカーナビの1DIN+1DINモデル(右)と、2DINモデル(左)

 「replay」は、携帯電話/スマートフォン以外の様々な企業とコラボレーションして提供する音楽配信のソリューション。今回のパイオニアとの連携により、レコチョクとして初の車載向け音楽配信サービス提供となる。

 新サイバーナビは10モデルで、価格はオープンプライス。うち8機種が新機能の「ミュージッククルーズチャンネル」に対応している。

 最上位となる8型液晶搭載機「AVIC-ZH0999LS」の店頭予想価格は255,000円前後。このモデルは、車載カメラの映像とナビ画面を重ねて表示できるAR(拡張現実)機能「クルーズスカウターユニット」もセットになっている。同ユニットを省いた「AVIC-ZH0999L」の店頭予想価格は18万円前後。

 上記2モデル以外は7型液晶で、1D+1D構成の「AVIC-VH0999S」(店頭予想価格23万円前後)や、200mmワイドコンソール対応の2DINタイプ「AVIC-ZH0999WS」(同225,000円前後)、2DIN通常モデルの「AVIC-ZH0999S」(同22万円前後)などをラインナップする。

200㎜コンソールの2DINモデル「AVIC-ZH0999WS」の装着例

 そのほか、リア用のフリップダウンモニタも5月下旬に発売。10.1型「TVM-FW1040-B」(店頭予想価格7万円前後)や、10.2型「TVM-FW1030-B」(同6万円前後/ブラック)、「TVM-FW1030-S」(同6万円前後/シルバー)もラインナップする。

ディスプレイ仕様型番店頭予想価格発売時期
8型VGA地デジ/DVD/CD/Bluetooth/USB/SD
クルーズスカウターユニットセット
AVIC-ZH0999LS255,000円前後5月下旬
地デジ/DVD/CD/Bluetooth/USB/SDAVIC-ZH0999L18万円前後
1D+1D
7型WVGA
地デジ/DVD/CD/Bluetooth/USB/SD
クルーズスカウターユニットセット
AVIC-VH0999S23万円前後
地デジ/DVD/CD/Bluetooth/USB/SDAVIC-VH099916万円前後
200mmワイド
7型WVGA
地デジ/DVD/CD/Bluetooth/USB/SD
クルーズスカウターユニットセット
AVIC-ZH0999WS225,000円前後
地デジ/DVD/CD/Bluetooth/USB/SDAVIC-ZH0999W15万円前後
地デジ/DVD/CD/Bluetooth/SDAVIC-ZH0777W14万円前後6月上旬
2DIN
7型WVGA
地デジ/DVD/CD/Bluetooth/USB/SD
クルーズスカウターユニットセット
AVIC-ZH0999S22万円前後5月下旬
地デジ/DVD/CD/Bluetooth/USB/SDAVIC-ZH0999145,000円前後
地デジ/DVD/CD/Bluetooth/SDAVIC-ZH0777135,000円前後6月上旬
2DINのラージサイズモデルの「AVIC-ZH0999LS」
1D+1Dモデルなども用意
レコチョクの配信サービスと連携

 新機能のミュージッククルーズチャンネルは、「常に新しい音楽との出会いを提供する」という音楽レコメンド機能。レコチョクのreplayを元に、パイオニア独自の楽曲レコメンド技術を組み合わせており、手持ちのスマートフォンに「ミュージッククルーズチャンネル」アプリを無料ダウンロードして利用。新サイバーナビとBluetooth接続して、カーラジオのような手軽さで音楽をカーナビ側で聴けるという。サービス開始時は100万曲を用意し、順次楽曲を増やす予定。

「ミュージッククルーズチャンネル」のトップ画面

 「特選チャンネル」、「レコメンドチャンネル」、「マイチャンネル」の3種類を利用可能。あらかじめリスト化された楽曲を聴けるほか、気分や季節などをユーザーが選ぶと、それに合わせてセレクトされた楽曲を聴くことも可能となっている。

 特選チャンネルは、「ヒッツ」、「特選アーティスト」の項目から約50種類のチャンネルを選んで再生可能。各チャンネルには約30曲がリスト化され、一定期間ごとに更新される。

 レコメンドチャンネルは、配信対象となる楽曲を独自の楽曲解析技術を用いてあらかじめ解析しており、再生中の楽曲それぞれに最大24種類のお薦めのチャンネルを自動的に生成して画面に表示する。

スマホと連携して利用する
ミュージッククルーズチャンネルの特徴
「特選チャンネル」、「レコメンドチャンネル」、「マイチャンネル」の違い

 「マイチャンネル」は、「気持ち」、「シチュエーション」、「時間」、「季節」などの中から最大3個の属性を組み合わせて、ドライバーの好みに合う独自のチャンネルを作成、登録可能。そのほか、上記の「特選チャンネル」や「レコメンドチャンネル」再生時にお気に入りのチャンネルを、マイチャンネルに登録することもできる。

 歌詞表示機能も搭載。再生中の楽曲に含まれる歌詞をiPhone/Androidスマートフォンに表示し、楽曲の再生に合わせて歌詞を黄色で表示。HDMI入力を備えたフリップダウンモニターやリアモニターに、HDMIアダプタ経由でスマホを接続すると、歌詞を他のモニタにも表示できる。

 再生中の楽曲からボーカル部分をカットして聴ける「BGMモード」も用意。前述の歌詞表示と合わせて車室内でカラオケとしても利用できる。

 パイオニア独自の楽曲解析技術とミックス技術で楽曲をノンストップミックス再生する「MIXTRAX」機能も利用可能。テンポやビートを合わせながら楽曲を自動でつなぐノンストップミックス再生が行なえ、サビ部分のみをつなぐ「SHORT」と、楽曲の前後部分だけをカットする「LONG」の2種類から選べる。

スマホアプリで気分やジャンルなどを選んで、自分に合ったリストから聴くことが可能
歌詞表示やノンストップミックスも可能
サイバーナビのラインナップ

 Bluetooth 3.0+EDRに対応し、コーデックはSBCだけでなく新たにAACもサポート。ミュージッククルーズチャンネルの配信楽曲はAAC 128kbpsのため、AACのままでナビに伝送できる。各チャンネルの再生は「新たな楽曲との出会い」を重視しているため、表示される曲順で聴くのが通常の利用方法だが、1日5回まで曲のスキップも可能。

 ハンズフリー通話にも対応し、電話の発信/着信時には再生中の楽曲を一時停止して、通話終了後には自動で楽曲の停止位置から再生を開始する。なお、停車中にメールチェックなどでスマートフォンを使用する際にも、途切れることなく楽曲を再生できる。

1D+1Dの「AVIC-VH0999S」
AVIC-VH0999Sのディスプレイを閉じて収納したところ
2DIN「AVIC-ZH0999L」のDVD/SDスロット部

 アンプの最大出力はいずれも50W×4ch。0999系のモデルには、新機能「バイアンプモード」も用意し、4chのパワーアンプを使ってフロントスピーカーのツイータとウーファを独立で駆動することが可能。バイアンプモード時は、ツイータ/ウーファの出力を個別に調整できる。なお、同モードの利用には、別売のネットワークが必要。「カロッツェリアχ」の高音質パーツを採用し、チューニングにより音質向上を図っている。

 その他のAV機能は、基本的に従来モデルを継承し、地デジチューナやDVD/SDスロットなどを搭載。HDDにCDからリッピングして音楽を聴ける「ミュージックサーバー」機能も、引き続き利用可能。なお、前述のミュージッククルーズチャンネルと、HDD音楽再生のミュージックサーバーは別ソースという扱いとなっており、両機能の楽曲をシャッフルして聴くといったことはできない。また、ハイレゾ楽曲の再生にも非対応。

 ナビ機能は、従来モデルと同様に、通信を使った独自の「スマートループ渋滞情報」などに対応し、データ通信専用通信モジュールにより、最大3年間無料で通信連携の機能が利用可能。iPhone/Androidスマホやフィーチャーフォンからのデータ取得にも対応している。外部サーバーと連携した「フリーワード音声検索」機能では、従来のマルチ検索に加え、新たに「名称検索」にも対応。メニューのデザインも一新し、文字とアイコンを判別しやすくしている。

リア用モニタもハイビジョン対応など高画質化

 リアモニターは、10.1型/1,280×800ドットの「TVM-FW1040-B」と、10.2型/800×480ドットの「TVM-FW1030-B」(ブラック)、「TVM-FW1030-S」(シルバー)を用意。

10.1型/1,280×800ドットのハイビジョンモデル「TVM-FW1040-B」

 いずれも、3次元Y/C分離回路に加え、「超解像クリアシャープ回路」を新たに搭載したことで、色にじみやざらつきを抑制。くっきりと見やすい高精細な映像を表示できるという。

 初のハイビジョンモデルとなる10.1型「TVM-FW1040-B」は、高輝度LEDバックライトや、上下左右どの方向からでも見やすいというワイドアングルパネルを採用。不要な光の映り込みを抑えるARコーティングも施している。10.2型「TVM-FW1030-B/S」も高輝度LEDバックライトを採用する。

 いずれも、RCA入力×2とHDMI入力×1を装備。HDMI HDプロセッシング回路により高画質化を図っている。ドアの開閉に連動して点灯/消灯するホワイトLEDルームランプも備える。

10.2型「TVM-FW1030-B」(ブラック)
10.2型「TVM-FW1030-S」(シルバー)

仮免許を取った、きゃりーぱみゅぱみゅが応援

 8日に行なわれた記者発表会では、パイオニアとレコチョクの協業に至った経緯や、今後の計画などを説明。ゲストとして、きゃりーぱみゅぱみゅさんも来場した。

きゃりーぱみゅぱみゅさんが来場

 パイオニア 執行役員の大舘諭氏は、同社カーエレクトロニクス事業のキーワードとして「コネクテッド化」にいち早く対応していくことを挙げ、車載機器と情報サービス、周辺機器の連携により新しい付加価値を生み出すことの重要性を強調。最近の取り組みとしては、アップルのCarPlay対応モデルを'14年秋に国内で初めて製品化したことや、海外でAndroid Auto製品を発売したことなどを説明した。

 新モデルで実現した「ミュージッククルーズチャンネル」は、国内大手であるレコチョクが持つ実績と、パイオニアのカーオーディオ技術などを組み合わせることで、“クルマにおける新しい音楽体験”が提供できないかと考えていたことが出発点としており、「クルマに最適化した機能により、新しい音楽体験を提供することで、新たな市場創出と、さらなるブランド向上を図る」という。

パイオニア 執行役員 大舘諭氏
カーエレクトロニクス事業の方針
レコチョクとの協業

 レコチョクの常務執行役員 山崎浩司氏は、複数のレコード会社が共同出資したことで'01年に同社が設立されたことを振り返り、同社がミュージッククルーズチャンネル向けに提供した新しいBtoBtoCサービスの「replay」も、様々な企業やサービスとのコラボレーションによる新たな音楽ストリーミングの形であることを紹介した。

レコチョクの常務執行役員 山崎浩司氏
レコチョクのこれまでのサービス
BtoBtoCの「replay」

 新サイバーナビの“ナビゲーター”を務める、アーティストのきゃりーぱみゅぱみゅさんも登場。きゃりーさんは普段から車の助手席などでもよく音楽を聴いたり歌ったりするとのことで、これまでもiPodやYouTubeなどを使って車内で音楽を聴いていたという。最近、自動車運転の仮免許を取得したきゃりーさんは「今後免許を取ったら“海ほたる”など、車があるからこそ行く場所へ運転してみたい」とのこと。中田ヤスタカ氏のプロデュースできゃりーさんが歌う、サイバーナビのプロモーションムービー タイアップ曲「トーキョーハイウェイ」については、「中田さんが実際にドライブに行って作った曲だと話してくれました。免許を取ったらまず聴きたい」と語った。

仮免許中というきゃりーぱみゅぱみゅさん
左から、パイオニアの商品統括部 事業企画部 田中修部長、同社執行役員の大舘諭氏、きゃりーぱみゅぱみゅさん、レコチョクの山崎浩司専務

(中林暁)